ー特別編ーWORLD・THE・LinkⅡ
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「なぜ、クモがいるとわかるんだ」
コーサクがまた口のなかでつぶやいた。
「イソミタールとブロバリン」
「なんだ、それ」
俺がやつの目をみると、コーサクは弱気に視線を伏せた。
「スパイダーが推奨する睡眠導入剤の組み合わせ。強力だから、ガスを吸い込んでも目を覚まさない。眠ったまま楽にあっちにいけるんだって」
「ちょっと待ってくれ。自殺したやつがどんな睡眠薬をのんでいたかなんて、どうしてアンタ達が知ってるんだ。警察のなかに協力者がいるのか」
首を横に振ったのはみずほだった。
「そんなんじゃない。だから、さっき返事を先にもらったでしょう。こっちも危ない橋をわたってる。私たちは集団自殺に失敗した人から、その情報を聞き出した。」
そこで俺は反自殺クラブの仕事の暗い半面に、ようやく気づいたのだった。
まったく鈍い探偵。
ヒデの言葉を思い出す。
「強制的、物理的な手段ってやつか」
アメリカ軍放出品を着たプロレスラーのようなガキが初めて笑って見せた。」
「そう、アンタ、けっこう頭いいな。俺たちが間に合ったときには、いくらか情報が仕入れられる。間に合わないときには、まあ、いくつか死体を発見する。」
ヒデは僧帽筋を盛り上がらせて肩をすくめた。
俺は肩をすくめるだけで、スペクタクルになる身体を見たのはふたり目だ(一人は金剛)。
「なんで、そんなに身体を鍛えたんだ。」
ヒデは前歯をむきだして笑った。
「自分の身体は裏切らないからな。俺のおやじが首をつったのは、小学校三年のときだった。人には病気で死んだといえと母親にはいわれた。おやじの写真は全部燃やされて一枚も残っていない。親戚は誰もうちに遊びには来なくなった。俺は身体がちいさかったし、おやじのせいでいじめられてたから、身体を徹底的に鍛えこんだ。」
俺はヒデから目をそらした。やつの視線には直接的な暴力を感じさせる圧力がある。
いじめられなくなった代わりに、他人から恐れられるようになる。
こういうのを立派な大人になったというのだろうか。
「わかった。俺はこうみえて気が弱いから、俺の前でボディービルのポーズはやめてくれ。怖くて失神する。」
コーサクとミズホがほんのちょっとだけ笑った。
初めてのポイント1。
心中掲示板のスパイダーは、あるこれとハンドルネームを変えては、集団自殺の志願者を募集しているという。
最初におかしいと気づいたのは、ミズホだったそうだ。
「私たちがスイ、スイ、スイサイド!を定期的にチェックしてるのは話したよね。あそこのBBSに書き込まれた募集者の文章をよんでいて、あることに気づいた。ハンドルネームはみんな違うし、文体も変えているみたいだけれど、使われている言葉に妙な共通点があった。」
人の書くものは、どれほどスタイルを変えても、知性とその体系は隠せない。
コーサクがまた口のなかでつぶやいた。
「イソミタールとブロバリン」
「なんだ、それ」
俺がやつの目をみると、コーサクは弱気に視線を伏せた。
「スパイダーが推奨する睡眠導入剤の組み合わせ。強力だから、ガスを吸い込んでも目を覚まさない。眠ったまま楽にあっちにいけるんだって」
「ちょっと待ってくれ。自殺したやつがどんな睡眠薬をのんでいたかなんて、どうしてアンタ達が知ってるんだ。警察のなかに協力者がいるのか」
首を横に振ったのはみずほだった。
「そんなんじゃない。だから、さっき返事を先にもらったでしょう。こっちも危ない橋をわたってる。私たちは集団自殺に失敗した人から、その情報を聞き出した。」
そこで俺は反自殺クラブの仕事の暗い半面に、ようやく気づいたのだった。
まったく鈍い探偵。
ヒデの言葉を思い出す。
「強制的、物理的な手段ってやつか」
アメリカ軍放出品を着たプロレスラーのようなガキが初めて笑って見せた。」
「そう、アンタ、けっこう頭いいな。俺たちが間に合ったときには、いくらか情報が仕入れられる。間に合わないときには、まあ、いくつか死体を発見する。」
ヒデは僧帽筋を盛り上がらせて肩をすくめた。
俺は肩をすくめるだけで、スペクタクルになる身体を見たのはふたり目だ(一人は金剛)。
「なんで、そんなに身体を鍛えたんだ。」
ヒデは前歯をむきだして笑った。
「自分の身体は裏切らないからな。俺のおやじが首をつったのは、小学校三年のときだった。人には病気で死んだといえと母親にはいわれた。おやじの写真は全部燃やされて一枚も残っていない。親戚は誰もうちに遊びには来なくなった。俺は身体がちいさかったし、おやじのせいでいじめられてたから、身体を徹底的に鍛えこんだ。」
俺はヒデから目をそらした。やつの視線には直接的な暴力を感じさせる圧力がある。
いじめられなくなった代わりに、他人から恐れられるようになる。
こういうのを立派な大人になったというのだろうか。
「わかった。俺はこうみえて気が弱いから、俺の前でボディービルのポーズはやめてくれ。怖くて失神する。」
コーサクとミズホがほんのちょっとだけ笑った。
初めてのポイント1。
心中掲示板のスパイダーは、あるこれとハンドルネームを変えては、集団自殺の志願者を募集しているという。
最初におかしいと気づいたのは、ミズホだったそうだ。
「私たちがスイ、スイ、スイサイド!を定期的にチェックしてるのは話したよね。あそこのBBSに書き込まれた募集者の文章をよんでいて、あることに気づいた。ハンドルネームはみんな違うし、文体も変えているみたいだけれど、使われている言葉に妙な共通点があった。」
人の書くものは、どれほどスタイルを変えても、知性とその体系は隠せない。