ー特別編ー家なき者たちのパレード
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「さあ、そういうのはよくわからんな。このパイン、甘いな。フルーツなんて何ヶ月振りか」
歩道橋の階段したで、明治通りを行く自動車を眺めながら、ホームレスといっしょに地面に座るのはおかしな気分だった。
無理して情報を得ることも難しそうだ。
そこで、俺たちは適当な世間話をした。
この夏のいかれた天気やエコ対策のことやこの街のどの店の残飯が上手いか、なんてごく一般的な話。
そのあいだに携帯番号を交換したりもする。
ふふ、なんだか相手がホームレスの頑固オヤジでもダチの番号が増えるのは、どこか楽しいよな。
俺があきらめて立ち上がると、ガンさんはいった。
「悠、優希。お前らは気持ちのいいやつだし、昼飯分の借りができたから、教えといてやる。いいか、今回の件については余計なことは調べるな。面倒なことになるぞ。」
軍パンの尻をはたきながら返事をした。
「忠告ありがとう。でも、ちゃんと調べなくちゃいけないんだ。ヨウスケと約束したからな。」
俺は嘘もつくし逃げも隠れもするけど約束は守る男でいたいしな。
優希が立ち上りながらきいた。
「ガンさん、あなたも誰かに殴られたのかな?」
初老のホームレスは顔中をしわくちゃにして、吐き捨てるように言った。
「俺はそんな間抜けじゃない。あぶれ手帳をもっていかれるほどバカじゃないさ。」
あぶれ手帳?
はじめて聞く言葉だった。
「じゃあ、またくるよ。」
ホームレスはきさくに返事した。
「おう、またな。次くるときにはデザートはヨーグルトにしてくれ。退屈してるから、必ず顔出せよ、悠。」
なぜだろうか。
俺はホームレス関係のかたがたには昔から評判がいいんだ。
どうして俺の魅力は若い女たちには理解されないのだろうか。
つぎつぎとこの国の総理が辞めていく理由と同じくらい、俺にはそいつはデカイ謎。
同じようにコンビニの手土産を持って、続く三件をまわった。
鬼子母神参道にあるブルーシートハウスは無人だった。きっと仕事にでも行っているのだろう。
ホームレスとはいえ、働かなければ食ってはいけない。古紙の回収でも、アルミ缶拾いでも、残飯回収でもいいが、何もしないで生きられるほど甘くないのだ。
俺はブルーシートのなかにコンビニの袋をおいて、メモを残しておいた。
【また来る、調査に協力をお願いする、きっと事実が判明すれば多くの仲間のためになるはずだ。】
その程度の簡単な内容。
おつぎは池袋大橋の陸橋しただった。
こちらは頭上を自動車が駆け抜け、金網の向こうではJRの電車がやかましい場所。
かなり住環境は悪いようだった。
俺たちはまたもコンビニで買い物をしてから、やけに立派なビニールシートハウスにむかった。
三畳ほどの広さがあり、ベニヤだがきちんとドアもついている簡易住宅だ。
歩道橋の階段したで、明治通りを行く自動車を眺めながら、ホームレスといっしょに地面に座るのはおかしな気分だった。
無理して情報を得ることも難しそうだ。
そこで、俺たちは適当な世間話をした。
この夏のいかれた天気やエコ対策のことやこの街のどの店の残飯が上手いか、なんてごく一般的な話。
そのあいだに携帯番号を交換したりもする。
ふふ、なんだか相手がホームレスの頑固オヤジでもダチの番号が増えるのは、どこか楽しいよな。
俺があきらめて立ち上がると、ガンさんはいった。
「悠、優希。お前らは気持ちのいいやつだし、昼飯分の借りができたから、教えといてやる。いいか、今回の件については余計なことは調べるな。面倒なことになるぞ。」
軍パンの尻をはたきながら返事をした。
「忠告ありがとう。でも、ちゃんと調べなくちゃいけないんだ。ヨウスケと約束したからな。」
俺は嘘もつくし逃げも隠れもするけど約束は守る男でいたいしな。
優希が立ち上りながらきいた。
「ガンさん、あなたも誰かに殴られたのかな?」
初老のホームレスは顔中をしわくちゃにして、吐き捨てるように言った。
「俺はそんな間抜けじゃない。あぶれ手帳をもっていかれるほどバカじゃないさ。」
あぶれ手帳?
はじめて聞く言葉だった。
「じゃあ、またくるよ。」
ホームレスはきさくに返事した。
「おう、またな。次くるときにはデザートはヨーグルトにしてくれ。退屈してるから、必ず顔出せよ、悠。」
なぜだろうか。
俺はホームレス関係のかたがたには昔から評判がいいんだ。
どうして俺の魅力は若い女たちには理解されないのだろうか。
つぎつぎとこの国の総理が辞めていく理由と同じくらい、俺にはそいつはデカイ謎。
同じようにコンビニの手土産を持って、続く三件をまわった。
鬼子母神参道にあるブルーシートハウスは無人だった。きっと仕事にでも行っているのだろう。
ホームレスとはいえ、働かなければ食ってはいけない。古紙の回収でも、アルミ缶拾いでも、残飯回収でもいいが、何もしないで生きられるほど甘くないのだ。
俺はブルーシートのなかにコンビニの袋をおいて、メモを残しておいた。
【また来る、調査に協力をお願いする、きっと事実が判明すれば多くの仲間のためになるはずだ。】
その程度の簡単な内容。
おつぎは池袋大橋の陸橋しただった。
こちらは頭上を自動車が駆け抜け、金網の向こうではJRの電車がやかましい場所。
かなり住環境は悪いようだった。
俺たちはまたもコンビニで買い物をしてから、やけに立派なビニールシートハウスにむかった。
三畳ほどの広さがあり、ベニヤだがきちんとドアもついている簡易住宅だ。