ー特別編ー家なき者たちのパレード
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「そうだな。秋宵月の料理は別格だからな。」
素直なキングが相手では、おれの調子がでない。
不機嫌にいった。
「あのな、基本的にはおれの方が料理は上手いからな。それに誰かが来たときだけ、がんばってんだよ。」
するとなぜかボディガードのほうが、えらくきつい目で俺を睨み付けてきたのだ。
タカシは笑っていった。
「秋宵月には、Sウルフのあいだでもファンが多くてな、口のききかたに気を付けた方がいいぞ」
なんてことだ。
身体を張って、この街の難事件を解決している俺よりも、うちの淡白で毒舌家の真桜のほうが人気なのである。
こいつは格差というより、立派な差別だ。
このロリコンどもめ…。
「わかったよ。うちの同居人については口を慎むことにする。それよりタカシが紹介したいやつって誰なんだ」
するとモデルのような王様が右手をあげた。
テントのほうから、若い男がひとりやってくる。
タカシと同じようなジレを着ているが、こっちのほうはデニムのエプロンをつけていた。
髪はくるくるのカーリーヘアだ。
俺たちのまえまでやってくると、ガキは軽く頭をさげた。
「絆(きずな)の武川洋介です。伝説の小鳥遊悠さんに会えるなんて光栄だな。」
礼儀ただしい青年だった。絆というのはラップグループかなにかだろうか。
俺はおかしな顔をしていたらしい。
ガキがいった。
「あ、あの絆っていうのは、ホームレスの人たちの支援組織で、ボランティアなんです。」
タカシはちらりとヨウスケのジレに目をやっていった。
「同じ服を着てるやつに初めて会った。悠、こいつが今回の依頼人だ。」
俺はにこにこ笑っているヨウスケを見た。
タカシと同じベストなら、どこかのハイブランドの品で一枚数十万はするのだろう。
金持ちの坊っちゃんのボランティアだ。
「で、アンタの依頼ってなんなの。」
俺がそういうと、ヨウスケはホームレスの行列を振り向いた。
「ここじゃちょっとまずいので、移動しませんか。」
やつはエプロンをはずすとくるくると丸め、公園のとなりにあるサンシャインシティに向かって歩き出した。
俺と優希がやつについていくと、背中でキングの声がした。
「紹介したぞ、悠。あとはおまえのほうで、よろしくやってくれ。手助けが必要なときは電話しろ。」
「おい、ちょっと待てよ。」
俺が叫んでも、ボディガードを従えた王様は涼しい顔で、都心の公園をでていってしまう。
植栽のむこうにメルセデスのRVが静かにとまった。
タカシは冷房のはいったクルマに消えた。
池袋はまだ封建制だ。
王は命じ、臣民は働く。
問題なのは、俺がけっこう面倒な労働が好きだってことなのかもしれない。
素直なキングが相手では、おれの調子がでない。
不機嫌にいった。
「あのな、基本的にはおれの方が料理は上手いからな。それに誰かが来たときだけ、がんばってんだよ。」
するとなぜかボディガードのほうが、えらくきつい目で俺を睨み付けてきたのだ。
タカシは笑っていった。
「秋宵月には、Sウルフのあいだでもファンが多くてな、口のききかたに気を付けた方がいいぞ」
なんてことだ。
身体を張って、この街の難事件を解決している俺よりも、うちの淡白で毒舌家の真桜のほうが人気なのである。
こいつは格差というより、立派な差別だ。
このロリコンどもめ…。
「わかったよ。うちの同居人については口を慎むことにする。それよりタカシが紹介したいやつって誰なんだ」
するとモデルのような王様が右手をあげた。
テントのほうから、若い男がひとりやってくる。
タカシと同じようなジレを着ているが、こっちのほうはデニムのエプロンをつけていた。
髪はくるくるのカーリーヘアだ。
俺たちのまえまでやってくると、ガキは軽く頭をさげた。
「絆(きずな)の武川洋介です。伝説の小鳥遊悠さんに会えるなんて光栄だな。」
礼儀ただしい青年だった。絆というのはラップグループかなにかだろうか。
俺はおかしな顔をしていたらしい。
ガキがいった。
「あ、あの絆っていうのは、ホームレスの人たちの支援組織で、ボランティアなんです。」
タカシはちらりとヨウスケのジレに目をやっていった。
「同じ服を着てるやつに初めて会った。悠、こいつが今回の依頼人だ。」
俺はにこにこ笑っているヨウスケを見た。
タカシと同じベストなら、どこかのハイブランドの品で一枚数十万はするのだろう。
金持ちの坊っちゃんのボランティアだ。
「で、アンタの依頼ってなんなの。」
俺がそういうと、ヨウスケはホームレスの行列を振り向いた。
「ここじゃちょっとまずいので、移動しませんか。」
やつはエプロンをはずすとくるくると丸め、公園のとなりにあるサンシャインシティに向かって歩き出した。
俺と優希がやつについていくと、背中でキングの声がした。
「紹介したぞ、悠。あとはおまえのほうで、よろしくやってくれ。手助けが必要なときは電話しろ。」
「おい、ちょっと待てよ。」
俺が叫んでも、ボディガードを従えた王様は涼しい顔で、都心の公園をでていってしまう。
植栽のむこうにメルセデスのRVが静かにとまった。
タカシは冷房のはいったクルマに消えた。
池袋はまだ封建制だ。
王は命じ、臣民は働く。
問題なのは、俺がけっこう面倒な労働が好きだってことなのかもしれない。