ー特別編ーWORLD・THE・LinkⅡ
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自分の部屋に帰って、さっそくネットに飛んだ。スイ、スイ、スイサイド!は今日もハスの花びらを散らした明るいトップページだった。
心中掲示板にジャンプする。
先週の金曜日から新たに募集をかけているのは、ふたりだけ。
集団自殺の夏だって、そうそうそんなに募集者はいない。
最初のハンドルネームはダークプリンス。
メッセージを読んでみる。
最後のお楽しみを思い切り満喫してから、みんなで向こう側に行きましょう。ラクに、綺麗に、痛みなく。これが私たちのモットーです。
なるほど、なんにでもうまい売り文句があるようだった。
集団自殺の呼びかけというより、無駄毛の永久脱毛の広告のようだ。
二番目のハンドルネームは、夏の朝。こっちは小学校の学級文集みたい。
腫れた夏の朝のようにさわやかな気分で、最後の時を迎えましょう。もうあなたは十二分に生きたし、十分苦しみました。
自由と解放の夜明けは、間もなくです。一通のメールが、あなたの脱出への切符です。
こっちもなかなか見事なものだった。
俺は液晶のディスプレイの前でしばらく考えてから、同じ文面のメールをふたりの募集者に送った。
恥ずかしい出来だがこんなやつ。
俺は母親が死んで中学一年の時からずっと引きこもってる。中卒じゃ仕事はないし、外の世界が怖くてたまらない。
もうこの世界に生きていることに飽きてるし。一緒にいってくれる旅の仲間がいるとうれしいな。
しばらく迷ってハンドルネームをケンプに決めた。どうせだれにもわからないだろうし、コーサクの仇討の気持ちもあったのだ。
ダークプリンスからは翌日すぐに返事があった。
歓迎するというのだが、なぜか顔写真を送れという。俺は写真の類は苦手なのだがしかたなく、デジカメで撮った写真を添付ファイルにして送った。
意味はわからないが、好きなタイプの顔と死にたいのだろうか。
夏の朝からは翌々日にメールが来て。ていねいで紳士的な文章だ。こちらは何度かメールのやり取りをしてから、オフ会を開きたいという。
こうしたことをするには、メンバー同士のコミュニケーションと相性が大事なのだそうだ。
俺はミズホとヒデに連絡を取りながら、新たに心中掲示板に書き込みがないか、毎日あちこちの自殺系サイトをまわった。
こんな徒労の仕事はない。
だってあっちの世界のBBSを日々大量に読むのは、それは大変なのだ。
俺はコーサクを尊敬するようになったくらいだ。苦悩と憎しみと不適応を訴える液晶画面の数千行。
アンタも心理的な地獄めぐりをしたいなら、やってみるといいよ。それこそ本当に死にたくなるから。
その週の水曜日には、ダークプリンスからオフ会の誘いがあった。
土曜日に会わないかというのだ。
場所はなぜか大井街のカラオケボックスだった。
俺はいいといったのだが、ヒデとミズホも店の前で張るといってきかない。
コーサクの件で心配性になっているのだろう。
俺はめったに足を運ばないターミナルを横切った。大井街は東京のときの流れから十五年くらい置き去りにされたようなさびれた街だ。
駅前にあるカラオケボックスのチェーン店に入る。フロントわきに置かれたソファに腰掛けた。そこで午後四時に待ち合わせなのだ。
時間どおりに俺の前に立ったのは、初代ガンダムのプリントTシャツを着た眼鏡のチビだった。
心中掲示板にジャンプする。
先週の金曜日から新たに募集をかけているのは、ふたりだけ。
集団自殺の夏だって、そうそうそんなに募集者はいない。
最初のハンドルネームはダークプリンス。
メッセージを読んでみる。
最後のお楽しみを思い切り満喫してから、みんなで向こう側に行きましょう。ラクに、綺麗に、痛みなく。これが私たちのモットーです。
なるほど、なんにでもうまい売り文句があるようだった。
集団自殺の呼びかけというより、無駄毛の永久脱毛の広告のようだ。
二番目のハンドルネームは、夏の朝。こっちは小学校の学級文集みたい。
腫れた夏の朝のようにさわやかな気分で、最後の時を迎えましょう。もうあなたは十二分に生きたし、十分苦しみました。
自由と解放の夜明けは、間もなくです。一通のメールが、あなたの脱出への切符です。
こっちもなかなか見事なものだった。
俺は液晶のディスプレイの前でしばらく考えてから、同じ文面のメールをふたりの募集者に送った。
恥ずかしい出来だがこんなやつ。
俺は母親が死んで中学一年の時からずっと引きこもってる。中卒じゃ仕事はないし、外の世界が怖くてたまらない。
もうこの世界に生きていることに飽きてるし。一緒にいってくれる旅の仲間がいるとうれしいな。
しばらく迷ってハンドルネームをケンプに決めた。どうせだれにもわからないだろうし、コーサクの仇討の気持ちもあったのだ。
ダークプリンスからは翌日すぐに返事があった。
歓迎するというのだが、なぜか顔写真を送れという。俺は写真の類は苦手なのだがしかたなく、デジカメで撮った写真を添付ファイルにして送った。
意味はわからないが、好きなタイプの顔と死にたいのだろうか。
夏の朝からは翌々日にメールが来て。ていねいで紳士的な文章だ。こちらは何度かメールのやり取りをしてから、オフ会を開きたいという。
こうしたことをするには、メンバー同士のコミュニケーションと相性が大事なのだそうだ。
俺はミズホとヒデに連絡を取りながら、新たに心中掲示板に書き込みがないか、毎日あちこちの自殺系サイトをまわった。
こんな徒労の仕事はない。
だってあっちの世界のBBSを日々大量に読むのは、それは大変なのだ。
俺はコーサクを尊敬するようになったくらいだ。苦悩と憎しみと不適応を訴える液晶画面の数千行。
アンタも心理的な地獄めぐりをしたいなら、やってみるといいよ。それこそ本当に死にたくなるから。
その週の水曜日には、ダークプリンスからオフ会の誘いがあった。
土曜日に会わないかというのだ。
場所はなぜか大井街のカラオケボックスだった。
俺はいいといったのだが、ヒデとミズホも店の前で張るといってきかない。
コーサクの件で心配性になっているのだろう。
俺はめったに足を運ばないターミナルを横切った。大井街は東京のときの流れから十五年くらい置き去りにされたようなさびれた街だ。
駅前にあるカラオケボックスのチェーン店に入る。フロントわきに置かれたソファに腰掛けた。そこで午後四時に待ち合わせなのだ。
時間どおりに俺の前に立ったのは、初代ガンダムのプリントTシャツを着た眼鏡のチビだった。