ー特別編ーWORLD・THE・LinkⅡ
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エレベーターで降りる途中で、救急車を呼んだ。あとはスパイダーの運が強いことを祈るだけだ。
本名がわかっても、なぜかその名前でやつを呼ぶ気にはなれなかった。この目で見て話もしたのに、とても実在の人間という感じではなかったのだ。
だから、あれほど多くの志願者が、自分の命を委ねたのかもしれない。この世界と向こうの世界の境界の住人なのだ。
黒いマーチは、新宿から西麻布にむかった。
俺たちが交互にスパイダーの最後を話すと、蒼白な顔でうなずいている。
夜だが工事渋滞していたので、三十分以上かかってしまった。
スパイダーのマンションは、緑の深い公園のような場所に立つ低層マンションだった。
しっかりと車寄せのある高級物件だ。
俺たちは最初に誰かいないか、オートロックの表示板で部屋番号を入れて確かめてみた。
何度鳴らしても返事はない。
カギを使って中に入った。
308号室は突き当たりの一番奥の部屋だ。
ドアを開ける。自動的に明かりのついた広い玄関は、白い大理石張りだった。
ヒデはいう。
「金持だったんだな」
三人で靴を脱いであがった。
長い廊下を奥にむかった。
壁を探り、照明のスイッチを入れた。二十畳ほどあるリビングルームだった。左右の壁には宝石店にあるようなガラスのショーケースが並んでいた。
銀のアクセサリーとたくさんのアニメのフィギュアが美術館のように整理され、展示してあった。もし…出会いがこうじゃなかったらいいダチになれていたかもしれない。
だが、そんなものより遥かに強烈なものがそこにはあった。最初に気づいたのは、ミズホである。
「この香り。わかる。悠さん……まさか、まさか……」
それは白木クリニックのロビーに漂っていたアロマと同じにおいだった。
四種類の精油をブレンドした院長オリジナルだ。
部屋の隅に押しつけられたアンティークのライティングディスクの引き出しを探った。
たくさんのビニール袋に小分けされた白い錠剤がでてくる。
コイツがイソミタールとブロバリンだろうか。古い名刺入れのなかからそいつを見つけたのも、ミズホだった。
明るいピンク色の診察券。白木クリニック。
ちゃんとスパイダーの名刺も印刷されていた。俺はいった。
「今夜はまだ終わらないな。ミズホ、院長に電話をかけてくれ、緊急で話があると」
ミズホは動転しているようだった。携帯さえうまくかけられない。俺だって表面は平静を装っていたが、内心は同じだった。
ヒデのひとことがすべてを表現していた。
「俺たちを支援してくれた人が、スパイダーとつうじてるなんて信じられない。」
そいつを確かめるために、俺たちは西麻布から下落合にむかった。
今度の三十分感は誰も口を開くものはいなかった。
俺は白木院長とスパイダーの関係について、必死に考えつづけた。
だが、いくら考えたところで、彼女は白にならなかった。
本名がわかっても、なぜかその名前でやつを呼ぶ気にはなれなかった。この目で見て話もしたのに、とても実在の人間という感じではなかったのだ。
だから、あれほど多くの志願者が、自分の命を委ねたのかもしれない。この世界と向こうの世界の境界の住人なのだ。
黒いマーチは、新宿から西麻布にむかった。
俺たちが交互にスパイダーの最後を話すと、蒼白な顔でうなずいている。
夜だが工事渋滞していたので、三十分以上かかってしまった。
スパイダーのマンションは、緑の深い公園のような場所に立つ低層マンションだった。
しっかりと車寄せのある高級物件だ。
俺たちは最初に誰かいないか、オートロックの表示板で部屋番号を入れて確かめてみた。
何度鳴らしても返事はない。
カギを使って中に入った。
308号室は突き当たりの一番奥の部屋だ。
ドアを開ける。自動的に明かりのついた広い玄関は、白い大理石張りだった。
ヒデはいう。
「金持だったんだな」
三人で靴を脱いであがった。
長い廊下を奥にむかった。
壁を探り、照明のスイッチを入れた。二十畳ほどあるリビングルームだった。左右の壁には宝石店にあるようなガラスのショーケースが並んでいた。
銀のアクセサリーとたくさんのアニメのフィギュアが美術館のように整理され、展示してあった。もし…出会いがこうじゃなかったらいいダチになれていたかもしれない。
だが、そんなものより遥かに強烈なものがそこにはあった。最初に気づいたのは、ミズホである。
「この香り。わかる。悠さん……まさか、まさか……」
それは白木クリニックのロビーに漂っていたアロマと同じにおいだった。
四種類の精油をブレンドした院長オリジナルだ。
部屋の隅に押しつけられたアンティークのライティングディスクの引き出しを探った。
たくさんのビニール袋に小分けされた白い錠剤がでてくる。
コイツがイソミタールとブロバリンだろうか。古い名刺入れのなかからそいつを見つけたのも、ミズホだった。
明るいピンク色の診察券。白木クリニック。
ちゃんとスパイダーの名刺も印刷されていた。俺はいった。
「今夜はまだ終わらないな。ミズホ、院長に電話をかけてくれ、緊急で話があると」
ミズホは動転しているようだった。携帯さえうまくかけられない。俺だって表面は平静を装っていたが、内心は同じだった。
ヒデのひとことがすべてを表現していた。
「俺たちを支援してくれた人が、スパイダーとつうじてるなんて信じられない。」
そいつを確かめるために、俺たちは西麻布から下落合にむかった。
今度の三十分感は誰も口を開くものはいなかった。
俺は白木院長とスパイダーの関係について、必死に考えつづけた。
だが、いくら考えたところで、彼女は白にならなかった。