ー特別編ーWORLD・THE・LinkⅡ
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俺とミズホが肩を並べ、そのうしろにヒデ、そのあとをすねた子どものようにコーサクがついてきて、おかしなフォーメーションはできあがった。
向かうのはリッカの店から歩いてほんの数分の西口公園だ。
もちろん今回は殺人的な紫外線の照りつける円形広場ではなく、芸術劇場のカフェの方。
俺たち四人は店の隅のテーブルに席をとった。
アイスカフェオレが届くと、俺はミズホの胸をじっと見た。
ロゴってこんなときはありがたいよな。
「反自殺クラブって、なんなんだ」
ミズカはヒデとコーサクに目をやった。
うなずいて口を開く。
「そのまえに最初に私たちがであった場所をいわなくちゃいけないね。」
ヒデは力強くうなずいたが、こーさくは椅子のうえで身体を縮めただけだった。
「私たちがであったのは、育英会の会場だった。そこは交通事故や自然災害や病気なんかで親をなくした子がたくさんいた。広い会場のなかでヒデとコーサクを見つけたとき、すぐにわたしはわかった」
ミズカは初めてやわらかに微笑んでみせた。
残念ながらそれは俺にではなく、俺の両脇の二人に向けられたものだったけれど。
「ああ、この人たちは、私と同じだ。親が自殺して遺された子供だって」
高い天井ではゆっくりとファンがまわっていた。
あたりが急に静かになる。
「交通事故や災害では、どれほど親の死を悲しんでも、自分を責めることはないよね。うちのとうさんが死んだ前日のこと、私は何千回も思い出して自分を責めたよ。中学二年の春だった。あのとき声をかけておけばよかったかな。いっしょに夕ごはんをたべたら、あんなことしなかったかな。肩を叩いてあげたり、話を聞いてあげればよかったのかな。いっしょにテレビを見て、ちょっと甘えて、なにかを買ってってわがままをいえばよかったかな。あれをしたら、これをしたら、いつもそう考えているうちに朝になった。でも、何千回自分を責めても、時間は絶対元にもどらないし、あの日に起きたことはなにひとつ変わらないんだよね。」
涙もろい俺はそれだけでぐっときているのに、ミズカの目は明るいままだ。
数限りなく自分を責めて、悲しみは透明に結晶化したのだろう。
遠く微笑んだままいう。
「それからはひどいものだった。うちの場合は生命保険のおかげで、なんとか暮らせたからヒデのところみたいにお金の苦労はなかったけどね」
ヒデは半眼の顔を静かに沈めてみせた。
「その代わり、うちのとうさんくらいの年で、なにかに困っている男の人がいると放っておけなくなった。助けられなかったとうさんの代わりだったのかなあ。一時期四十代後半の男とめちゃめちゃにやりまくったから」
ラッキーなオヤジたち。
だが、俺だったらそんな理由でセックスができても、うれしくなんかない。
向かうのはリッカの店から歩いてほんの数分の西口公園だ。
もちろん今回は殺人的な紫外線の照りつける円形広場ではなく、芸術劇場のカフェの方。
俺たち四人は店の隅のテーブルに席をとった。
アイスカフェオレが届くと、俺はミズホの胸をじっと見た。
ロゴってこんなときはありがたいよな。
「反自殺クラブって、なんなんだ」
ミズカはヒデとコーサクに目をやった。
うなずいて口を開く。
「そのまえに最初に私たちがであった場所をいわなくちゃいけないね。」
ヒデは力強くうなずいたが、こーさくは椅子のうえで身体を縮めただけだった。
「私たちがであったのは、育英会の会場だった。そこは交通事故や自然災害や病気なんかで親をなくした子がたくさんいた。広い会場のなかでヒデとコーサクを見つけたとき、すぐにわたしはわかった」
ミズカは初めてやわらかに微笑んでみせた。
残念ながらそれは俺にではなく、俺の両脇の二人に向けられたものだったけれど。
「ああ、この人たちは、私と同じだ。親が自殺して遺された子供だって」
高い天井ではゆっくりとファンがまわっていた。
あたりが急に静かになる。
「交通事故や災害では、どれほど親の死を悲しんでも、自分を責めることはないよね。うちのとうさんが死んだ前日のこと、私は何千回も思い出して自分を責めたよ。中学二年の春だった。あのとき声をかけておけばよかったかな。いっしょに夕ごはんをたべたら、あんなことしなかったかな。肩を叩いてあげたり、話を聞いてあげればよかったのかな。いっしょにテレビを見て、ちょっと甘えて、なにかを買ってってわがままをいえばよかったかな。あれをしたら、これをしたら、いつもそう考えているうちに朝になった。でも、何千回自分を責めても、時間は絶対元にもどらないし、あの日に起きたことはなにひとつ変わらないんだよね。」
涙もろい俺はそれだけでぐっときているのに、ミズカの目は明るいままだ。
数限りなく自分を責めて、悲しみは透明に結晶化したのだろう。
遠く微笑んだままいう。
「それからはひどいものだった。うちの場合は生命保険のおかげで、なんとか暮らせたからヒデのところみたいにお金の苦労はなかったけどね」
ヒデは半眼の顔を静かに沈めてみせた。
「その代わり、うちのとうさんくらいの年で、なにかに困っている男の人がいると放っておけなくなった。助けられなかったとうさんの代わりだったのかなあ。一時期四十代後半の男とめちゃめちゃにやりまくったから」
ラッキーなオヤジたち。
だが、俺だったらそんな理由でセックスができても、うれしくなんかない。