ー特別編ー家なき者たちのパレード
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
夏の終わりは稲妻と豪雨だった。
生物が出現する前の原始の海のように、むやみに近く遠く雷が落ちて、分厚い灰色のカーテンのような雨が街を包む。
この時代は天気だって獰猛でむき出しだ。
そのとき俺らは…
あぁ、俺らっていうのは、一人じゃないからだ。
最近知り合いになった、優希。
一個したで稲葉や千草の通う高校にいってるんだが、俺と同じで池袋を散歩する趣味があるらしく、たまーにこうして一緒にぶらぶらしてる。
それで、今は池袋西口から東口へ遠征の最中。
JRの路線をはさんで西口ではスコールのような雨が降り、ほんの百メートルばかりウイロードを抜けた東口では歩道はからからに乾燥していた。
天気の境界を越えるトンネルなんて、なんだかSFみたい。
もっともおかげで俺は自身が優希はびしょ濡れのビニール傘をもって、晴れたグリーン大通りを歩く間抜けになったんだけどな。
目的地は東組のランカーが集会所につかっている東池袋中央公園。
だが、今はガキのギャング団は夜にしか行動せず。
ホームレスの炊き出しが毎週火曜日に開かれる平和な副都心の公園だ。
俺が今日ここに来た理由は、例によってこの街のガキの王からの電話だった(やっぱり携帯なんか携帯するもんじゃないよな)。
指定されたのはその炊き出しの午後。
濡れた髪を絞ってグリーン大通りで振り返ると、パルコの向こうの西口の空は嵐のような黒雲で、こちら側は夏の終わりの冴えた青空だった。
なんだか格差社会そのものみたい。
こっちは晴れ。
向こうは土砂降り。
四列のケヤキが植わった園路を抜けると、奥は噴水のある広場だ。
スケートボード禁止の看板がやかましく立っている。
そこで一番目立つのは、なんだかくすんだ格好をした男たちの行列だった。
ほぼ広場を一周する勢いで、男たちは黙ってならんでいた。
年齢は若いやつから年寄りまで。最近のホームレスに年齢制限はないのだ。
簡易テントのしたに折りたたみテーブルが出され、でかい鍋がふたつ。
においはクリームシチューのようだった。
俺が鼻をくんくんいわせていると、背中に氷柱のようなキングの声が刺さった。
「腹がへってるなら、悠もならんだらどうだ。」
振り向くとS・ウルフの王様が秋物の新作を着て立っていた。
グレイのフラノのジレ(なんでベストといわないのか、俺には謎)に、同じくフラノの紺のパンツ。
ジレのしたは半袖での白いTシャツだった。
なんというかメンズファッション誌のグラビアみたいな王様。
さすがに二名のボディガードを忘れてはいなかったけどね。
おれは声をさげていった。
「みんなの分をとるわけにはいかないだろ。家に帰れば、まおの晩飯が待ってるんだから。」
なにか嫌みでもいってくるかと思ったら、キングはめずらしく素直にうなずいた。
生物が出現する前の原始の海のように、むやみに近く遠く雷が落ちて、分厚い灰色のカーテンのような雨が街を包む。
この時代は天気だって獰猛でむき出しだ。
そのとき俺らは…
あぁ、俺らっていうのは、一人じゃないからだ。
最近知り合いになった、優希。
一個したで稲葉や千草の通う高校にいってるんだが、俺と同じで池袋を散歩する趣味があるらしく、たまーにこうして一緒にぶらぶらしてる。
それで、今は池袋西口から東口へ遠征の最中。
JRの路線をはさんで西口ではスコールのような雨が降り、ほんの百メートルばかりウイロードを抜けた東口では歩道はからからに乾燥していた。
天気の境界を越えるトンネルなんて、なんだかSFみたい。
もっともおかげで俺は自身が優希はびしょ濡れのビニール傘をもって、晴れたグリーン大通りを歩く間抜けになったんだけどな。
目的地は東組のランカーが集会所につかっている東池袋中央公園。
だが、今はガキのギャング団は夜にしか行動せず。
ホームレスの炊き出しが毎週火曜日に開かれる平和な副都心の公園だ。
俺が今日ここに来た理由は、例によってこの街のガキの王からの電話だった(やっぱり携帯なんか携帯するもんじゃないよな)。
指定されたのはその炊き出しの午後。
濡れた髪を絞ってグリーン大通りで振り返ると、パルコの向こうの西口の空は嵐のような黒雲で、こちら側は夏の終わりの冴えた青空だった。
なんだか格差社会そのものみたい。
こっちは晴れ。
向こうは土砂降り。
四列のケヤキが植わった園路を抜けると、奥は噴水のある広場だ。
スケートボード禁止の看板がやかましく立っている。
そこで一番目立つのは、なんだかくすんだ格好をした男たちの行列だった。
ほぼ広場を一周する勢いで、男たちは黙ってならんでいた。
年齢は若いやつから年寄りまで。最近のホームレスに年齢制限はないのだ。
簡易テントのしたに折りたたみテーブルが出され、でかい鍋がふたつ。
においはクリームシチューのようだった。
俺が鼻をくんくんいわせていると、背中に氷柱のようなキングの声が刺さった。
「腹がへってるなら、悠もならんだらどうだ。」
振り向くとS・ウルフの王様が秋物の新作を着て立っていた。
グレイのフラノのジレ(なんでベストといわないのか、俺には謎)に、同じくフラノの紺のパンツ。
ジレのしたは半袖での白いTシャツだった。
なんというかメンズファッション誌のグラビアみたいな王様。
さすがに二名のボディガードを忘れてはいなかったけどね。
おれは声をさげていった。
「みんなの分をとるわけにはいかないだろ。家に帰れば、まおの晩飯が待ってるんだから。」
なにか嫌みでもいってくるかと思ったら、キングはめずらしく素直にうなずいた。