ー特別編ーWORLD・THE・LinkⅡ
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室内はオフィスから一転して、リビングルームの造り。
白い漆喰は吹き抜けになった丸天井まで延びている。
階段と同じ素焼きタイルの床には、ぽつぽつとでかいサボテンの鉢植えとソファがおいてあった。
ソファは売り物の革パンと同じ素材で、KONISHIKI用かと思えるサイズ。
壁際のひとり掛けには長谷部三佐男が座っている。水晶玉の目玉。
背もたれはあたしの肩の高さまであるハイバックで、先端には一辺が七十センチほどある巨大なつや消しの銀十字がついていて。
ローマ法王なんかが座る王座のようね。
「はじめまして、僕は森下社といいます。」
「付き添いの宗方六花です。」
軽く会釈した。
長谷部三佐男は座ったまま、水晶玉にあたし達を映している。
「知ってる。おれはアンタの書いたコラムを毎月読んでる。あの雑誌のなかで、数少ない読むに値する文章だ。挨拶や世辞はいいから座れ。」
表情を変えずにゆっくりと長谷部三佐男はいった。傷だらけの革パンに白いシャツ。
あの写真と同じ恰好だった。
あたしはやつの正面に腰を下ろした。
「それで、アポが取れたんですか」
「タメ口でいい、気を使うな。そうだな。おれは自分が興味のある人間としか会わない。リッカ、アンタはどう思うか知れないが、おれとアンタはよく似てる。ストリートで育ち、学歴や資格ではなく、自分の頭と手とセンスだけで生き抜くところなんか。だから、アンタの名前を聞いて同行を許可した。」
どうやら、長谷部三佐男は自分の言いたいことだけいう男のようだった。
だまっているとやつはまた口を開いた。
目は止まっているのに、口だけ動いている。
『サンダーバード』の人形を思い出す。
「ヤシロ、アンタはおれをどう書こうと思っているんだ?暴走族のヘッドが、苦労の末ファッションの世界で大成功なんて、お約束の文章じゃないよな。アンタなら、どうおれを料理するか楽しみで、今回の取材を受けた。何か聞きたいことがあったら聞いてくれ。何でも話すよ。」
森下が取材を開始するまえに、あたしはショルダーバックからコピー誌を取り出すと、やつのまえにおいた。
「豊島区の連続ひったくり事件をしってますか」
長谷部三佐男の目が面白い物でも見るように光った。
あたしは潜りのトラブル解決屋のようなことをやっているとあたしは正直にいった。
長谷部三佐男はあたりまえのようにこたえる。
「知ってる。コラムに出ていた『放火事件』や『スネークバイト』の話が面白かったから、人に調べさせた。あのときアンタとタカナシユウは裏で動いていたそうだな。」
うなずいた。
「それで今回の件では、手がかりが一つしか残ってないの。ひったくり犯は左手に『シルヴァークロス』の腕輪をしていた。突き飛ばされて手首を折って、寝たきりになりそうな年寄りから聞いた証言。写真で確認もしてあるわ。」
長谷部三佐男はゆっくりと首を振る。
「そうかい。だが、客の動きまでは責任持てないからな。おれは別にモラルをデザインしてるわけじゃない」
「でも、あのブレスレットはとんでもなく高いわ。売れた本数や地域くらいはわかるでしょ。」
「すぐに値段の事をいうのは貧乏人の悪い癖だ。」
やつは苦笑いを浮かべて、鮫肌革パンの太ももをなでた。
白い漆喰は吹き抜けになった丸天井まで延びている。
階段と同じ素焼きタイルの床には、ぽつぽつとでかいサボテンの鉢植えとソファがおいてあった。
ソファは売り物の革パンと同じ素材で、KONISHIKI用かと思えるサイズ。
壁際のひとり掛けには長谷部三佐男が座っている。水晶玉の目玉。
背もたれはあたしの肩の高さまであるハイバックで、先端には一辺が七十センチほどある巨大なつや消しの銀十字がついていて。
ローマ法王なんかが座る王座のようね。
「はじめまして、僕は森下社といいます。」
「付き添いの宗方六花です。」
軽く会釈した。
長谷部三佐男は座ったまま、水晶玉にあたし達を映している。
「知ってる。おれはアンタの書いたコラムを毎月読んでる。あの雑誌のなかで、数少ない読むに値する文章だ。挨拶や世辞はいいから座れ。」
表情を変えずにゆっくりと長谷部三佐男はいった。傷だらけの革パンに白いシャツ。
あの写真と同じ恰好だった。
あたしはやつの正面に腰を下ろした。
「それで、アポが取れたんですか」
「タメ口でいい、気を使うな。そうだな。おれは自分が興味のある人間としか会わない。リッカ、アンタはどう思うか知れないが、おれとアンタはよく似てる。ストリートで育ち、学歴や資格ではなく、自分の頭と手とセンスだけで生き抜くところなんか。だから、アンタの名前を聞いて同行を許可した。」
どうやら、長谷部三佐男は自分の言いたいことだけいう男のようだった。
だまっているとやつはまた口を開いた。
目は止まっているのに、口だけ動いている。
『サンダーバード』の人形を思い出す。
「ヤシロ、アンタはおれをどう書こうと思っているんだ?暴走族のヘッドが、苦労の末ファッションの世界で大成功なんて、お約束の文章じゃないよな。アンタなら、どうおれを料理するか楽しみで、今回の取材を受けた。何か聞きたいことがあったら聞いてくれ。何でも話すよ。」
森下が取材を開始するまえに、あたしはショルダーバックからコピー誌を取り出すと、やつのまえにおいた。
「豊島区の連続ひったくり事件をしってますか」
長谷部三佐男の目が面白い物でも見るように光った。
あたしは潜りのトラブル解決屋のようなことをやっているとあたしは正直にいった。
長谷部三佐男はあたりまえのようにこたえる。
「知ってる。コラムに出ていた『放火事件』や『スネークバイト』の話が面白かったから、人に調べさせた。あのときアンタとタカナシユウは裏で動いていたそうだな。」
うなずいた。
「それで今回の件では、手がかりが一つしか残ってないの。ひったくり犯は左手に『シルヴァークロス』の腕輪をしていた。突き飛ばされて手首を折って、寝たきりになりそうな年寄りから聞いた証言。写真で確認もしてあるわ。」
長谷部三佐男はゆっくりと首を振る。
「そうかい。だが、客の動きまでは責任持てないからな。おれは別にモラルをデザインしてるわけじゃない」
「でも、あのブレスレットはとんでもなく高いわ。売れた本数や地域くらいはわかるでしょ。」
「すぐに値段の事をいうのは貧乏人の悪い癖だ。」
やつは苦笑いを浮かべて、鮫肌革パンの太ももをなでた。