ー特別編ーWORLD・THE・Link【後】
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おかげでそのあと一日中ラジオやテレビのニュースを仕入れることができた。
事件はなにも通り魔ばかりではないようだった。
あちこちのクラブで薬物乱用が起こり、繁華街の近くの病院はいつにも増して大忙しだという。
スネークバイトという固有名詞もすでにテレビニュースで一般化していた。
アナウンサーは何度も緑色の新型ドラッグには手を出さないように訴えている。
逆効果だと俺は思った。
ある種の人間にとっては危険こそ最高の吸引力を持つものだ。
それだけ危険なのに大勢の人間がヘビのクスリを試すなら、それに負けない絶大な快楽があるはずだ。
もっともな推測。
俺はイライラしながらエディからの電話を待っていた。
だが、その日の夕方にかかってきた電話は一本だけだった。
俺がCDラックからCDを選んでいると、電話の向こうで不良警官がいった。
『おかしなたれ込みが生活安全課にはいった。池袋のコンビニからファックスで送られた紙が一枚だ。なかにはスネークバイトの売人と思われる人物の情報が書いてある』
気のない声で俺はいった。
「そう」
柏はあきれた声でいった。
『おいおい、時間はつくれねぇのか。こっちはテメェの書く字をしってんだぞ。執筆鑑定なんて面倒な手続きを踏まずに、生活安全課に話を聞かせろや』
CDケースをラックに押し込んだ。
「いい加減にしろ。俺は善良な市民だ。そんなファックスを送ったこともないし、このまえ電話で話した以上のことはなにも知らん。」
若きホープはため息をついた。
『わかったぞ。テメェ、またなにか企んでんな』
いらないところは相変わらず勘がいい。
「誰だか知らないが、そのファックスを送ったやつは、なんとか警察に売人組織をあげてもらいたいと思ってるんじゃないか。そいつにはそいつの事情があるんだろ。きっと必死なんだと思う」
『そうか、必死なのか』
しばらく携帯の雑音しかきこえなかった。
最後に柏はいう。
『いいか、最後にやつらを押さえるときは、遠慮なくおれたちを呼べ。警察ってのは善良な市民を守るためにあるらしいからな、そうそいつに言っとけクソガキ。』
わかった、そんなことになったらよろしくといって通話を切った。
俺にもわずかながら味方がいる。
全部男なのがきにいらなかったが、それはしかたないのだろう。
俺は女運が悪いのだ。
夜になり街に出た。
散歩しながら頭のなかを整理するためだ。
おれはそこで池袋の街の変わりように驚くことになった。
本気になったSウルフはさすがだった。
もっとも普通のおのぼりさんにはわからないかもしれない。
だが、この街で育った人間には一目瞭然の変化だった。ウイロードやビックリガードの壁面にはグラフィティが躍っていた。
銀のスプレーはこう読める。
【ミッドナイトレイヴ18/25】
街の電柱にはちいさな手貼りのポスターが風に揺れ、あちこちのSボーイズやSガールズは手にちいさなフライヤーを何枚も持っている。
ブティックやゲームセンターにはデザイン違いのフライヤーの束が積んであった。
どれも西口レイヴの告知だ。
池袋の街のあちこちでひそかな声が交差していた。
今度の日曜日の真夜中に西口公園でとんでもないことが起こるらしい。
合言葉はミッドナイトサマーレイヴ
事件はなにも通り魔ばかりではないようだった。
あちこちのクラブで薬物乱用が起こり、繁華街の近くの病院はいつにも増して大忙しだという。
スネークバイトという固有名詞もすでにテレビニュースで一般化していた。
アナウンサーは何度も緑色の新型ドラッグには手を出さないように訴えている。
逆効果だと俺は思った。
ある種の人間にとっては危険こそ最高の吸引力を持つものだ。
それだけ危険なのに大勢の人間がヘビのクスリを試すなら、それに負けない絶大な快楽があるはずだ。
もっともな推測。
俺はイライラしながらエディからの電話を待っていた。
だが、その日の夕方にかかってきた電話は一本だけだった。
俺がCDラックからCDを選んでいると、電話の向こうで不良警官がいった。
『おかしなたれ込みが生活安全課にはいった。池袋のコンビニからファックスで送られた紙が一枚だ。なかにはスネークバイトの売人と思われる人物の情報が書いてある』
気のない声で俺はいった。
「そう」
柏はあきれた声でいった。
『おいおい、時間はつくれねぇのか。こっちはテメェの書く字をしってんだぞ。執筆鑑定なんて面倒な手続きを踏まずに、生活安全課に話を聞かせろや』
CDケースをラックに押し込んだ。
「いい加減にしろ。俺は善良な市民だ。そんなファックスを送ったこともないし、このまえ電話で話した以上のことはなにも知らん。」
若きホープはため息をついた。
『わかったぞ。テメェ、またなにか企んでんな』
いらないところは相変わらず勘がいい。
「誰だか知らないが、そのファックスを送ったやつは、なんとか警察に売人組織をあげてもらいたいと思ってるんじゃないか。そいつにはそいつの事情があるんだろ。きっと必死なんだと思う」
『そうか、必死なのか』
しばらく携帯の雑音しかきこえなかった。
最後に柏はいう。
『いいか、最後にやつらを押さえるときは、遠慮なくおれたちを呼べ。警察ってのは善良な市民を守るためにあるらしいからな、そうそいつに言っとけクソガキ。』
わかった、そんなことになったらよろしくといって通話を切った。
俺にもわずかながら味方がいる。
全部男なのがきにいらなかったが、それはしかたないのだろう。
俺は女運が悪いのだ。
夜になり街に出た。
散歩しながら頭のなかを整理するためだ。
おれはそこで池袋の街の変わりように驚くことになった。
本気になったSウルフはさすがだった。
もっとも普通のおのぼりさんにはわからないかもしれない。
だが、この街で育った人間には一目瞭然の変化だった。ウイロードやビックリガードの壁面にはグラフィティが躍っていた。
銀のスプレーはこう読める。
【ミッドナイトレイヴ18/25】
街の電柱にはちいさな手貼りのポスターが風に揺れ、あちこちのSボーイズやSガールズは手にちいさなフライヤーを何枚も持っている。
ブティックやゲームセンターにはデザイン違いのフライヤーの束が積んであった。
どれも西口レイヴの告知だ。
池袋の街のあちこちでひそかな声が交差していた。
今度の日曜日の真夜中に西口公園でとんでもないことが起こるらしい。
合言葉はミッドナイトサマーレイヴ