ー特別編ーWORLD・THE・LinkⅡ
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「そうね。そういう人もいるわね。でも、医者には守秘義務があって、患者さんのことは話せないし、スイサイドをされてもそれをぶつける相手もいない。日本では正式な統計は出していないけれど、欧米諸国では医師の自殺率は成功したビジネスマンなどより何倍も高いの」
そんなにきつい仕事なら、俺は看護師と遊ばなくてもいいやと思った。
ちなみに自殺率は人口十万人中何人の自殺者がでたかという数字だ。
日本ではこの数年三十近くで高値安定している。
日ざしの明るさとエアコンの涼しさ。
こんな快適な場所で、集団自殺の話をしている自分がおかしかった。
それに最初にこのクリニックにはいったときから気になっていたことが、俺にはあった。
「この香りはなんですか」
それはわずかに甘く、どこかゆったりとした香りだった。
エレベーターのなかの香水のように強烈ではない。
遠くから風にのり漂ってくる森の奥の香りだ。
「私は医師免許だけでなく、日本アロマテラピー協会のインストラクター資格ももっているの。これは情緒不安に効果があるといわれる四つの精油を混ぜたオリジナリブレンドよ。ラベンダーにマージョラムにイランイランにカモマイル。ブレンドの比率は秘密」
ミズホが窓の外の明るさに目を細めていった。
「これからどうしたらいいの。クモ男はまだ、自殺幇助を続けるつもりなのかな」
院長はちらりと腕時計を見ていった。
「そうね。自分の正しさをその人は疑っていないでしょう。最終的な解放がスイサイドであるという自分なりの宗教的な行為なのかもしれない。よく徳を積むと僧侶がいうけれど、この人にとっては自殺をプロデュースすることが、自分の徳を積むことになっているのかもしれない。それでいつか十分に善行を重ねたら……」
俺は甘い香りをかぎながらいった。
「自分も向こうに旅立てる」
院長はうなずいて、白い手でさらに一段白い胸元を押さえた。
「あなたがたはこの人自身のスイサイドを止めるためにも、集団自殺事件をそししなければいけない。私はクライアントがまっているから、もういきます。いつでもいいから、事態が進展したら連絡をください。クラブのみんなによろしくね」
すっと白百合のような立ち上がると、観葉植物の向こうに消えてしまった。
俺は思わず口笛を吹きそうになった。
今回は美人ばかりがでてくる素敵なトラブルだ。
ミズホは俺の肩をつついていう。
「ねえ、素敵でしょう。白木先生。わたしたちみんなの自慢なんだよ。」
明日からはおれもあの女医の事を自慢しよう。
採血妖怪の柳はポイだな。
そう思ってオリジナリブレンドの香りを思いきり吸い込んだ。
そんなにきつい仕事なら、俺は看護師と遊ばなくてもいいやと思った。
ちなみに自殺率は人口十万人中何人の自殺者がでたかという数字だ。
日本ではこの数年三十近くで高値安定している。
日ざしの明るさとエアコンの涼しさ。
こんな快適な場所で、集団自殺の話をしている自分がおかしかった。
それに最初にこのクリニックにはいったときから気になっていたことが、俺にはあった。
「この香りはなんですか」
それはわずかに甘く、どこかゆったりとした香りだった。
エレベーターのなかの香水のように強烈ではない。
遠くから風にのり漂ってくる森の奥の香りだ。
「私は医師免許だけでなく、日本アロマテラピー協会のインストラクター資格ももっているの。これは情緒不安に効果があるといわれる四つの精油を混ぜたオリジナリブレンドよ。ラベンダーにマージョラムにイランイランにカモマイル。ブレンドの比率は秘密」
ミズホが窓の外の明るさに目を細めていった。
「これからどうしたらいいの。クモ男はまだ、自殺幇助を続けるつもりなのかな」
院長はちらりと腕時計を見ていった。
「そうね。自分の正しさをその人は疑っていないでしょう。最終的な解放がスイサイドであるという自分なりの宗教的な行為なのかもしれない。よく徳を積むと僧侶がいうけれど、この人にとっては自殺をプロデュースすることが、自分の徳を積むことになっているのかもしれない。それでいつか十分に善行を重ねたら……」
俺は甘い香りをかぎながらいった。
「自分も向こうに旅立てる」
院長はうなずいて、白い手でさらに一段白い胸元を押さえた。
「あなたがたはこの人自身のスイサイドを止めるためにも、集団自殺事件をそししなければいけない。私はクライアントがまっているから、もういきます。いつでもいいから、事態が進展したら連絡をください。クラブのみんなによろしくね」
すっと白百合のような立ち上がると、観葉植物の向こうに消えてしまった。
俺は思わず口笛を吹きそうになった。
今回は美人ばかりがでてくる素敵なトラブルだ。
ミズホは俺の肩をつついていう。
「ねえ、素敵でしょう。白木先生。わたしたちみんなの自慢なんだよ。」
明日からはおれもあの女医の事を自慢しよう。
採血妖怪の柳はポイだな。
そう思ってオリジナリブレンドの香りを思いきり吸い込んだ。