ー特別編ーWORLD・THE・LinkⅡ
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黒い小型車が着いたのは、下落合の高級住宅街だった。
フェンスと門と外車が二台とめられる駐車場のある屋敷が並ぶ静かな街だ。
ときどき教会なんかもあったりする。
俺にはまるで似合わない街。
駐車場にマーチをとめて、建物を見上げる。
中くらいのヤシの木が四本前庭に植えられていた。
そのむこうは開放的なリゾートホテルみたいなガラス張りの中層ビルだ。
俺は木彫りのプレートを読んだ。
「白木クリニックか、ここはなんの病院。もしかすると美容整形クリニックか」
サングラスをかけたミズホが、首を横に振った。
「違う。すごく明るいけど、評判のいい心療内科のクリニック」
心療内科、昔なら精神科だ。なんでも言葉だけ入れ替わっていくものだ。
実態は変わらないのに、意味だけどんどんぼやかされていく。
俺たちはそのうちセックスのことを遺伝子攪拌作業なんていうようになるかもしれない。
なあベイビー、今夜おれと攪拌しないか?なんてね。
俺はアホな事を真面目に考えながら、ミズホに続いて素焼きのタイルのロビーにはいった。
おおきな葉ものの鉢植えが完璧に計算された位置におかれていた。
あちこちに散らばったソファは、おかげで見事に互いの視線からシャットアウトされるのだ。
患者同士が相手を見ることはない。
受付でミズホが院長の名前を出してから十分後、窓越しに夏の日ざしが跳ねるソファに白いスーツの女がやって来た。
三十代後半くらいか。
だが、金のある女の年はわからないものだ。
若く見える四十代なかばといわれても、驚かなかっただろう。
「白木先生、紹介します。こちらが池袋のトラブルシューターで小鳥遊悠さん」
俺ははじめましてと頭をさげた。
シンプルなカットジャケットのしたには、白いキャミソールだけだった。
広い胸の肌がなめらかだ。かすかに微笑んだまま女医はいう。
「座りましょう。あなたね、ミズホさんがすごくカウンセリングマインドがあるといっていた人は」
カウンセリングマインドねぇ…俺が小さく呟くとべっぴんの院長はいった。
「カウンセリングマインドっていうのはね…」
「無条件の共感、受容、自己一致の三条件を満たして、あとは…相手のいうことに徹底して耳を傾けること…でしたっけ?」
俺が答えると、ミズホと院長は目を丸くした。
「あら、アナタ本当にスゴいわね。そのとおりよ、知識は勉強できるけれど、このマインドは誰にでもあるものじゃないの。アナタがカウンセラーになったら、若い男の子や女の子が話を聞いてもらいたくて殺到するんじゃないかしら」
左手でまえ髪をかきあげた。ピンクのクロコダイルベルトのフランクミュラーは、数百万もするジャンピングアワーだった。
そんなにもうかるなら、おれもカウンセラーになろうかな。
ミズホはいう。
「昨日から悠さんにも、うちのクラブの手伝いをしてもらっているんです。今朝のニュースみましたか。」
フェンスと門と外車が二台とめられる駐車場のある屋敷が並ぶ静かな街だ。
ときどき教会なんかもあったりする。
俺にはまるで似合わない街。
駐車場にマーチをとめて、建物を見上げる。
中くらいのヤシの木が四本前庭に植えられていた。
そのむこうは開放的なリゾートホテルみたいなガラス張りの中層ビルだ。
俺は木彫りのプレートを読んだ。
「白木クリニックか、ここはなんの病院。もしかすると美容整形クリニックか」
サングラスをかけたミズホが、首を横に振った。
「違う。すごく明るいけど、評判のいい心療内科のクリニック」
心療内科、昔なら精神科だ。なんでも言葉だけ入れ替わっていくものだ。
実態は変わらないのに、意味だけどんどんぼやかされていく。
俺たちはそのうちセックスのことを遺伝子攪拌作業なんていうようになるかもしれない。
なあベイビー、今夜おれと攪拌しないか?なんてね。
俺はアホな事を真面目に考えながら、ミズホに続いて素焼きのタイルのロビーにはいった。
おおきな葉ものの鉢植えが完璧に計算された位置におかれていた。
あちこちに散らばったソファは、おかげで見事に互いの視線からシャットアウトされるのだ。
患者同士が相手を見ることはない。
受付でミズホが院長の名前を出してから十分後、窓越しに夏の日ざしが跳ねるソファに白いスーツの女がやって来た。
三十代後半くらいか。
だが、金のある女の年はわからないものだ。
若く見える四十代なかばといわれても、驚かなかっただろう。
「白木先生、紹介します。こちらが池袋のトラブルシューターで小鳥遊悠さん」
俺ははじめましてと頭をさげた。
シンプルなカットジャケットのしたには、白いキャミソールだけだった。
広い胸の肌がなめらかだ。かすかに微笑んだまま女医はいう。
「座りましょう。あなたね、ミズホさんがすごくカウンセリングマインドがあるといっていた人は」
カウンセリングマインドねぇ…俺が小さく呟くとべっぴんの院長はいった。
「カウンセリングマインドっていうのはね…」
「無条件の共感、受容、自己一致の三条件を満たして、あとは…相手のいうことに徹底して耳を傾けること…でしたっけ?」
俺が答えると、ミズホと院長は目を丸くした。
「あら、アナタ本当にスゴいわね。そのとおりよ、知識は勉強できるけれど、このマインドは誰にでもあるものじゃないの。アナタがカウンセラーになったら、若い男の子や女の子が話を聞いてもらいたくて殺到するんじゃないかしら」
左手でまえ髪をかきあげた。ピンクのクロコダイルベルトのフランクミュラーは、数百万もするジャンピングアワーだった。
そんなにもうかるなら、おれもカウンセラーになろうかな。
ミズホはいう。
「昨日から悠さんにも、うちのクラブの手伝いをしてもらっているんです。今朝のニュースみましたか。」