ー特別編ーWORLD・THE・LinkⅡ
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いきなり目の覚めるような美人に声をかけられたらどうする?
相手はひざうえ二十五センチはあるマイクロミニで、がばりと胸の開いたカットソー。
新型ブラで特殊整形された乳房の谷間は、深海探査挺が潜れるほど深い。
薄暗い谷間のうえにきらきらとかかるのは、ローリー・ロドキンのダイヤモンドいりのゴシック・クロスだ。
あんたはあわてて女の胸から目をそらし、いつものように自分の腐ったスニーカーの先を見る。
アスファルトの黒いしみがついたマレーシア製の偽ブランド品。
どこかのスーパーのセールで、イチキュッパで手に入れたやつ。
対するヴィーナスの足は、濡れたように光るストッキング。
黒いエナメルのピンヒールは三インチはあって、さして背の低くないアンタと目線はほぼ一緒なのだ。
女はアンタの手にカラフルなカードを押し付けていう。
「すごく素敵な絵があって、ぜひあなたみたいに素敵な人に見てもらいたいです。」
アンタがこの前女と口をきいたのは、滞納した社会保険料を払いにいった豊島区役所の窓口でのこと。
それだってもう三ヶ月まえになる。
行きつけの定食やのおばちゃんとは気軽に話せるのだが、あれは六十を過ぎているので当然圏外。
女はなんだかいいにおいもするし、カードだけでなく、やけにグラマーな身体も押しつけてくる。
女の身体って、柔らかくて、熱をもっているのだ。
フィギュアとはぜんぜん違う。
ギャラリーはすぐそこ。
絵を見るだけなら無料だし、時間もあるし、予定はないし、まぁいいだろう。
アンタはヴィーナスのあとについて、ふらふら歩きだす。
場所は池袋東口のグリーン大通り。
夏のケヤキはのびのびと空にてを広げ、深い緑の葉を都心の空に泳がせている。
なんだかこんな自分にもツキがまわってきたみたいだ。ほらだってヴィーナスは幸運の女神というだろ。
違ったっけ。
あらためて手にしたポストカードを見る。
そこには虹のかかった雨上がりの南国の海を跳ねる二頭のイルカが描かれている。
生意気にも恋する水棲哺乳類。カラフルでハッピーで能天気なモチーフ。
隅にはジョナサン・デイヴィス展覧会の銀の文字。
INVITATIONとあるから、招待状かなにかなのだろう。
きいたことのない画家だが、有名なのかもしれない。実際には全然知らないのだが、女にはわりと好きなアーティストだといってしまっている。
さあ、このあとはどう展開するか?
世慣れたアンタなら、もうよくわかってるだろ。
彼女いない歴=年齢の冴えない男をのみこんで、詐欺師のヴィーナスの真珠貝は固く口を閉じることになる。
やつは日のささない深海に沈み、五年がかりでローンをせっせと返済するのだ。
俺は最近不思議に思うのだが、いつから世界はこんなにはっきりカモと詐欺師に分かれてしまったんだろうか。
街角のキャッチ、夜のホストやホステスたち、ご利用は計画てきにと連呼する消費者金融(催促は紳士的にな)、選挙のときだけ必死になる政治家たち。
おれたちはいつだって、やつらのカモなのだ。
だから、さっきのバカなガキを責めないでやってほしい。
だってやつはおれたち男性全体の似姿なのだから。
まあ、このあきれた世界には、ほんもののヴィーナスなんているはずがない。
でも、おれたちは心のどこかで女神がいないかなと、いつも期待しているのだ。男というのは徹底的に愚かな生き物である。
WORLD・THE・Link 2dr
【詐欺師のヴィーナス】
相手はひざうえ二十五センチはあるマイクロミニで、がばりと胸の開いたカットソー。
新型ブラで特殊整形された乳房の谷間は、深海探査挺が潜れるほど深い。
薄暗い谷間のうえにきらきらとかかるのは、ローリー・ロドキンのダイヤモンドいりのゴシック・クロスだ。
あんたはあわてて女の胸から目をそらし、いつものように自分の腐ったスニーカーの先を見る。
アスファルトの黒いしみがついたマレーシア製の偽ブランド品。
どこかのスーパーのセールで、イチキュッパで手に入れたやつ。
対するヴィーナスの足は、濡れたように光るストッキング。
黒いエナメルのピンヒールは三インチはあって、さして背の低くないアンタと目線はほぼ一緒なのだ。
女はアンタの手にカラフルなカードを押し付けていう。
「すごく素敵な絵があって、ぜひあなたみたいに素敵な人に見てもらいたいです。」
アンタがこの前女と口をきいたのは、滞納した社会保険料を払いにいった豊島区役所の窓口でのこと。
それだってもう三ヶ月まえになる。
行きつけの定食やのおばちゃんとは気軽に話せるのだが、あれは六十を過ぎているので当然圏外。
女はなんだかいいにおいもするし、カードだけでなく、やけにグラマーな身体も押しつけてくる。
女の身体って、柔らかくて、熱をもっているのだ。
フィギュアとはぜんぜん違う。
ギャラリーはすぐそこ。
絵を見るだけなら無料だし、時間もあるし、予定はないし、まぁいいだろう。
アンタはヴィーナスのあとについて、ふらふら歩きだす。
場所は池袋東口のグリーン大通り。
夏のケヤキはのびのびと空にてを広げ、深い緑の葉を都心の空に泳がせている。
なんだかこんな自分にもツキがまわってきたみたいだ。ほらだってヴィーナスは幸運の女神というだろ。
違ったっけ。
あらためて手にしたポストカードを見る。
そこには虹のかかった雨上がりの南国の海を跳ねる二頭のイルカが描かれている。
生意気にも恋する水棲哺乳類。カラフルでハッピーで能天気なモチーフ。
隅にはジョナサン・デイヴィス展覧会の銀の文字。
INVITATIONとあるから、招待状かなにかなのだろう。
きいたことのない画家だが、有名なのかもしれない。実際には全然知らないのだが、女にはわりと好きなアーティストだといってしまっている。
さあ、このあとはどう展開するか?
世慣れたアンタなら、もうよくわかってるだろ。
彼女いない歴=年齢の冴えない男をのみこんで、詐欺師のヴィーナスの真珠貝は固く口を閉じることになる。
やつは日のささない深海に沈み、五年がかりでローンをせっせと返済するのだ。
俺は最近不思議に思うのだが、いつから世界はこんなにはっきりカモと詐欺師に分かれてしまったんだろうか。
街角のキャッチ、夜のホストやホステスたち、ご利用は計画てきにと連呼する消費者金融(催促は紳士的にな)、選挙のときだけ必死になる政治家たち。
おれたちはいつだって、やつらのカモなのだ。
だから、さっきのバカなガキを責めないでやってほしい。
だってやつはおれたち男性全体の似姿なのだから。
まあ、このあきれた世界には、ほんもののヴィーナスなんているはずがない。
でも、おれたちは心のどこかで女神がいないかなと、いつも期待しているのだ。男というのは徹底的に愚かな生き物である。
WORLD・THE・Link 2dr
【詐欺師のヴィーナス】