ー特別編ーWORLD・THE・LinkⅡ
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俺は十五分以上早く階段を降りて、うちのまえのガードレールに腰かけた。
ぼんやりと夜に心を開いて俺のまえにすべりこんできたのは、メタリックブラックのニッサン・マーチだった。
黒いフィルムを張ったパワーウインドウが音もなくさがる。
「待った、悠さん」
ミズホのスタイルは昼とは一変していた。
銀のタンクトップにグレイのホットパンツ。
太ももの白さが、夜に鮮やかだった。
髪はとうもろこしの穂のように黄色い縦ロールのエクステンション。
いかした遊び人のソウルクィーンだ。
「これでも変装なの。この格好で目撃されても、昼の私だとは誰も思わないでしょ」
素敵な変装だと二枚目の調子で決めようとしたそのとき、頭のうえから声が降ってきた。
「悠、また、女かなの。悪くないじゃないかなの。しっかり遊んでこいなの」
見上げると窓が開いて、真桜が浴衣で顔をだしていた。
デートなんかじゃなく、集団自殺をとめにいくんだ。俺はそう叫びそうになった。
ミズホはマーチから顔をだして、明るくいった。
「いもうとさーん、ちょっと悠さんを借りていくねー。」
妹とじゃないし、女たちが笑顔で協定を結ぶときにはろくなことがない。俺たちの敵は、つねに手ごわい。
真夜中の池袋駅周辺はいつも渋滞だった。
マーチはなかなかまえにすすまない。
俺がちらりと太ももをみたのに気づいたのだろう。
ミズホがダッシュボードのしたからスプレー缶を投げてよこした。
「私はもう塗ったから、悠さんもつかえば」
缶を見ると、虫よけと書いてある。
俺は腕と首筋にスプレーをつかった。
「雑司ヶ谷霊園で張るのか。あそこ蚊が多いもんな」
ミズホは自動車三台分マーチをすすめて、にこりと笑う。
「でも、どうやって集団自殺が今夜だとわかったんだ」
「簡単だよ。だって、レンタカーのなかにはコーサクが乗ってるんだもん。コーサクの携帯はGPSで所在地を追えるように設定してあるし」
あんなに気が弱そうなやつなのに、とんでもない潜入工作員だった。
「でも、ひとり切りなんだろ。危なくないのか」
ミズホはぐんとアクセルを踏んだ。
背中がバックシートに押し付けられる。
「そういうときもあるかもね。でも、あぶなくなったらすぐにヒデに緊急コールがはいるから。ヒデは暗くなってからずっとバイクでレンタカーを追ってるんだ」
俺はハーレーダビッドソンにアーノルド・シュワルツネッガーを想像した。
あれは『ターミネーター』のパート2だったよな。
ときの流れは早いものだ。殺人アンドロイドはカリフォルニア州知事にも変わるんだから。
「やっぱ、ハーレーに乗ってんの?」
ミズホは驚いた顔をする
「どうしてわかるの。ヒデのご自慢は黒のダイナ・ワイドグライドだよ。さすがだね、悠さん」
俺はただの思い付きだとばれないように、雑司ヶ谷までもう口は聞かなかった。
ぼんやりと夜に心を開いて俺のまえにすべりこんできたのは、メタリックブラックのニッサン・マーチだった。
黒いフィルムを張ったパワーウインドウが音もなくさがる。
「待った、悠さん」
ミズホのスタイルは昼とは一変していた。
銀のタンクトップにグレイのホットパンツ。
太ももの白さが、夜に鮮やかだった。
髪はとうもろこしの穂のように黄色い縦ロールのエクステンション。
いかした遊び人のソウルクィーンだ。
「これでも変装なの。この格好で目撃されても、昼の私だとは誰も思わないでしょ」
素敵な変装だと二枚目の調子で決めようとしたそのとき、頭のうえから声が降ってきた。
「悠、また、女かなの。悪くないじゃないかなの。しっかり遊んでこいなの」
見上げると窓が開いて、真桜が浴衣で顔をだしていた。
デートなんかじゃなく、集団自殺をとめにいくんだ。俺はそう叫びそうになった。
ミズホはマーチから顔をだして、明るくいった。
「いもうとさーん、ちょっと悠さんを借りていくねー。」
妹とじゃないし、女たちが笑顔で協定を結ぶときにはろくなことがない。俺たちの敵は、つねに手ごわい。
真夜中の池袋駅周辺はいつも渋滞だった。
マーチはなかなかまえにすすまない。
俺がちらりと太ももをみたのに気づいたのだろう。
ミズホがダッシュボードのしたからスプレー缶を投げてよこした。
「私はもう塗ったから、悠さんもつかえば」
缶を見ると、虫よけと書いてある。
俺は腕と首筋にスプレーをつかった。
「雑司ヶ谷霊園で張るのか。あそこ蚊が多いもんな」
ミズホは自動車三台分マーチをすすめて、にこりと笑う。
「でも、どうやって集団自殺が今夜だとわかったんだ」
「簡単だよ。だって、レンタカーのなかにはコーサクが乗ってるんだもん。コーサクの携帯はGPSで所在地を追えるように設定してあるし」
あんなに気が弱そうなやつなのに、とんでもない潜入工作員だった。
「でも、ひとり切りなんだろ。危なくないのか」
ミズホはぐんとアクセルを踏んだ。
背中がバックシートに押し付けられる。
「そういうときもあるかもね。でも、あぶなくなったらすぐにヒデに緊急コールがはいるから。ヒデは暗くなってからずっとバイクでレンタカーを追ってるんだ」
俺はハーレーダビッドソンにアーノルド・シュワルツネッガーを想像した。
あれは『ターミネーター』のパート2だったよな。
ときの流れは早いものだ。殺人アンドロイドはカリフォルニア州知事にも変わるんだから。
「やっぱ、ハーレーに乗ってんの?」
ミズホは驚いた顔をする
「どうしてわかるの。ヒデのご自慢は黒のダイナ・ワイドグライドだよ。さすがだね、悠さん」
俺はただの思い付きだとばれないように、雑司ヶ谷までもう口は聞かなかった。