ー特別編ーWORLD・THE・Link【後】
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俺たちはその夜、山の頂上でしたのと同じことをした。
エグゼクティブスィートのうえで繰り返した。
とてもよかった(他になにがいえるのだ)。
何度目かのあとで陽がのぼるのを、おれとトワコは裸のまま窓辺に立ってみつめた。
海にさす朝日もビル街にさす朝日も、変わりなく美しかった。
砂のように撒かれた数千の建物すべてに薔薇色の日のあたるところと青灰色の影ができる十数分間。
おれたちはただ黙って手をつなぎその時間を分けあった。
午前中にチェックアウトしてタクシー乗り場までトワコを送った。
俺は学校にいこうかと思ったが、気分が変わってエディの部屋を覗きに行くことにした。
前の晩から何度かけてもやつの携帯は留守電のままだし、コールバックもなかった。
トワコの新曲を口笛で吹きながら、東武東上線ぞいの道を歩いていく。
性欲の重荷をおろした青少年の爽やかな午前だった。
俺はエディが借りている部屋までいった。
四回、五回とインターホンを押す。
返事はなかった。
薄っぺらな金属のノブに手をかけた。
あっさりと開くので驚いてしまう。
「エディ、いないのか」
俺は声をかけながら室内にあがった。
玄関ですぐに俺にはわかった。
その部屋には誰もいない。空気の動いている感じがまるでしないのだ。
俺はやつの寝室にいってみた。
固まりになったタオルケットが床に落ちているが、ベッドはもぬけの殻だった。
室内はあらされていないが、玄関の鍵はあいたままで誰もいなくなっている。
俺にはエディが自分で部屋をでたのか、何者かによって拉致されたのかわからなかった。
ただひとつわかるのはエディがこの瞬間も危険にさらされているということだけだ。
拉致するとしたらウロボロスの売人組織だし、やつが自分から外にでたとするとそれもまた危ない。
スネークバイトの依存性は強力だし、この数日あのミドリのヘビは街にあふれているのだ。
俺はその場からタカシに電話した。
取り次ぎがでてタカシにかわる。
『どうした』
俺はいった
「今、エディの部屋にいる。鍵はあいたままで、やつはいなくなってる」
『ウロボロスか』
俺は雑然と整った暮らしの形を見回した。
エディは洗濯物をすべて室内に干していた。
かすかにかび臭い空気。
「わからない。自分で街にでたのかも」
『ミドリを買いに?』
俺はしぶしぶいった。
「そうかもしれない」
タカシの声が冷え込んだ。気分がよくないか、悪いニュースでもあるのだろう。
『わかった。エディが見つかったら、S・ウルフで押さえることにする。悠、お前はテレビのニュース見てるか』
俺は昨日の夜から今日の昼間までテレビなど一度も見ていなかった。
トワコといっしょだと他にすべきことがいくらでもあるのだ。
いいやといった。
『だったら、すぐにつけてみろ。どの局も通り魔の同時多発事件で大騒ぎだ。今じゃどのゲームセンターでもミドリが手に入るらしいな。最年少の通り魔は十三歳だそうだ』
通話は突然切れた。
エグゼクティブスィートのうえで繰り返した。
とてもよかった(他になにがいえるのだ)。
何度目かのあとで陽がのぼるのを、おれとトワコは裸のまま窓辺に立ってみつめた。
海にさす朝日もビル街にさす朝日も、変わりなく美しかった。
砂のように撒かれた数千の建物すべてに薔薇色の日のあたるところと青灰色の影ができる十数分間。
おれたちはただ黙って手をつなぎその時間を分けあった。
午前中にチェックアウトしてタクシー乗り場までトワコを送った。
俺は学校にいこうかと思ったが、気分が変わってエディの部屋を覗きに行くことにした。
前の晩から何度かけてもやつの携帯は留守電のままだし、コールバックもなかった。
トワコの新曲を口笛で吹きながら、東武東上線ぞいの道を歩いていく。
性欲の重荷をおろした青少年の爽やかな午前だった。
俺はエディが借りている部屋までいった。
四回、五回とインターホンを押す。
返事はなかった。
薄っぺらな金属のノブに手をかけた。
あっさりと開くので驚いてしまう。
「エディ、いないのか」
俺は声をかけながら室内にあがった。
玄関ですぐに俺にはわかった。
その部屋には誰もいない。空気の動いている感じがまるでしないのだ。
俺はやつの寝室にいってみた。
固まりになったタオルケットが床に落ちているが、ベッドはもぬけの殻だった。
室内はあらされていないが、玄関の鍵はあいたままで誰もいなくなっている。
俺にはエディが自分で部屋をでたのか、何者かによって拉致されたのかわからなかった。
ただひとつわかるのはエディがこの瞬間も危険にさらされているということだけだ。
拉致するとしたらウロボロスの売人組織だし、やつが自分から外にでたとするとそれもまた危ない。
スネークバイトの依存性は強力だし、この数日あのミドリのヘビは街にあふれているのだ。
俺はその場からタカシに電話した。
取り次ぎがでてタカシにかわる。
『どうした』
俺はいった
「今、エディの部屋にいる。鍵はあいたままで、やつはいなくなってる」
『ウロボロスか』
俺は雑然と整った暮らしの形を見回した。
エディは洗濯物をすべて室内に干していた。
かすかにかび臭い空気。
「わからない。自分で街にでたのかも」
『ミドリを買いに?』
俺はしぶしぶいった。
「そうかもしれない」
タカシの声が冷え込んだ。気分がよくないか、悪いニュースでもあるのだろう。
『わかった。エディが見つかったら、S・ウルフで押さえることにする。悠、お前はテレビのニュース見てるか』
俺は昨日の夜から今日の昼間までテレビなど一度も見ていなかった。
トワコといっしょだと他にすべきことがいくらでもあるのだ。
いいやといった。
『だったら、すぐにつけてみろ。どの局も通り魔の同時多発事件で大騒ぎだ。今じゃどのゲームセンターでもミドリが手に入るらしいな。最年少の通り魔は十三歳だそうだ』
通話は突然切れた。