ー特別編ーWORLD・THE・LinkⅡ
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その足でまっすぐ目指したのは東口の五差路だった。
さすがにもう三十分近く歩くのは嫌なので、目白からひと駅だけJRをつかった。
おれの場合いつでも移動はコンパクトである。
グリーン大通りは池袋駅まえからサンシャイン60のほうへ走る片側四輪車戦もある並木道だ。両側には背の高いケヤキが遥か先まで続いている。都心の緑の谷間という感じ。
ギャラリーなんかをやるには、ちょうどいい雰囲気かもしれない。
五差路の交差点の先、肩幅の広い遊歩道にやつらが罠を張っていた。
身体にピッチリとあった黒いミニスカスーツの女たちが、自分自身を餌にしてカードをまいているのだ。
おれは通りの反対側から、しばらく女たちの動きを観察した。
中年以上の男と十代のガキ。
ミニスカ女はその二種類は見事にパスしていた。大人の男をだますのは難しいだろうし、十代ではクレジットに簡単に加入できないからな。
だいたいやつらが声をかける男のタイプは決まっているようだった。
あまりいかしてない若い男。
ファッションがどこかちぐはぐだったり、おたくっぽかたり、女のにおいがしない男。
遊び人風(池袋駅の近くなのだ、そんなガキも無数)もきれいにカットしてしまう。
なんとなく敵の様子はわかった。
俺は学生という雰囲気を消しつつ暗い顔をして、ゼブラゾーンを渡った。
俺なりのもてない男の演技なのだが、悠ならば、なんて嫌味をいってくるかわからないな。
最初に声をかけてきたのは、ちょっと目じりのしわの目立つ美人だった。
女は目を細めて俺を値踏みした。
赤い唇をいっぱいに開いて笑顔を作る。
あのカードを差し出した。
「素敵な絵があるんです。少しだけ見ていきませんか。」
かなりがっかりした。俺はやはりカモの側に見えるのだろうか。
すでに普通ではありえないほど身体をすり寄せてくる。顔と顔の距離はほんの五十センチ。
香水のにおいは鼻のいい猟犬なら気絶しそうなほど。
「悪いけど知り合いの紹介なんだ。中宮恵里衣さんて人いないかな」
女の顔では笑顔が、手元ではカードがさっとひっこめられた。
「エリーちゃん、ちょっとご指名のお客さま。」
歩道の向こう側の端に立っていた女がこちらを振り向いた。
背は高い。足がきれい。グラマー。
顔はすごい美人ではなかったが、キヨヒコの三枚の絵に描かれていたビキニ女に似た彫の深い顔立ちだった。
エリーは困ったような笑顔でやってきた。まあ、この商売はめったに紹介客など来ないだろうから、それも当然である。
「お客様、お名前は」
俺は本名をいった。別に隠すほどのこともない。
「友達の今泉清彦から、聞いてきたんだ。ジョナサンなんとかの絵が見られるんだろ」
エリーはビジネスモードに入ったようだった。笑いが最大出力手に固定される。
「ジョナサン・デイヴィスのリトグラフをご覧になったんですか。素敵ですよねぇ」
俺は照れたふりをして目をそらした。
さすがにもう三十分近く歩くのは嫌なので、目白からひと駅だけJRをつかった。
おれの場合いつでも移動はコンパクトである。
グリーン大通りは池袋駅まえからサンシャイン60のほうへ走る片側四輪車戦もある並木道だ。両側には背の高いケヤキが遥か先まで続いている。都心の緑の谷間という感じ。
ギャラリーなんかをやるには、ちょうどいい雰囲気かもしれない。
五差路の交差点の先、肩幅の広い遊歩道にやつらが罠を張っていた。
身体にピッチリとあった黒いミニスカスーツの女たちが、自分自身を餌にしてカードをまいているのだ。
おれは通りの反対側から、しばらく女たちの動きを観察した。
中年以上の男と十代のガキ。
ミニスカ女はその二種類は見事にパスしていた。大人の男をだますのは難しいだろうし、十代ではクレジットに簡単に加入できないからな。
だいたいやつらが声をかける男のタイプは決まっているようだった。
あまりいかしてない若い男。
ファッションがどこかちぐはぐだったり、おたくっぽかたり、女のにおいがしない男。
遊び人風(池袋駅の近くなのだ、そんなガキも無数)もきれいにカットしてしまう。
なんとなく敵の様子はわかった。
俺は学生という雰囲気を消しつつ暗い顔をして、ゼブラゾーンを渡った。
俺なりのもてない男の演技なのだが、悠ならば、なんて嫌味をいってくるかわからないな。
最初に声をかけてきたのは、ちょっと目じりのしわの目立つ美人だった。
女は目を細めて俺を値踏みした。
赤い唇をいっぱいに開いて笑顔を作る。
あのカードを差し出した。
「素敵な絵があるんです。少しだけ見ていきませんか。」
かなりがっかりした。俺はやはりカモの側に見えるのだろうか。
すでに普通ではありえないほど身体をすり寄せてくる。顔と顔の距離はほんの五十センチ。
香水のにおいは鼻のいい猟犬なら気絶しそうなほど。
「悪いけど知り合いの紹介なんだ。中宮恵里衣さんて人いないかな」
女の顔では笑顔が、手元ではカードがさっとひっこめられた。
「エリーちゃん、ちょっとご指名のお客さま。」
歩道の向こう側の端に立っていた女がこちらを振り向いた。
背は高い。足がきれい。グラマー。
顔はすごい美人ではなかったが、キヨヒコの三枚の絵に描かれていたビキニ女に似た彫の深い顔立ちだった。
エリーは困ったような笑顔でやってきた。まあ、この商売はめったに紹介客など来ないだろうから、それも当然である。
「お客様、お名前は」
俺は本名をいった。別に隠すほどのこともない。
「友達の今泉清彦から、聞いてきたんだ。ジョナサンなんとかの絵が見られるんだろ」
エリーはビジネスモードに入ったようだった。笑いが最大出力手に固定される。
「ジョナサン・デイヴィスのリトグラフをご覧になったんですか。素敵ですよねぇ」
俺は照れたふりをして目をそらした。