ー特別編ーWORLD・THE・LinkⅡ
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「もうやらないんだ。」
ミズホは強靭に笑う。
そいつは苦しんでなにかを受け入れたやつが見せる意志の笑いだ。
この世界にいるのが楽しいから笑うんじゃない。
わかるだろうか。
このくだらない世界の片隅で、それでも自分にできることがあると発見したやつの笑顔なのだ。
「うん、もうやらない。私にはこのクラブがあるし、仲間もいる。わたしたちみたいになる子供をひとりでもすくなくしたいんだ。それもただのカウンセリングや、相談ではなくね。」
胸のまえで腕を組んで、ヒデがうなった。
「ときには強制的、物理的な手段を使ってもな。」
ミズホは微笑んでいう。
「それが私たちの反自殺クラブの仕事だよ。協力してくれる人だっているしね。そう悪くない成果もあげている」
目的が立派なのはわかった。
だが、その方法がわからなかった。
ひっそりと死んでいく自殺者を、このいかれた、だが高貴な三人はどうやってとめるというのだろうか。
俺のアホ面をみて、ヒデがいった。
「トラブルシューターなんて、やっぱりただの噂だったんじゃないか。」
俺は手をあげた。
「ちょっと待てよ。それよりどうやってとめるというだ。自殺なんてみんなバラバラにやるもんだろ。第一俺はアンタたちの活動なんて聞いたことがないけど」
小柄なコーサクが顔をあげた。坊っちゃん刈りに流行のピンクのTシャツ、太めのジーンズは七分丈だ。
つぶやくようにいう。
「日本の自殺者は七年連続三万人を超えてる。自殺遺児だって毎年一万人ずつ増えてる。そのすべてをとめられるわけじゃないよ。でも、いくつかの動きなら追うことはできる。特に集団でやるやつならね。」
ようやく俺にも話が見えてきた。
「自殺系サイトか」
ミズホがヒデにうなずいてみせた。
悪くなさそうじゃない、この人。俺の読心術もまんざらでもない。
「そう。私たちは常時悪質な二十から三十の自殺系サイトを監視してる。とくに注意してるのは集団自殺のメンバーを募集してる心中掲示板。なかでも、問題のサイトはこれ」
ミズホはショルダーバッグから折り畳んだ紙を取り出した。
右手には分厚いリストバンドが巻いてある。
ラコステにワニのマーク。だが、俺はリストバンドの端からのぞく白い古傷を見てしまった。
あわてて目をそらせたが、女の勘は鋭い。
おれのほうへプリントアウトを滑らせていった。
「子供の頃の悪い癖。何度もリストカットはやったけど、今考えると一度も本気じゃなかったと思う。ファンデーションじゃごまかせなくてさ。それより、見て」
俺は黙ってうなずいた。
冗談をいう気にもなれない。
バカげた話だが、昔は自殺遺伝子なんてのが研究されたこともあったらしい。
今じゃそんなデタラメは誰も信じちゃいないけどね。俺は紙を開いた。
「一億二千万人の明るい自殺!スイ、スイ、スイサイド!なんだ。こりゃ」
ミズホは強靭に笑う。
そいつは苦しんでなにかを受け入れたやつが見せる意志の笑いだ。
この世界にいるのが楽しいから笑うんじゃない。
わかるだろうか。
このくだらない世界の片隅で、それでも自分にできることがあると発見したやつの笑顔なのだ。
「うん、もうやらない。私にはこのクラブがあるし、仲間もいる。わたしたちみたいになる子供をひとりでもすくなくしたいんだ。それもただのカウンセリングや、相談ではなくね。」
胸のまえで腕を組んで、ヒデがうなった。
「ときには強制的、物理的な手段を使ってもな。」
ミズホは微笑んでいう。
「それが私たちの反自殺クラブの仕事だよ。協力してくれる人だっているしね。そう悪くない成果もあげている」
目的が立派なのはわかった。
だが、その方法がわからなかった。
ひっそりと死んでいく自殺者を、このいかれた、だが高貴な三人はどうやってとめるというのだろうか。
俺のアホ面をみて、ヒデがいった。
「トラブルシューターなんて、やっぱりただの噂だったんじゃないか。」
俺は手をあげた。
「ちょっと待てよ。それよりどうやってとめるというだ。自殺なんてみんなバラバラにやるもんだろ。第一俺はアンタたちの活動なんて聞いたことがないけど」
小柄なコーサクが顔をあげた。坊っちゃん刈りに流行のピンクのTシャツ、太めのジーンズは七分丈だ。
つぶやくようにいう。
「日本の自殺者は七年連続三万人を超えてる。自殺遺児だって毎年一万人ずつ増えてる。そのすべてをとめられるわけじゃないよ。でも、いくつかの動きなら追うことはできる。特に集団でやるやつならね。」
ようやく俺にも話が見えてきた。
「自殺系サイトか」
ミズホがヒデにうなずいてみせた。
悪くなさそうじゃない、この人。俺の読心術もまんざらでもない。
「そう。私たちは常時悪質な二十から三十の自殺系サイトを監視してる。とくに注意してるのは集団自殺のメンバーを募集してる心中掲示板。なかでも、問題のサイトはこれ」
ミズホはショルダーバッグから折り畳んだ紙を取り出した。
右手には分厚いリストバンドが巻いてある。
ラコステにワニのマーク。だが、俺はリストバンドの端からのぞく白い古傷を見てしまった。
あわてて目をそらせたが、女の勘は鋭い。
おれのほうへプリントアウトを滑らせていった。
「子供の頃の悪い癖。何度もリストカットはやったけど、今考えると一度も本気じゃなかったと思う。ファンデーションじゃごまかせなくてさ。それより、見て」
俺は黙ってうなずいた。
冗談をいう気にもなれない。
バカげた話だが、昔は自殺遺伝子なんてのが研究されたこともあったらしい。
今じゃそんなデタラメは誰も信じちゃいないけどね。俺は紙を開いた。
「一億二千万人の明るい自殺!スイ、スイ、スイサイド!なんだ。こりゃ」