ー特別編ーWORLD・THE・LinkⅡ
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……そこまでいうなら、俺も反対はしなかった。
タバコを吸いすぎのヴィーナスにいう。
「アンタがダサくて気持ち悪いという男の中にも、こんなやつがいる。きっと男の気持ちなんてわからないと思うけど、ここにいるやつの事は忘れるなよ」
キヨヒコは唇を結んで、リトグラフの箱をこわきにかかえた。
俺にむかって、うなずく。呆然としているエリーに俺はいった。
「また明日からアンタはカモを探すといい。だけど、俺たちはみんな探しているものしか見つけない。アンタはどんな男と出会っても、カモにしか見えないだろう。歩合でいくら高給とりでも、俺はアンタみたいになりたくないな。じゃあ」
ドアを閉めるとき、ヴィーナスを見た。
エリーは何度か百円ライターをつけようとしたが、なぜかうまく火花が飛ばないようだった。
天然ガスにも嫌われたかのかもしれない。
外にでると夏の日はだいぶかたむいていた。
俺はキヨヒコと肩を並べて、グリーン大通りを駅の方へもどった。
セミの鳴き声は午前中よりずっとやかましかった。
「あれでよかったんですよね」
わからないといった。
キヨヒコは頭をかいた。
「カッコつけすぎたかなあ。あとで後悔しそうな気がしてきた。」
俺はケヤキの枝のあいだにのぞく夏の空を見上げた。緑の中の青。飛行機雲が一直線に海のほうへ伸びている。
「じゃあ、今すぐクーリングオフの電話しろよ。五年がかりの返済だぞ。」
「いや、やっぱりいいです」
気分がよくなってきた。
きっと夏の涼しい夕風のせいだろう。
「なんだかおまえって、よくわかんないやつだな。」
俺はずる賢い詐欺師よりも、ちょっとすけべでも実直でこつこつ働くカモのほうが好きだ。
やつにはいわなかったけどな。
俺たちが別れたのは、西口公園の東武口だ。
まだ日は高いのに、どこかの学生がコンパのために集合していた。
手拍子をするバカがいる。
キヨヒコが軽く頭をさげた。
「今日はどうもありがとうございました。何かの形でこのお礼はさせてもらいます」
俺はやつの肩をぽんと叩いてやった。
「わかった。期待しないでまってる。」
そのまま俺は振り返らずにリッカの店にバイトに帰った。
きっとやつも振り向くことはなかっただろう。
だいたいあそこは湿っぽい公園ではないのだ。
それから数日して、テレビのワイドショーで絵画商法が大々的にとりあげられた。
エウレーカの反応は素早かった。
池袋の街には警察の手入れの噂が流れ、つぎの日には臨時休業の札が出されたのである。
グリーン大通りの店はそのまま改装されて、携帯ショップに様変わりした。
エリーというスタイル抜群の女の姿も、この街から消えてしまった。
きっとまたどこか別な街で、男を騙していることだろう。
ほかの生きたかを見つけられたらいいけれど、それはあのヴィーナス自身の問題だ。
タバコを吸いすぎのヴィーナスにいう。
「アンタがダサくて気持ち悪いという男の中にも、こんなやつがいる。きっと男の気持ちなんてわからないと思うけど、ここにいるやつの事は忘れるなよ」
キヨヒコは唇を結んで、リトグラフの箱をこわきにかかえた。
俺にむかって、うなずく。呆然としているエリーに俺はいった。
「また明日からアンタはカモを探すといい。だけど、俺たちはみんな探しているものしか見つけない。アンタはどんな男と出会っても、カモにしか見えないだろう。歩合でいくら高給とりでも、俺はアンタみたいになりたくないな。じゃあ」
ドアを閉めるとき、ヴィーナスを見た。
エリーは何度か百円ライターをつけようとしたが、なぜかうまく火花が飛ばないようだった。
天然ガスにも嫌われたかのかもしれない。
外にでると夏の日はだいぶかたむいていた。
俺はキヨヒコと肩を並べて、グリーン大通りを駅の方へもどった。
セミの鳴き声は午前中よりずっとやかましかった。
「あれでよかったんですよね」
わからないといった。
キヨヒコは頭をかいた。
「カッコつけすぎたかなあ。あとで後悔しそうな気がしてきた。」
俺はケヤキの枝のあいだにのぞく夏の空を見上げた。緑の中の青。飛行機雲が一直線に海のほうへ伸びている。
「じゃあ、今すぐクーリングオフの電話しろよ。五年がかりの返済だぞ。」
「いや、やっぱりいいです」
気分がよくなってきた。
きっと夏の涼しい夕風のせいだろう。
「なんだかおまえって、よくわかんないやつだな。」
俺はずる賢い詐欺師よりも、ちょっとすけべでも実直でこつこつ働くカモのほうが好きだ。
やつにはいわなかったけどな。
俺たちが別れたのは、西口公園の東武口だ。
まだ日は高いのに、どこかの学生がコンパのために集合していた。
手拍子をするバカがいる。
キヨヒコが軽く頭をさげた。
「今日はどうもありがとうございました。何かの形でこのお礼はさせてもらいます」
俺はやつの肩をぽんと叩いてやった。
「わかった。期待しないでまってる。」
そのまま俺は振り返らずにリッカの店にバイトに帰った。
きっとやつも振り向くことはなかっただろう。
だいたいあそこは湿っぽい公園ではないのだ。
それから数日して、テレビのワイドショーで絵画商法が大々的にとりあげられた。
エウレーカの反応は素早かった。
池袋の街には警察の手入れの噂が流れ、つぎの日には臨時休業の札が出されたのである。
グリーン大通りの店はそのまま改装されて、携帯ショップに様変わりした。
エリーというスタイル抜群の女の姿も、この街から消えてしまった。
きっとまたどこか別な街で、男を騙していることだろう。
ほかの生きたかを見つけられたらいいけれど、それはあのヴィーナス自身の問題だ。