ー特別編ーWORLD・THE・LinkⅡ
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その日の午後一時、あたしは佐伯を待ちながら西口公園のベンチに座っていた。
何百万キロも暗黒の宇宙空間を渡ってきた太陽の光が、あたしの小さな肩に到達してぽかぽかと熱を与えてくれる。
不思議な話。
携帯を取り出すと、Sウルフの王様・虎狗琥崇の番号を押した。
こわもての取次が最初に出て、あたしの声を聞くと、すぐにタカシにかわる。
『リッカか、何の用だ?』
ゆっくりと凍らせたミネラルウォーターみたいな冷たくて澄んだ声。
若い王様はあいかわらずクールだ。
「どうして用があるとわかるんです?」
佐伯と同じだった。
なぜか最近、人の話を先まわりするやつが増えている。
『お前はたいていのガキみたいに、なんの用もないのにだらだらと電話をかけてよこすことはしない。』
確かに「今なにしてんの?マジー!」というような会話にあたしは耐えられない。
携帯も無駄話には割り増し料金を設定すればいいのに。
目をあげると東京芸術劇場の角を曲がって、佐伯の無駄に肉厚のガタイがあらわれた。
脇に大判の封筒をはさみ、両手をポケットに突っ込んでこちらに歩いてくる。
あたしはいった。
「新しいトラブル。連続引ったくり事件です。」
『続けろ』
「頼まれて犯人を追ってる。Sウルフの情報網を動かして、年明けから急に羽振りがよくなったふたり組の情報は集められませんか。たぶんまともな職にはついてなくて、アルバイトか、ぶらぶら遊んでるだけのやつだと思うんですけど」
佐伯が円形広場のベンチに座るあたしに気づいて手をあげた。
あたしも話しながら、挨拶を返す。タカシの声はいっそう冷え込んだようだった。
『情報を集めることはできる。だが、それだけの条件じゃ何百件となく殺到するはずだ。この街で昼間からうろついている若いやつの半分は、そんなものだからな。それに被害者のほとんどは、金持ちのバアサンだろ。Sウルフを動かす理由がない。俺はあいつらに説明する義務がある。』
確かにタカシのいう通りだった。
ガキどもは誰も引ったくりに遭った小金持ちには同情していたない。
喜代治や鉄に直接あったわけでもないタカシには、あたしがなぜそんなことに首を突っ込むのか説明してもわからないだろう。
第一、当のあたし自身がよくわかってないのだ。
「わかりました。もうちょいこっちで動いてみます。すいません。」
『いいや。なあ、リッカ、もうちょっと集会に顔だせよ。』
考えときますといって携帯を切った。
集団行動は苦手。
内心あたしは焦っていた。Sウルフがもっているストリートの情報ネットワークが使えなければ、あたしは片腕をなくしたのと同じ。
「どうしたリッカ、不景気な顔してんな」
あたしの前に佐伯が立ち、にやにやと笑ってみおろしてくる。
口元まででかかった罵詈雑言を、あたしは必死でのみこんだ。
何百万キロも暗黒の宇宙空間を渡ってきた太陽の光が、あたしの小さな肩に到達してぽかぽかと熱を与えてくれる。
不思議な話。
携帯を取り出すと、Sウルフの王様・虎狗琥崇の番号を押した。
こわもての取次が最初に出て、あたしの声を聞くと、すぐにタカシにかわる。
『リッカか、何の用だ?』
ゆっくりと凍らせたミネラルウォーターみたいな冷たくて澄んだ声。
若い王様はあいかわらずクールだ。
「どうして用があるとわかるんです?」
佐伯と同じだった。
なぜか最近、人の話を先まわりするやつが増えている。
『お前はたいていのガキみたいに、なんの用もないのにだらだらと電話をかけてよこすことはしない。』
確かに「今なにしてんの?マジー!」というような会話にあたしは耐えられない。
携帯も無駄話には割り増し料金を設定すればいいのに。
目をあげると東京芸術劇場の角を曲がって、佐伯の無駄に肉厚のガタイがあらわれた。
脇に大判の封筒をはさみ、両手をポケットに突っ込んでこちらに歩いてくる。
あたしはいった。
「新しいトラブル。連続引ったくり事件です。」
『続けろ』
「頼まれて犯人を追ってる。Sウルフの情報網を動かして、年明けから急に羽振りがよくなったふたり組の情報は集められませんか。たぶんまともな職にはついてなくて、アルバイトか、ぶらぶら遊んでるだけのやつだと思うんですけど」
佐伯が円形広場のベンチに座るあたしに気づいて手をあげた。
あたしも話しながら、挨拶を返す。タカシの声はいっそう冷え込んだようだった。
『情報を集めることはできる。だが、それだけの条件じゃ何百件となく殺到するはずだ。この街で昼間からうろついている若いやつの半分は、そんなものだからな。それに被害者のほとんどは、金持ちのバアサンだろ。Sウルフを動かす理由がない。俺はあいつらに説明する義務がある。』
確かにタカシのいう通りだった。
ガキどもは誰も引ったくりに遭った小金持ちには同情していたない。
喜代治や鉄に直接あったわけでもないタカシには、あたしがなぜそんなことに首を突っ込むのか説明してもわからないだろう。
第一、当のあたし自身がよくわかってないのだ。
「わかりました。もうちょいこっちで動いてみます。すいません。」
『いいや。なあ、リッカ、もうちょっと集会に顔だせよ。』
考えときますといって携帯を切った。
集団行動は苦手。
内心あたしは焦っていた。Sウルフがもっているストリートの情報ネットワークが使えなければ、あたしは片腕をなくしたのと同じ。
「どうしたリッカ、不景気な顔してんな」
あたしの前に佐伯が立ち、にやにやと笑ってみおろしてくる。
口元まででかかった罵詈雑言を、あたしは必死でのみこんだ。