ー特別編ーWORLD・THE・LinkⅡ
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人の金ならたまにはあるが、おれは自分の金で百五十万などという大金を見たことはない。感心していってしまった。
「工場って、そんなに給料いいんだ。」
キヨヒコはだまって首を横に振る
「よくはない。仕事のある月とない月があるから、年収にしたら三百万円いくか、いかないかだよ。」
それなら、日本中の低取得者と同じである。
最も長年の貯金があるのかもしれない。
「キャッシュで買ったのか」
「いいや。三枚ともローンで」
どういうことだろうか。
きっとおれの頭が悪くて事態がうまく飲み込めないのだろう。
「年収の半分もつぎ込むほど、アンタはジョナサンなんとかが気にいった」
やつはまたも首を横に振った。
「年収の半分じゃない」
「どういうこと?」
「クレジット会社のローンには金利がつくから。すごい長期のローンなんだ。三枚分合わせると返済総額は、五年間で五百万近くになる。」
「年収二年分か。マジかよ」
普段はめったに使わない言葉を口にしていた。それって、チョー高いっていうか。
「でも、絵のことはいいんです。それより彼女のほうが心配で」
詐欺まがいの悪質な絵画商法のセールスレディが心配?このカモは正気なのだろうか。
キヨヒコはウエストポーチから、今度は一枚の名刺を差し出す。
角の丸まった薄いピンクの名刺だった。
エウレーカ池袋店 お客様係 中宮恵里衣。
芸名みたい。
「アンタこのエリーって女から三枚もジョナサンなんとかの絵を買ったのか」
キヨヒコはしっかりとうなずいた。
確信犯である。
「すくなくとも三回目には、この絵にそんな値打ちがないのはわかっていたんだろ。」
「まあ、だいたいは……」
あきれてものがいえない。
このカモはわざわざ自分から罠にはまりにいったのだ。
「じゃあ、おれに相談なんかしても意味ないじゃないか。」
キヨヒコはさっと顔をあげた。
冴えない男の必死な目つきだった。
「でも、エリーさんにはなにか事情があるらしくて。悪意があって、その絵を売っているようには思えないんです。」
公園のケヤキが風に揺れる。
この葉がたがいにささめきあっていた。
「アンタ善人だな。それで似たような絵を三枚も買ったんだ」
お人よしとはいえなかった。
キヨヒコはうなずいていった。
「だから、エリーさんの本心を確かめたくて。小鳥遊悠さんや宗方六花さんは詐欺だとか、非合法スレスレのビジネスにも詳しいって聞いて…」
俺の気のせいだろうか。
最近世の中は誰かをだまして金を無視ろうというやつがものすごい勢いで増えてきている。
だまされるのはたいてい知識と経験のないやつら。愛国教育もいいが、学校で詐欺対策でも教えた方が、よほど実生活に役立つのではないだろうか。
「工場って、そんなに給料いいんだ。」
キヨヒコはだまって首を横に振る
「よくはない。仕事のある月とない月があるから、年収にしたら三百万円いくか、いかないかだよ。」
それなら、日本中の低取得者と同じである。
最も長年の貯金があるのかもしれない。
「キャッシュで買ったのか」
「いいや。三枚ともローンで」
どういうことだろうか。
きっとおれの頭が悪くて事態がうまく飲み込めないのだろう。
「年収の半分もつぎ込むほど、アンタはジョナサンなんとかが気にいった」
やつはまたも首を横に振った。
「年収の半分じゃない」
「どういうこと?」
「クレジット会社のローンには金利がつくから。すごい長期のローンなんだ。三枚分合わせると返済総額は、五年間で五百万近くになる。」
「年収二年分か。マジかよ」
普段はめったに使わない言葉を口にしていた。それって、チョー高いっていうか。
「でも、絵のことはいいんです。それより彼女のほうが心配で」
詐欺まがいの悪質な絵画商法のセールスレディが心配?このカモは正気なのだろうか。
キヨヒコはウエストポーチから、今度は一枚の名刺を差し出す。
角の丸まった薄いピンクの名刺だった。
エウレーカ池袋店 お客様係 中宮恵里衣。
芸名みたい。
「アンタこのエリーって女から三枚もジョナサンなんとかの絵を買ったのか」
キヨヒコはしっかりとうなずいた。
確信犯である。
「すくなくとも三回目には、この絵にそんな値打ちがないのはわかっていたんだろ。」
「まあ、だいたいは……」
あきれてものがいえない。
このカモはわざわざ自分から罠にはまりにいったのだ。
「じゃあ、おれに相談なんかしても意味ないじゃないか。」
キヨヒコはさっと顔をあげた。
冴えない男の必死な目つきだった。
「でも、エリーさんにはなにか事情があるらしくて。悪意があって、その絵を売っているようには思えないんです。」
公園のケヤキが風に揺れる。
この葉がたがいにささめきあっていた。
「アンタ善人だな。それで似たような絵を三枚も買ったんだ」
お人よしとはいえなかった。
キヨヒコはうなずいていった。
「だから、エリーさんの本心を確かめたくて。小鳥遊悠さんや宗方六花さんは詐欺だとか、非合法スレスレのビジネスにも詳しいって聞いて…」
俺の気のせいだろうか。
最近世の中は誰かをだまして金を無視ろうというやつがものすごい勢いで増えてきている。
だまされるのはたいてい知識と経験のないやつら。愛国教育もいいが、学校で詐欺対策でも教えた方が、よほど実生活に役立つのではないだろうか。