ー特別編ー家なき者たちのパレード
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スターバックスのアイスラテのカップをもって、俺と優希、それにヨウスケはサンシャインシティのテラスに腰をおろした。
ステージにでもあるような幅の広い茶色いタイルの階段だ。
見上げると左手に六十階建ての高層ビルがそびえている。
頭上には高い雲と低い雲の混じった怪しい空。
夏と秋が同時に存在する微妙な空模様だ。
「悠さん、隣の方は?」
俺は優希を横目に見た。
なんと説明しようかと悩んだがありのままを伝えた。
「散歩ともだち。」
「あ、優希っていいます。邪魔なら席をはずしますけど…」
ヨウスケは構いませんよと笑って、話を進めた。
「お二人は、最近のホームレスの人たちのことは知ってる?」
残念だが、おれは向こうの世界に友人はいない。
優希も同じだろう。
そろって首を横に振るとヨウスケがいった。
「今はね、ああいう人たちはどんどん見えなくなっているんだ。」
どういうことだろうか。
ついさっきくすんだ行列を目撃したばかりだ。
「公園にあんなに集まっているのに、あれは透明人間なのか。」
ヨウスケはアイスラテをひと口のんだ。
「そうだよ。ああして集まってるのは、炊き出しのときだけなんだ。昔は東京のおおきな公園は、どこでも青いビニールシートの村ができていたでしょう。でも、そういうのは最近ではほとんど目にしなくなっているはずだよ。」
そういえば、池袋のほとんどの公園から、ブルーシートの町落はなくなっていた。
優希がいった。
「なんでかな、これだけ不景気なら、ああした人たちは増えているはずなのに」
ヨウスケは無感情にいった。
「役所が公園の正常化をすすめてるからだよ。東京の公園では、これまであったものはともかく、新しく小屋やテントなんかを設置することは禁止されたんだ。それで同時に自立支援のサービスを始めた。」
自立支援?
この世の中にはきれいに整えられた言葉があって、そいつはたいていの場合、より厳しいこと、汚れたことを隠すために使われている。
「なんだか嫌な感じだな。」
ヨウスケはニコリと笑った。
「悠さんは勘がいいから、説明が簡単だな。役所は四年前から公園に住んでいたホームレスにアパートを貸し出し始めたんだ。二年間の期限つきで、家賃はうんと安くして」
「なるほどな」
あまり甘くないアイスラテをのんだ。
二年の猶予期間にうまく仕事が見つかれば、ホームレス生活から脱出できるというわけだろう。
悪いプランではなかった。
ただし、そいつには二つの好条件が重ならなくちゃならない。
うまくいくのは、好景気で仕事がいくらでもあって、当人の勤労意欲がある場合のはなし。
ステージにでもあるような幅の広い茶色いタイルの階段だ。
見上げると左手に六十階建ての高層ビルがそびえている。
頭上には高い雲と低い雲の混じった怪しい空。
夏と秋が同時に存在する微妙な空模様だ。
「悠さん、隣の方は?」
俺は優希を横目に見た。
なんと説明しようかと悩んだがありのままを伝えた。
「散歩ともだち。」
「あ、優希っていいます。邪魔なら席をはずしますけど…」
ヨウスケは構いませんよと笑って、話を進めた。
「お二人は、最近のホームレスの人たちのことは知ってる?」
残念だが、おれは向こうの世界に友人はいない。
優希も同じだろう。
そろって首を横に振るとヨウスケがいった。
「今はね、ああいう人たちはどんどん見えなくなっているんだ。」
どういうことだろうか。
ついさっきくすんだ行列を目撃したばかりだ。
「公園にあんなに集まっているのに、あれは透明人間なのか。」
ヨウスケはアイスラテをひと口のんだ。
「そうだよ。ああして集まってるのは、炊き出しのときだけなんだ。昔は東京のおおきな公園は、どこでも青いビニールシートの村ができていたでしょう。でも、そういうのは最近ではほとんど目にしなくなっているはずだよ。」
そういえば、池袋のほとんどの公園から、ブルーシートの町落はなくなっていた。
優希がいった。
「なんでかな、これだけ不景気なら、ああした人たちは増えているはずなのに」
ヨウスケは無感情にいった。
「役所が公園の正常化をすすめてるからだよ。東京の公園では、これまであったものはともかく、新しく小屋やテントなんかを設置することは禁止されたんだ。それで同時に自立支援のサービスを始めた。」
自立支援?
この世の中にはきれいに整えられた言葉があって、そいつはたいていの場合、より厳しいこと、汚れたことを隠すために使われている。
「なんだか嫌な感じだな。」
ヨウスケはニコリと笑った。
「悠さんは勘がいいから、説明が簡単だな。役所は四年前から公園に住んでいたホームレスにアパートを貸し出し始めたんだ。二年間の期限つきで、家賃はうんと安くして」
「なるほどな」
あまり甘くないアイスラテをのんだ。
二年の猶予期間にうまく仕事が見つかれば、ホームレス生活から脱出できるというわけだろう。
悪いプランではなかった。
ただし、そいつには二つの好条件が重ならなくちゃならない。
うまくいくのは、好景気で仕事がいくらでもあって、当人の勤労意欲がある場合のはなし。