ー特別編ーWORLD・THE・LinkⅡ
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A4サイズの豊島区の地図には、点々と赤い丸が打ってあった。
あたしが地図上のマークの分布を考えていると、ベンチのとなりで佐伯の声がした。
「駒込、巣鴨、大塚の東部地区で半数以上の七件が発生している。上池袋、東池袋で三件。それに南池袋、雑司が谷、目白で三件のあわせて十三件だ。おかしなことに東上線の線路をまたいだ豊島区西部では一件もない。どれも人通りのすくない路地で起きて、逃げるときも裏道ばかりだから、土地勘のあるやつの仕業だろう、」
確かに地図の右半分に被害は集中していた。
犯人はたぶん地元のやつなのだろう。
佐伯はいった。
「それにしてもリッカも物好きだな。仕事でもないのにこんな事件に手を出して。まあ、おまえらガキの情報もバカにできないからな。このまえの放火犯みたいに、犯人を見つけたら警察に渡してくれ。やりすぎなきゃお灸をすえてくれてもいいぞ。」
佐伯は片目を閉じた。
ウインク!
暗い気持ちがますます落ち込んでいく。
「今回はダメなの。Sウルフは動いてくれない。金持ちの事件は警察にまかせるってさー」
そういうと佐伯の笑顔はさらに明るくなった。
「そうか。それじゃ、さすがにリッカもつらいな。こういう通り魔的な犯罪っていうのは、捜査がむずかしいんだ。少年課のおれが刑事課に腕貸しするくらいだからな。健闘を祈る、池袋の織田裕二さんよ」
佐伯はそれから楽しそうにあたしの背中を平手でたたいた。
『踊る大捜査線』なんて古すぎるし、あたしは女だし、第一あたしは見ていない。
バカらしい。
佐伯は立ち上がると尻をはたき、背伸びをした。
あくびまじりの声が背中から聞こえる。
「最後にひとつネタをやる。マスコミには流れていない情報だ。目撃証言では、犯人の若い男ふたり組は、長髪を銀に染めているらしい。髪の色なんて簡単に変えられるから、あまりあてにはならないがな。」
銀髪と聞いて、すぐにタカシの顔が浮かんだ。
けど…ないわ。それだけは絶対ないわ。
佐伯が目と鼻の先にある池袋署に帰った後も、あたしはベンチに残り必死に地図を見ながら考えていた。
ハッピーマンディで三連休になった成人の日から、ひったくりは始まり、ほぼ一週間に一回のペースで犯行は繰り返されている。
予定通りなら来週明けにも十四回目の通り魔が起こるはずだった。
そのままなけなしの頭をひねっていると、だんだんめまいがしてきた。
座りこんでなにかを考えるだけなんて、あたしらしくない。
檻のなかの熊のように円形広場をぐるぐると歩きながら、あきらめずにさらに考えつづけた。
二時になれば、喜代治と鉄がやってくる。
それまでに打開策をひねり出したかったけど、まったくのお手上げだった。
ベンチにもどって、白く濁った池袋の春空を見上げていると、鉄の声がした。
「よう、ねえちゃん、今日もいい太ももしてんな」
あたしはうちに帰って眠りたかった。
あたしが地図上のマークの分布を考えていると、ベンチのとなりで佐伯の声がした。
「駒込、巣鴨、大塚の東部地区で半数以上の七件が発生している。上池袋、東池袋で三件。それに南池袋、雑司が谷、目白で三件のあわせて十三件だ。おかしなことに東上線の線路をまたいだ豊島区西部では一件もない。どれも人通りのすくない路地で起きて、逃げるときも裏道ばかりだから、土地勘のあるやつの仕業だろう、」
確かに地図の右半分に被害は集中していた。
犯人はたぶん地元のやつなのだろう。
佐伯はいった。
「それにしてもリッカも物好きだな。仕事でもないのにこんな事件に手を出して。まあ、おまえらガキの情報もバカにできないからな。このまえの放火犯みたいに、犯人を見つけたら警察に渡してくれ。やりすぎなきゃお灸をすえてくれてもいいぞ。」
佐伯は片目を閉じた。
ウインク!
暗い気持ちがますます落ち込んでいく。
「今回はダメなの。Sウルフは動いてくれない。金持ちの事件は警察にまかせるってさー」
そういうと佐伯の笑顔はさらに明るくなった。
「そうか。それじゃ、さすがにリッカもつらいな。こういう通り魔的な犯罪っていうのは、捜査がむずかしいんだ。少年課のおれが刑事課に腕貸しするくらいだからな。健闘を祈る、池袋の織田裕二さんよ」
佐伯はそれから楽しそうにあたしの背中を平手でたたいた。
『踊る大捜査線』なんて古すぎるし、あたしは女だし、第一あたしは見ていない。
バカらしい。
佐伯は立ち上がると尻をはたき、背伸びをした。
あくびまじりの声が背中から聞こえる。
「最後にひとつネタをやる。マスコミには流れていない情報だ。目撃証言では、犯人の若い男ふたり組は、長髪を銀に染めているらしい。髪の色なんて簡単に変えられるから、あまりあてにはならないがな。」
銀髪と聞いて、すぐにタカシの顔が浮かんだ。
けど…ないわ。それだけは絶対ないわ。
佐伯が目と鼻の先にある池袋署に帰った後も、あたしはベンチに残り必死に地図を見ながら考えていた。
ハッピーマンディで三連休になった成人の日から、ひったくりは始まり、ほぼ一週間に一回のペースで犯行は繰り返されている。
予定通りなら来週明けにも十四回目の通り魔が起こるはずだった。
そのままなけなしの頭をひねっていると、だんだんめまいがしてきた。
座りこんでなにかを考えるだけなんて、あたしらしくない。
檻のなかの熊のように円形広場をぐるぐると歩きながら、あきらめずにさらに考えつづけた。
二時になれば、喜代治と鉄がやってくる。
それまでに打開策をひねり出したかったけど、まったくのお手上げだった。
ベンチにもどって、白く濁った池袋の春空を見上げていると、鉄の声がした。
「よう、ねえちゃん、今日もいい太ももしてんな」
あたしはうちに帰って眠りたかった。