ー特別編ーWORLD・THE・LinkⅡ
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俺の共感的理解もそこまでだった。
ついいつもの説教モードにはいってしまう。
「最低でいいんじゃないか。俺はコーサクが最低でもぜんぜんかまわないよ。誰かが側にいるとなにもしなくても雰囲気が変わるだろ。なにか立派なことをするから、生きる価値があるんじゃない。最低でも、くだらなくても、ウザくても、困ったちゃんでもいいんだ。そこにいるだけで、人間って風とか光なんかを周囲にだしてるんだ。コーサクの最低を見てくれる人がいて、そいつを頼りにする人もいる。わかるか、俺たちはみんな最低でいいんだよ。」
俺は自分の言葉に夢中になっていた。
あやうく最後に、だからお前もいきろとつけ加えそうになる。
コーサクには別に応援も、激励も必要ではなかったはずだ。
「ありがとう。やっぱり、悠さんはやさしいや。今日はいろいろ話ができて、すごく楽しかった。」
コーサクは坊っちゃん刈りの頭をかきあげて、笑って見せた。
俺が一番よく思い出すやつの顔は、やはりそのときの穏やかで満ち足りた笑顔だ。
心は逆流する。
コーサクの心が生きることにさからって動き出すのを……俺は止められなかった。
ただただ……残念だ。
金曜日夜十一時の六本木というのは、真夜中のオリンピック開会式みたいだ。
世界中の人間が集まって狭い歩道を回遊している。
開催国の日本人の方が少ないんじゃないだろうか。
空の友達が借りたのはアメリカ製のミニヴァンだった。
大人が六人のっても、たっぷりとくつろげる全幅が二メートルを超えるような大陸サイズ。
俺たちはそのヴァンが螺旋を描いてのぼったパーキングビルのまえに、マーチをとめていた。
ヒデは特殊警棒の先端を布で磨きながらいう。
「二十四時間営業の立体駐車場とは、よく考えたもんだな。これなら嫌でも明日には管理人が見つけてくれるだろう。遺体の腐敗の心配もない。都心だから、さしてドライブしなくてもいいしな。六本木の夜景を見ながら、人生にさよならだ。」
ミズホは腕時計を確かめた。
「コーサクから連絡がはいったら、すぐに突入するよ。今回は男が三人いるから、なにかあったら悠さんも動いてね。」
俺がうなずくと、ヒデがいった。
「あんなやつらなら、俺ひとりでも十分だけどな。」
俺のほうに予備の特殊警棒をさしだした。にやりと笑ってキン肉マンはいう。
「窓ガラスを砕くには、素手ってわけにもいかないだろう。なにもこいつでやつらの頭を叩いて、目を覚まそうというわけじゃない。」
それもそうだった。
一酸化炭素中毒は急性だ。新鮮な空気をいれるために一刻を争うとき、どんな得物をつかうかためらっている場合ではなかった。
俺はずしりと重い特殊警棒のゴム巻きハンドルに、手のひらをなじませた。
クルマの外を外国人と外国人みたいになりたい日本人の女たちが、川のように流れていく。
あとは待つだけだった。
ついいつもの説教モードにはいってしまう。
「最低でいいんじゃないか。俺はコーサクが最低でもぜんぜんかまわないよ。誰かが側にいるとなにもしなくても雰囲気が変わるだろ。なにか立派なことをするから、生きる価値があるんじゃない。最低でも、くだらなくても、ウザくても、困ったちゃんでもいいんだ。そこにいるだけで、人間って風とか光なんかを周囲にだしてるんだ。コーサクの最低を見てくれる人がいて、そいつを頼りにする人もいる。わかるか、俺たちはみんな最低でいいんだよ。」
俺は自分の言葉に夢中になっていた。
あやうく最後に、だからお前もいきろとつけ加えそうになる。
コーサクには別に応援も、激励も必要ではなかったはずだ。
「ありがとう。やっぱり、悠さんはやさしいや。今日はいろいろ話ができて、すごく楽しかった。」
コーサクは坊っちゃん刈りの頭をかきあげて、笑って見せた。
俺が一番よく思い出すやつの顔は、やはりそのときの穏やかで満ち足りた笑顔だ。
心は逆流する。
コーサクの心が生きることにさからって動き出すのを……俺は止められなかった。
ただただ……残念だ。
金曜日夜十一時の六本木というのは、真夜中のオリンピック開会式みたいだ。
世界中の人間が集まって狭い歩道を回遊している。
開催国の日本人の方が少ないんじゃないだろうか。
空の友達が借りたのはアメリカ製のミニヴァンだった。
大人が六人のっても、たっぷりとくつろげる全幅が二メートルを超えるような大陸サイズ。
俺たちはそのヴァンが螺旋を描いてのぼったパーキングビルのまえに、マーチをとめていた。
ヒデは特殊警棒の先端を布で磨きながらいう。
「二十四時間営業の立体駐車場とは、よく考えたもんだな。これなら嫌でも明日には管理人が見つけてくれるだろう。遺体の腐敗の心配もない。都心だから、さしてドライブしなくてもいいしな。六本木の夜景を見ながら、人生にさよならだ。」
ミズホは腕時計を確かめた。
「コーサクから連絡がはいったら、すぐに突入するよ。今回は男が三人いるから、なにかあったら悠さんも動いてね。」
俺がうなずくと、ヒデがいった。
「あんなやつらなら、俺ひとりでも十分だけどな。」
俺のほうに予備の特殊警棒をさしだした。にやりと笑ってキン肉マンはいう。
「窓ガラスを砕くには、素手ってわけにもいかないだろう。なにもこいつでやつらの頭を叩いて、目を覚まそうというわけじゃない。」
それもそうだった。
一酸化炭素中毒は急性だ。新鮮な空気をいれるために一刻を争うとき、どんな得物をつかうかためらっている場合ではなかった。
俺はずしりと重い特殊警棒のゴム巻きハンドルに、手のひらをなじませた。
クルマの外を外国人と外国人みたいになりたい日本人の女たちが、川のように流れていく。
あとは待つだけだった。