ー特別編ーワルツ・フォー・ベビー
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タクシーを「ガンボ」の前でとめると、俺はひとりで店にはいった。
ざわざわとしたおしゃべりのノイズが、俺があざだらけの顔をのぞかせたとたんにピタリとやんだ。
カウンターには龍のスタジャンもいた。
やつはあきれたように俺にいった。
「アンタもこりないな」
俺はうなずいて扉の脇にある木枠の窓にあごをしゃくった。
首をひねると内出血がいたんだが、男らしく無視する。
「今日は俺ひとりじゃない。そっちのチームの初代ヘッドのオヤジさんも連れてきている。アポロがトシさんのことをなにか隠してるのはわかってる。どうしても話したくないというなら、ここに南条さんを連れてくる。どうする、おれひとりと話すか、オヤジさんを呼ぶか。わかったら三代目のヘッドに連絡をいれてくれ。」
スタジャンは困った顔をした。
「アンタはなにも知らないんだ。だから、そういう無茶をいう。いいだろう、ヘッドに話してみる。ここで待っていてくれ。」
やつは携帯を抜いて、店の奥に向かった。
俺はこのまえのみそこねた黒ビールを注文した。
こんなに全身がたがきているときに、酒をのむなんていいことではないが、俺だってたまにはタフを気取ってみたいのだ。
サテンのスタジャンが戻ってくると俺にいった。
「十五分後にリンタローさんが会うそうだ。ただしアンタだけで、南条のオヤジさんは席をはずしてくれといっていた。それでいいな」
そういうとやつは俺のとなりのスツールに座った。
同じものをくれとカウンターのなかにいい、俺の横顔を見た。
「ひどい面だな。」
俺はいつもの倍くらいの厚さになった唇を曲げて笑ってやった。
「ほんと。ひどいことをするやつがいるもんだ」
おれたちはビアグラスの縁をあわせて乾杯した。
フィルムのように薄いガラスからチンっ澄んだ音がなった。
十分後にスタジャンと店をでた。
オヤジさんにクルマのなかでもう少し待っていてもらうようにいい、ふたりで年末の商店街を歩いていった。
アメ横のセンタービルは間口一間ほどの小店がならぶ座っ居ビルだ。
アメ横の中心部に軍艦のようにそびえている。
スタジャンは舳先についた階段をのぼり最上階まで俺を案内した。
そこには木のベンチがおかれ、100円で三分間ががたごとと揺れる子供用のパトカーや消防車があった。
猫の額ほどの屋上遊園地だ。
頭上には冷えて濁った空が広がっている。
ベンチには小柄だがカミソリのように鋭いガキが座っていた。
俺が近づいていくと、やつは立ち上がり挨拶した。
「アポロの三代目ヘッド、長居林太郎だ。あんたが小鳥遊悠だな。アンタの噂はおれも聞いてる」
俺はやつの向かいのベンチに座った。
背にモリナガミルクとはいっている古いベンチだった。
スタジャンは俺たちの話が聞こえない階段のかげに控えている。
ざわざわとしたおしゃべりのノイズが、俺があざだらけの顔をのぞかせたとたんにピタリとやんだ。
カウンターには龍のスタジャンもいた。
やつはあきれたように俺にいった。
「アンタもこりないな」
俺はうなずいて扉の脇にある木枠の窓にあごをしゃくった。
首をひねると内出血がいたんだが、男らしく無視する。
「今日は俺ひとりじゃない。そっちのチームの初代ヘッドのオヤジさんも連れてきている。アポロがトシさんのことをなにか隠してるのはわかってる。どうしても話したくないというなら、ここに南条さんを連れてくる。どうする、おれひとりと話すか、オヤジさんを呼ぶか。わかったら三代目のヘッドに連絡をいれてくれ。」
スタジャンは困った顔をした。
「アンタはなにも知らないんだ。だから、そういう無茶をいう。いいだろう、ヘッドに話してみる。ここで待っていてくれ。」
やつは携帯を抜いて、店の奥に向かった。
俺はこのまえのみそこねた黒ビールを注文した。
こんなに全身がたがきているときに、酒をのむなんていいことではないが、俺だってたまにはタフを気取ってみたいのだ。
サテンのスタジャンが戻ってくると俺にいった。
「十五分後にリンタローさんが会うそうだ。ただしアンタだけで、南条のオヤジさんは席をはずしてくれといっていた。それでいいな」
そういうとやつは俺のとなりのスツールに座った。
同じものをくれとカウンターのなかにいい、俺の横顔を見た。
「ひどい面だな。」
俺はいつもの倍くらいの厚さになった唇を曲げて笑ってやった。
「ほんと。ひどいことをするやつがいるもんだ」
おれたちはビアグラスの縁をあわせて乾杯した。
フィルムのように薄いガラスからチンっ澄んだ音がなった。
十分後にスタジャンと店をでた。
オヤジさんにクルマのなかでもう少し待っていてもらうようにいい、ふたりで年末の商店街を歩いていった。
アメ横のセンタービルは間口一間ほどの小店がならぶ座っ居ビルだ。
アメ横の中心部に軍艦のようにそびえている。
スタジャンは舳先についた階段をのぼり最上階まで俺を案内した。
そこには木のベンチがおかれ、100円で三分間ががたごとと揺れる子供用のパトカーや消防車があった。
猫の額ほどの屋上遊園地だ。
頭上には冷えて濁った空が広がっている。
ベンチには小柄だがカミソリのように鋭いガキが座っていた。
俺が近づいていくと、やつは立ち上がり挨拶した。
「アポロの三代目ヘッド、長居林太郎だ。あんたが小鳥遊悠だな。アンタの噂はおれも聞いてる」
俺はやつの向かいのベンチに座った。
背にモリナガミルクとはいっている古いベンチだった。
スタジャンは俺たちの話が聞こえない階段のかげに控えている。