ー特別編ーWORLD・THE・Link【後】
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次の日も通り魔と三十五度を超える暑さがニュースのトップだった。
あと何年かすると今年の夏は熱帯夜と薬物乱用の夏として記憶されるかも知れない。
レイヴの準備はヘヴンとS・ウルフで進めているだろう。
俺に出来ることはなかった。
トワコからは一本も電話もなく、こちらからもかけなかった。
俺は大人しく学校に行きながら、おおきな波がやってくるのをまっていた。
その波にのまれて崩れるのは俺かもしれないし、イッセイかもしれない。
だが、どちらにしてもその波を止めることはもう誰にも不可能なのだ。
もう遠くの海のうえで最初の津波は起きてしまっている。
走り始めたレイヴを止めることは誰にも出来なかった。
その夜おれは自分の部屋で眠っていた。
呼び出し音で目覚めたのは早朝だった。
外はすっかり明るくなっている。
俺は目を閉じたまま携帯を耳元にあてた。
『お前が悠か』
聞き覚えのある男の声がした。
着信表示を見て驚いた。
男が使っているのはエディの携帯電話だった。
俺はまだ寝ている頭のなかで男の声をあわててサーチした。
「そうだ。そっちは」
『誰でもいい。俺たちを追っているようだが、無駄なことはしないほうがいいぞ。』
妙にねばりつく声だった。この声を聞いたのは確か幕張メッセ。
あの清潔なデザイナーズトイレを思いだした。
売人の頬に根元までナイフを刺した男。
細い鞭の男だ。
「アンタが、佐伯イッセイか。覚えていないか、幕張の便所で俺はアンタと話したことがある。」
『ああ、あのときの肝の座ったガキか』
俺は自分でいうにはいいが、他人にガキと言われるのが嫌いだが、大人なので抗議はしないことにした。
イッセイはいう。
『お前にいい絵を送っておいた。確認してみろ。ソウメイやSウルフとかいう連中にも見せてやるといい。ウロボロスは本気だとな。じゃあ……』
俺は焦って声をかけた。
「待ってくれ。アンタはいったいなにがやりたいんだ。なぜ、そんなに急いでる。このままじゃいつかウロボロスの輪だってちぎれるぞ」
イッセイの声はさらに粘り気を増したようだった。
『明日もまた自分の心臓が動くと思い込んだやつらの目を醒ましてやりたい。ただそれだけだ。他はなんの意味もない。』
通話は切れた。
俺はメッセージのないメールの添付ファイルを開いた。
液晶画面にその絵が浮かんだ。
椅子に座った首の無い男の画像。
背景は河川敷のようだった。
切断された断面は携帯の解像度では、赤黒く潰れてしまっていた。
だが、それでも十分にみてとれることがあった。
膝のうえで行儀よく組まれた男の手はカフェラテ色をしている。
着ているのはだぶだぶのベースボールシャツ。
胸には見慣れたBBQのロゴがたるんでいる。
俺の吐く息は声にならなかった。
「エ…ディ」
やつの死体は首がないということ以外、どこにも傷ついた様子はなかった。
あと何年かすると今年の夏は熱帯夜と薬物乱用の夏として記憶されるかも知れない。
レイヴの準備はヘヴンとS・ウルフで進めているだろう。
俺に出来ることはなかった。
トワコからは一本も電話もなく、こちらからもかけなかった。
俺は大人しく学校に行きながら、おおきな波がやってくるのをまっていた。
その波にのまれて崩れるのは俺かもしれないし、イッセイかもしれない。
だが、どちらにしてもその波を止めることはもう誰にも不可能なのだ。
もう遠くの海のうえで最初の津波は起きてしまっている。
走り始めたレイヴを止めることは誰にも出来なかった。
その夜おれは自分の部屋で眠っていた。
呼び出し音で目覚めたのは早朝だった。
外はすっかり明るくなっている。
俺は目を閉じたまま携帯を耳元にあてた。
『お前が悠か』
聞き覚えのある男の声がした。
着信表示を見て驚いた。
男が使っているのはエディの携帯電話だった。
俺はまだ寝ている頭のなかで男の声をあわててサーチした。
「そうだ。そっちは」
『誰でもいい。俺たちを追っているようだが、無駄なことはしないほうがいいぞ。』
妙にねばりつく声だった。この声を聞いたのは確か幕張メッセ。
あの清潔なデザイナーズトイレを思いだした。
売人の頬に根元までナイフを刺した男。
細い鞭の男だ。
「アンタが、佐伯イッセイか。覚えていないか、幕張の便所で俺はアンタと話したことがある。」
『ああ、あのときの肝の座ったガキか』
俺は自分でいうにはいいが、他人にガキと言われるのが嫌いだが、大人なので抗議はしないことにした。
イッセイはいう。
『お前にいい絵を送っておいた。確認してみろ。ソウメイやSウルフとかいう連中にも見せてやるといい。ウロボロスは本気だとな。じゃあ……』
俺は焦って声をかけた。
「待ってくれ。アンタはいったいなにがやりたいんだ。なぜ、そんなに急いでる。このままじゃいつかウロボロスの輪だってちぎれるぞ」
イッセイの声はさらに粘り気を増したようだった。
『明日もまた自分の心臓が動くと思い込んだやつらの目を醒ましてやりたい。ただそれだけだ。他はなんの意味もない。』
通話は切れた。
俺はメッセージのないメールの添付ファイルを開いた。
液晶画面にその絵が浮かんだ。
椅子に座った首の無い男の画像。
背景は河川敷のようだった。
切断された断面は携帯の解像度では、赤黒く潰れてしまっていた。
だが、それでも十分にみてとれることがあった。
膝のうえで行儀よく組まれた男の手はカフェラテ色をしている。
着ているのはだぶだぶのベースボールシャツ。
胸には見慣れたBBQのロゴがたるんでいる。
俺の吐く息は声にならなかった。
「エ…ディ」
やつの死体は首がないということ以外、どこにも傷ついた様子はなかった。