俺はエディをタクシーに乗せて、再びラスタ･ラブのVIPルームに戻った。

クタクタに疲れていたし、まだタカシも座っていないベロアのソファに倒れた。

「あー…つかれたー」

タカシが俺の頭元に腰をおろして、いった。

「美喜なにか冷たい物を作ってやれ。」

「ハイハイ。」

「悠。寝る前に起きろ。紹介しておく。」

俺はゾンビのようにグダリと身体を起こした。

「誰をだよ…大半顔見知りだろ。」

「ふん。まず、そこの女。エディを捕まえたやつだ。」

さっき澪といた黒っぽい銀髪の少女

「氷風天空音です。悠くんの噂は色んな人からきいてる。よろしくです。」

俺は軽く手をあげて、よろしくと返した。
なかなかフレンドリーで可愛娘だ。

「はい。どうぞ。」

話しているとこれまた知らない女が飲み物を運んできた。
ジャージで首からはイヤホンが垂れている。

「こっちは誰だ？」

タカシがジョッキを俺の前においていう。

「顔合わせは初めてだったかここのオーナーの平瀬美喜。S･ウルフのOBだ。やる気はないがな。」

「いいのよ。私が動かなくても澪が働くから。」

俺はバーカウンターでグラスを磨いている澪を見た。
なるほど、二階は澪がほとんど切り盛りしているのだろう。

「なんでもいいが。一杯やれ疲れてるんだろ。」

タカシはホッピーの瓶を軽く振った。

「ホッピーって…渋いな」
「夏はこれを３冷で飲むのが最高よ。」

３冷
ホッピーと焼酎を冷やし、ジョッキは冷凍庫で凍らす。そして、焼酎、ホッピーの順で1:5の割合で注ぐと最高のホッピーが出来上がり。

美喜はチャッチャと自分の分を作く。

「コイツ焼き鳥と一番相性がいいんだよな。」

俺、タカシ、美喜はジョッキをぶつけて一気に飲んだ。

「くぁ～……っ…ぅ美味い」

真夜中レイヴの後、初のキンキンに冷えた最高の一杯に俺は吠えた。

「私も飲みまーす」

「お前は未成年だろ。」

俺が二杯目を作ろうとすると天空音がジョッキを出してきたが澪がトマトジュースを注いだ。

「あ！ちょっと！なにするんです！」

「タカシさん。どうぞ。」

「あぁ。」

澪はタカシにトマトジュースとウォッカを渡す。

ホッピーはトマトジュースで割るとカクテルのレッドアイに似てウォッカ足すとレッドバードになる。

さすがタカシ、洒落た飲み方をする。

俺は少しするとアルコールと疲れが融合して眠気をピークに成長させた。

タカシに眠るというと、美喜が別の部屋に案内してくれた。

普段は仮眠室(美喜の私物化中)にいきベッドに倒れた。

……ベッドからは甘い香りがする。

イヤラシイ？ほめことばだよ。

寝入る前に最後に思い出したのは、トワコの厳しい笑顔と足の長さだった。

生身の足もきれいだったが、俺はトワコの強さの元になった金属の足も好きだ。

夢も見ずにシャッターがおりるように眠り、携帯の呼び出し音で目覚めた。