ー特別編ーWORLD・THE・LinkⅡ
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『ええ、だいじょうぶですけど』
俺は真夏の日差しを見た。今日の午後は暑くなりそうだ。
真夏日を遥かに超えるいつもの三十五度コース。
「俺は西口公園にいるから、あのビキニ女の絵をもってきてくれ」
驚いた声でやつはいう。
『えっ』
「いいから絵をもってこい。なんなら三枚全部でもいいぞ」
『それでどうするんですか』
にやりと笑っていってやる。年よりむけのテレビ番組の名だ。
「なんでも鑑定団」
『……』
やつにはちんぷんかんぷんのようだった。
「いいから絵をもってこいよ。それからエウレーカに出撃だ。」
キヨヒコが西口公園に現れたのは三十分後。
缶のレモンスカッシュとソフトクリーム一個分のあとである。
俺はそのあいだ池袋のビル街の空をたっぷりと眺めていた。
アンタが三十分間、空を見た最後はいつだろうか。
あの無限に変化を続ける空と積乱雲。
いそがしいなんてばかりいってないで、俺たちはたまには空を見たほうがいい。
冴えないコットンパンツに冴えないボタンダウンシャツのキヨヒコが、芸術劇場のほうからやってきた。
冴えないチェックの生地が汗で肩に張り付いている。
大切そうに小脇に抱えるのは、薄手のダンボールだった。
やつは俺の座るパイプベンチのまえに立った。
額から汗の滴をたらして、真剣な顔をしている。
「ギャラリーにいくって、どういうことなんですか」
「まあ、座れよ。」
俺はぬるくなったレモンスカッシュをわたしてやった。
キヨヒコは一度炭酸にむせたが、ひと息でのみほしてしまった。
高田から池袋まで炎天下を歩いてきたのでは無理もない。
「いいか。俺とお前はダチの振りをする。」
怪訝そうな表情でやつはうなずいた。
「それで、俺はお前の部屋に遊びにいった。」
「……はい」
「ありえない話だが、俺はジョナサンのイルカに一目惚れした。」
まだ不思議そうな表情。
「俺は同じビキニ女のリトグラフを探しに、昨日エウレーカにいったが、その絵はなかった」
キヨヒコはどこかうれしそうにいった。
「ああ、あれはギャラリーに残った最後の一点だったんです」
やっぱり救われないやつ。じれったくなって、俺はいう。
「どうしてもあのリトが欲しい俺は、キヨヒコに売ってくれと頼んだ。もちろんかった値段は当人だからわかっているが、将来の価値もふくめて実際どのくらいの価格で手放せばいいか。クレジットの金利もあるしな。そっちにはそれがまったく見当つかない。」
のみこみの悪いキヨヒコにもようやく筋がみえてきたようだった。
「それでぼくたちは困って相談にいく。」
「そうだ。その程度のアフターサービスはやってくれるだろう。まだクーリングオフの期間も終わってないんだしな。だいたいあのギャラリーはフォローがなってないんだ」
そこで俺たちは池袋駅の西口から東口にむかって、意気揚々とでかけていった。
俺は真夏の日差しを見た。今日の午後は暑くなりそうだ。
真夏日を遥かに超えるいつもの三十五度コース。
「俺は西口公園にいるから、あのビキニ女の絵をもってきてくれ」
驚いた声でやつはいう。
『えっ』
「いいから絵をもってこい。なんなら三枚全部でもいいぞ」
『それでどうするんですか』
にやりと笑っていってやる。年よりむけのテレビ番組の名だ。
「なんでも鑑定団」
『……』
やつにはちんぷんかんぷんのようだった。
「いいから絵をもってこいよ。それからエウレーカに出撃だ。」
キヨヒコが西口公園に現れたのは三十分後。
缶のレモンスカッシュとソフトクリーム一個分のあとである。
俺はそのあいだ池袋のビル街の空をたっぷりと眺めていた。
アンタが三十分間、空を見た最後はいつだろうか。
あの無限に変化を続ける空と積乱雲。
いそがしいなんてばかりいってないで、俺たちはたまには空を見たほうがいい。
冴えないコットンパンツに冴えないボタンダウンシャツのキヨヒコが、芸術劇場のほうからやってきた。
冴えないチェックの生地が汗で肩に張り付いている。
大切そうに小脇に抱えるのは、薄手のダンボールだった。
やつは俺の座るパイプベンチのまえに立った。
額から汗の滴をたらして、真剣な顔をしている。
「ギャラリーにいくって、どういうことなんですか」
「まあ、座れよ。」
俺はぬるくなったレモンスカッシュをわたしてやった。
キヨヒコは一度炭酸にむせたが、ひと息でのみほしてしまった。
高田から池袋まで炎天下を歩いてきたのでは無理もない。
「いいか。俺とお前はダチの振りをする。」
怪訝そうな表情でやつはうなずいた。
「それで、俺はお前の部屋に遊びにいった。」
「……はい」
「ありえない話だが、俺はジョナサンのイルカに一目惚れした。」
まだ不思議そうな表情。
「俺は同じビキニ女のリトグラフを探しに、昨日エウレーカにいったが、その絵はなかった」
キヨヒコはどこかうれしそうにいった。
「ああ、あれはギャラリーに残った最後の一点だったんです」
やっぱり救われないやつ。じれったくなって、俺はいう。
「どうしてもあのリトが欲しい俺は、キヨヒコに売ってくれと頼んだ。もちろんかった値段は当人だからわかっているが、将来の価値もふくめて実際どのくらいの価格で手放せばいいか。クレジットの金利もあるしな。そっちにはそれがまったく見当つかない。」
のみこみの悪いキヨヒコにもようやく筋がみえてきたようだった。
「それでぼくたちは困って相談にいく。」
「そうだ。その程度のアフターサービスはやってくれるだろう。まだクーリングオフの期間も終わってないんだしな。だいたいあのギャラリーはフォローがなってないんだ」
そこで俺たちは池袋駅の西口から東口にむかって、意気揚々とでかけていった。