ー特別編ー家なき者たちのパレード
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「十分だよ。なんだかすごくやる気になってきた。」
一枚十万のベストだろうが、千円のTシャツだろうが関係ない。
要するに目の前の困った状況になにをするか。
人を計る尺度なんて、できるだけ簡単なほうがいいのだ。
しばらく黙って、ヨウスケは頭のなかを整理しているようだった。
「路上に戻ってくるホームレスは急増している。公園に住めないので、みんなあちこちにばらばらになっているけど、基本的には住環境は以前より悪化しているんだ。二年前より、景気は悪くて、仕事は減っている。そうすると、どういうことが起きるのかな。普通の人間には見えないホームレスの社会で」
生き延びるための条件がすべて厳しくなれば、答えはひとつだった。
俺はあえて黙って、優希に視線を向けた。
わかるか?っと…
「ええと、生存競争は厳しくなる。貧しいもの同士が、ほんのわずかな取り分をめぐって争うことになる。小が小をくう」
言わせておいて、ゾッとする言葉だった。
だが格差の下半分のジャングルでは、そいつが当たり前なのかもしれない。
ほんの数年前、俺が中学生のころには想像もできなかった事態だ。
「最近炊き出しをしていると、足を痛そうに引きずっていたり、顔にあざをつくっている人が目につきだしたんだ。とくに豊島区周辺で。うちのスタッフが話をきいても、みな貝になって、なにも話してくれない。それで悠さんなら、なんとかなるかもしれないとおもったんだ。」
そういうことか。
だが、俺には気になることがもうひとつあった。
「ヨウスケとタカシの関係はどうなっているんだ。絆はSウルフの息のかかったボランティアじゃないよな。」
ここはどちらかといえばタカシより氷室さん側のテリトリーだし。
まあ、最近のギャングはどんなことでもやるので、それくらいのことでは驚いたりしないけどな。
ヨウスケは悲しい顔をした。
「このごろじゃあ、二十代のホームレスも増えているんだ。なかには何人か、タカシさんのところのメンバーもいるよ。タカシさんがいうには、ストリートでしのぐのも年々きつくなってきているんだって」
そういうことか。
二十代のホームレスがめずらしくない世の中。
俺たちはなんて希望にあふれる時代を生きていることか。
「じゃあ、あんたには問題のありかはわからないし、そいつをどういう方向に転がせばいいのかもわからないんだな。」
ヨウスケはじっと考えていた。
手のなかのスタバのカップを見つめている。
「うん、なさけないけど、そうかもしれない。」
「ことによると、なにか事件になって、あんたたちが支援してるなかから逮捕者がでるなんてことになるかもしれない。それでもいいのか。そうでなくても、いいやつと悪いやつがいっしょなんて可能性もある。そういうときは、どうしたらいい?」
一枚十万のベストだろうが、千円のTシャツだろうが関係ない。
要するに目の前の困った状況になにをするか。
人を計る尺度なんて、できるだけ簡単なほうがいいのだ。
しばらく黙って、ヨウスケは頭のなかを整理しているようだった。
「路上に戻ってくるホームレスは急増している。公園に住めないので、みんなあちこちにばらばらになっているけど、基本的には住環境は以前より悪化しているんだ。二年前より、景気は悪くて、仕事は減っている。そうすると、どういうことが起きるのかな。普通の人間には見えないホームレスの社会で」
生き延びるための条件がすべて厳しくなれば、答えはひとつだった。
俺はあえて黙って、優希に視線を向けた。
わかるか?っと…
「ええと、生存競争は厳しくなる。貧しいもの同士が、ほんのわずかな取り分をめぐって争うことになる。小が小をくう」
言わせておいて、ゾッとする言葉だった。
だが格差の下半分のジャングルでは、そいつが当たり前なのかもしれない。
ほんの数年前、俺が中学生のころには想像もできなかった事態だ。
「最近炊き出しをしていると、足を痛そうに引きずっていたり、顔にあざをつくっている人が目につきだしたんだ。とくに豊島区周辺で。うちのスタッフが話をきいても、みな貝になって、なにも話してくれない。それで悠さんなら、なんとかなるかもしれないとおもったんだ。」
そういうことか。
だが、俺には気になることがもうひとつあった。
「ヨウスケとタカシの関係はどうなっているんだ。絆はSウルフの息のかかったボランティアじゃないよな。」
ここはどちらかといえばタカシより氷室さん側のテリトリーだし。
まあ、最近のギャングはどんなことでもやるので、それくらいのことでは驚いたりしないけどな。
ヨウスケは悲しい顔をした。
「このごろじゃあ、二十代のホームレスも増えているんだ。なかには何人か、タカシさんのところのメンバーもいるよ。タカシさんがいうには、ストリートでしのぐのも年々きつくなってきているんだって」
そういうことか。
二十代のホームレスがめずらしくない世の中。
俺たちはなんて希望にあふれる時代を生きていることか。
「じゃあ、あんたには問題のありかはわからないし、そいつをどういう方向に転がせばいいのかもわからないんだな。」
ヨウスケはじっと考えていた。
手のなかのスタバのカップを見つめている。
「うん、なさけないけど、そうかもしれない。」
「ことによると、なにか事件になって、あんたたちが支援してるなかから逮捕者がでるなんてことになるかもしれない。それでもいいのか。そうでなくても、いいやつと悪いやつがいっしょなんて可能性もある。そういうときは、どうしたらいい?」