ー特別編ーWORLD・THE・LinkⅡ
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ヒデがゆっくり口を開いた。あごから首筋にかけての筋肉が連動して動く。
人間の身体はおもしろいものだ。
「募集地も東京近郊ばかりだったし、眠剤と練炭にレンタカーというやり口もいっしょだった。それにおすすめのクスリのコンビもな。おれたちがクモ野郎に気づいたのはまだひと月ほどまえのことだ。」
俺はヒデの身体をそれとなく観察していた。
こっちにはリストカットの跡はない。
全身の筋肉が鎧のようなものだろう。
傷ついた心を守り、自殺未遂者をぶっ飛ばすための。
「それでアンタたちは自殺系サイトのスパイダーを探しだし、集団自殺の数を減らしたい。じゃあ、素直に知っていることをすべて警察に流せよ。これだけ事件が続いているんだ、やつらだって必死に動くさ」
コーサクがしたをむいていった。
「無理だよ。ぼくたちもあれこれやってるから、警察には追われてるんだ。とくにヒデがときどきやりすぎちゃうことがあって」
筋肉男は涼しい顔をしている。コーサクは困った顔をした。
「どうも自殺の現場にいくと冷静じゃいられなくなるみたいなんだ。自殺を止めるだけじゃなく、相手に怪我をさせたりさ」
ヒデは両手を胸の前で組んだ。平然という。
「なあ悠、アンタは戦争が起きると、自殺率が劇的に低下するのを知ってるか。よその国の人間を殺そうとすると、みんな自殺はしなくなるものなんだ。だから、俺は自殺しようなんてやつは、ちょっと痛め付けておいてやる。それでこの世界が絶えざる戦争状態にあるんだって思い出させてやるのさ。」
より大きな暴力のまえでは、ちいさな暴力は許されるのか。
哲学的な難問だ。
バカな学生の俺にそんな質問はしないでほしい。
けど、一発くらいぶん殴ってやってもいいかな。だって死ぬよりは、青アザのほうがずっといいからね。
「具体的にはどうしたらいい。アンタたちのことだ。もう動いているんだろう」
今回の依頼者は、困ったと泣きついてくる素人ではなかった。
自分達がなにをやりたいか、そのための方法はなにか、俺よりよく知っているチームなのだ。
ミズホはにこりと笑っていった。
「今、コーサクが心中掲示板に何通か応募のメールを送ってる。コーサクは潜入役で、私は監視と作戦を担当している。で、ヒデは……」
ミズホは黙って俺を見た。いわなくてもわかるでしょ。
俺がうなずくとあとを続ける。
「集団自殺の数はたくさんすぎて手がまわらないし、遺児の目ではなく冷静に事態を把握できる人間も必要。できればあぶない世界のことも知ってて、人の手配ができるとなおいい。そうやってあちこちでつてをたあっていたら、悠さんの名前があがった。条件を聞くと、これがぴったり。」
そこでミズホは俺の目をまっすぐに見つめていった。
人間の身体はおもしろいものだ。
「募集地も東京近郊ばかりだったし、眠剤と練炭にレンタカーというやり口もいっしょだった。それにおすすめのクスリのコンビもな。おれたちがクモ野郎に気づいたのはまだひと月ほどまえのことだ。」
俺はヒデの身体をそれとなく観察していた。
こっちにはリストカットの跡はない。
全身の筋肉が鎧のようなものだろう。
傷ついた心を守り、自殺未遂者をぶっ飛ばすための。
「それでアンタたちは自殺系サイトのスパイダーを探しだし、集団自殺の数を減らしたい。じゃあ、素直に知っていることをすべて警察に流せよ。これだけ事件が続いているんだ、やつらだって必死に動くさ」
コーサクがしたをむいていった。
「無理だよ。ぼくたちもあれこれやってるから、警察には追われてるんだ。とくにヒデがときどきやりすぎちゃうことがあって」
筋肉男は涼しい顔をしている。コーサクは困った顔をした。
「どうも自殺の現場にいくと冷静じゃいられなくなるみたいなんだ。自殺を止めるだけじゃなく、相手に怪我をさせたりさ」
ヒデは両手を胸の前で組んだ。平然という。
「なあ悠、アンタは戦争が起きると、自殺率が劇的に低下するのを知ってるか。よその国の人間を殺そうとすると、みんな自殺はしなくなるものなんだ。だから、俺は自殺しようなんてやつは、ちょっと痛め付けておいてやる。それでこの世界が絶えざる戦争状態にあるんだって思い出させてやるのさ。」
より大きな暴力のまえでは、ちいさな暴力は許されるのか。
哲学的な難問だ。
バカな学生の俺にそんな質問はしないでほしい。
けど、一発くらいぶん殴ってやってもいいかな。だって死ぬよりは、青アザのほうがずっといいからね。
「具体的にはどうしたらいい。アンタたちのことだ。もう動いているんだろう」
今回の依頼者は、困ったと泣きついてくる素人ではなかった。
自分達がなにをやりたいか、そのための方法はなにか、俺よりよく知っているチームなのだ。
ミズホはにこりと笑っていった。
「今、コーサクが心中掲示板に何通か応募のメールを送ってる。コーサクは潜入役で、私は監視と作戦を担当している。で、ヒデは……」
ミズホは黙って俺を見た。いわなくてもわかるでしょ。
俺がうなずくとあとを続ける。
「集団自殺の数はたくさんすぎて手がまわらないし、遺児の目ではなく冷静に事態を把握できる人間も必要。できればあぶない世界のことも知ってて、人の手配ができるとなおいい。そうやってあちこちでつてをたあっていたら、悠さんの名前があがった。条件を聞くと、これがぴったり。」
そこでミズホは俺の目をまっすぐに見つめていった。