ー特別編ーWORLD・THE・LinkⅡ
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不思議とこの曲は静かなほうが気持ちいいの。
敷きっぱなしの布団に横になり、あれこれと事件を考え続けた。
実りのない思考。
それにしてもナザレの男は、自分の手足が鉄釘で打ち止められた処刑具が、二千年間もなにかのシンボルとして残るなんて想像したかしら。
長谷部三佐男のようなデザイナーにモチーフに使われ、引ったくり犯の手首を飾る愛と殉教の身代わりのシンボル。
死んだ当人にはいい迷惑かもしれない。
次の日、あたしは写真集をもってもう一度「茅の里」を訪れた。
福田まち子はサボテンの腕に無造作にひっかけられたブレスレットの写真を見て、これに間違いないといった。
それにとてもきれいな細工だと。
ふたり組の感想も同じだった。価格は常軌を逸してるけど、見事なものであるのは間違いない。
ベッドサイドに立ったまま喜代治がいった。
「それで、これからどうするんかいな」
どうにもできないとはいえなかった。
「今、ちょっと調べてるの。アナタたちは待機していて。」
どうにも打つ手がなくなると、数日前から続いている朝の店先の清掃も、精神的な負担になった。
うちの母も気に入ってしまって、しっかりやれなんていうしね。
だけどどうしろっていうのよ。四ヶ月かかって警察でさえ容疑者を絞れない事件なのに。
あたしのような片手間探偵になにができる?
「きゃっ?!」
鉄はあたしの尻を叩いていった。
「ねえちゃん、たまっとるな。どこかの兄ちゃんにでも頼んで、一発スッキリさせたほうがいいぞ。欲求不満だと頭もうごかんじゃろう」
福田まち子は重ねた枕にもたれ、品のいい笑顔を浮かべている。
喜代治は完全に無視。
あたしはセクハラで金歯を訴えたかった。いや、ホントに……。
二日後、店先で酔っぱらいに熟したメロンを売り付けていると、森下から電話があった。
果物の完熟具合は、女と同じで尻を触ればわかる。
失礼、あたしにも鉄の病気が感染したみたい…。
「梓くん、ちょっと店番おねがい。」
「わかった。」
バイトの梓くんに任せて、店の奥にはいり、携帯を耳にあてた。
『宗方さん?森下だけど。幸運だね。取材のアポイントメントが取れたよ。あさっての朝十時に自宅に来てくれってさ。』
「へー、そうなんだ」
どこがラッキーなのかよくわからなかった。
『長谷部三佐男はめったにマスコミの取材は受けないんだ。いい機会だからカメラマンもいっしょにっていったけど、断られちゃった。コラムなら写真はいらないだろうってさ。けど、宗方さんの同行はOKだってさ。』
森下は長谷部三佐男の自宅兼事務所の地図を送るといって電話を切った。
あたしは二階にあがり、自分の部屋でFAXを確かめた。
デザイナーの住所は目白三丁目。豊島区では数少ない高級住宅街。
敷きっぱなしの布団に横になり、あれこれと事件を考え続けた。
実りのない思考。
それにしてもナザレの男は、自分の手足が鉄釘で打ち止められた処刑具が、二千年間もなにかのシンボルとして残るなんて想像したかしら。
長谷部三佐男のようなデザイナーにモチーフに使われ、引ったくり犯の手首を飾る愛と殉教の身代わりのシンボル。
死んだ当人にはいい迷惑かもしれない。
次の日、あたしは写真集をもってもう一度「茅の里」を訪れた。
福田まち子はサボテンの腕に無造作にひっかけられたブレスレットの写真を見て、これに間違いないといった。
それにとてもきれいな細工だと。
ふたり組の感想も同じだった。価格は常軌を逸してるけど、見事なものであるのは間違いない。
ベッドサイドに立ったまま喜代治がいった。
「それで、これからどうするんかいな」
どうにもできないとはいえなかった。
「今、ちょっと調べてるの。アナタたちは待機していて。」
どうにも打つ手がなくなると、数日前から続いている朝の店先の清掃も、精神的な負担になった。
うちの母も気に入ってしまって、しっかりやれなんていうしね。
だけどどうしろっていうのよ。四ヶ月かかって警察でさえ容疑者を絞れない事件なのに。
あたしのような片手間探偵になにができる?
「きゃっ?!」
鉄はあたしの尻を叩いていった。
「ねえちゃん、たまっとるな。どこかの兄ちゃんにでも頼んで、一発スッキリさせたほうがいいぞ。欲求不満だと頭もうごかんじゃろう」
福田まち子は重ねた枕にもたれ、品のいい笑顔を浮かべている。
喜代治は完全に無視。
あたしはセクハラで金歯を訴えたかった。いや、ホントに……。
二日後、店先で酔っぱらいに熟したメロンを売り付けていると、森下から電話があった。
果物の完熟具合は、女と同じで尻を触ればわかる。
失礼、あたしにも鉄の病気が感染したみたい…。
「梓くん、ちょっと店番おねがい。」
「わかった。」
バイトの梓くんに任せて、店の奥にはいり、携帯を耳にあてた。
『宗方さん?森下だけど。幸運だね。取材のアポイントメントが取れたよ。あさっての朝十時に自宅に来てくれってさ。』
「へー、そうなんだ」
どこがラッキーなのかよくわからなかった。
『長谷部三佐男はめったにマスコミの取材は受けないんだ。いい機会だからカメラマンもいっしょにっていったけど、断られちゃった。コラムなら写真はいらないだろうってさ。けど、宗方さんの同行はOKだってさ。』
森下は長谷部三佐男の自宅兼事務所の地図を送るといって電話を切った。
あたしは二階にあがり、自分の部屋でFAXを確かめた。
デザイナーの住所は目白三丁目。豊島区では数少ない高級住宅街。