ー特別編ーWORLD・THE・Link【後】
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「…どうして売人なんかになった。お前はイッセイにあったのか」
せわしなく動いていたやつの目が自分の手で止まった。
俺もそこを見た。
縛られたせいか赤黒く腫れた手の甲には、自分の尻尾をかんだ緑色のヘビ…。
終わりなき知恵を象徴するというウロボロスの印だ。
エディは悪びれずにいった。
「イッセイさんには会ったよ。幕張から帰った次の日、ドラッグ関係の裏サイトをのぞいてたら、ウロボロスの求人広告があったんだ。携帯の指令で東京中をぐるぐるまわり、何人かのメンバーと面接を重ねた。最終試験はイッセイさんのまえで、スネークバイトをくうことだった。そいつは得意だから、ぼくは合格してこれを掘ることになった。」
右手を軽くあげてみせる。エディは左手で緑のヘビをこすった。
「なぜだ。」
エディは首を振っていった。
「悠さんにはわからないよ。だって悠さんはドラッグがなくても生きていける人だ。力もあるし、勇気もある、世界がどんなにひどくても、平気でじっと見ていられるでしょう。だけど、世の中そんなに強い人間ばかりじゃないんだよ。ぼくやぼくの客みたいに」
俺は…強いのだろうか。
たとえそうでも俺の強さなどトワコの筋金入りのしなやかさの足元にもおよばなかった。
俺の声は自然に小さくなる
「強くなんかないよ…」
タカシの…皆の視線を横顔に感じた。
俺は少しだけ声を張った。
「俺は強くない。毎日なんとか踏ん張るだけで必死だ。ここにいるS・ウルフの王様だって強くなんかない」
俺がタカシに目をやると、やつはうなずいて見つめ返してきた。
「だからエディ、お前も自分の足で立て。不幸を誰かのせいにするな。お前が自分の足で歩けば、同じ誰かが助けてくれる。お前が歩くなら、俺も一緒に歩くよ。」
それは夜明けに踊りながら、俺がトワコから学んだことだった。
片足だろうが、片親だろうが関係ない。
世界がどんなに悲惨でも俺たちは最後まで自分の足で立つ。
それがストリートでしのぐには、何より大切なんだ。俺はエディにいった。
「お前はもう売人をやめろ。ウロボロスにもスネークバイトにも近づくな。嫌なら、ここにいるタカシに監禁してもらう」
池袋の王様はおやおやという顔をして俺を見た。
温度を感じさせない声でやつはいう。
「悠、ちょっと顔を貸せ。」
タカシはあごの先をVIPルームの外に向けた。
分厚いガラス扉を背後で閉めると、声をひそめて、キングはいった。
「別に監禁するのはかまわないが、それでいいのか。あのガキはどうにもならないジャンキーだが、ウロボロスと繋がった細い線でもある。やつをうまく泳がせて、イッセイをたぐった方がよくないか」
俺はうなだれたままのエディを見た。
「ダメだ。そんなことをすれば、またやつはいいように利用されたと感じる。それじゃ、あいつはいつまでたっても自分の足で歩かない。」
せわしなく動いていたやつの目が自分の手で止まった。
俺もそこを見た。
縛られたせいか赤黒く腫れた手の甲には、自分の尻尾をかんだ緑色のヘビ…。
終わりなき知恵を象徴するというウロボロスの印だ。
エディは悪びれずにいった。
「イッセイさんには会ったよ。幕張から帰った次の日、ドラッグ関係の裏サイトをのぞいてたら、ウロボロスの求人広告があったんだ。携帯の指令で東京中をぐるぐるまわり、何人かのメンバーと面接を重ねた。最終試験はイッセイさんのまえで、スネークバイトをくうことだった。そいつは得意だから、ぼくは合格してこれを掘ることになった。」
右手を軽くあげてみせる。エディは左手で緑のヘビをこすった。
「なぜだ。」
エディは首を振っていった。
「悠さんにはわからないよ。だって悠さんはドラッグがなくても生きていける人だ。力もあるし、勇気もある、世界がどんなにひどくても、平気でじっと見ていられるでしょう。だけど、世の中そんなに強い人間ばかりじゃないんだよ。ぼくやぼくの客みたいに」
俺は…強いのだろうか。
たとえそうでも俺の強さなどトワコの筋金入りのしなやかさの足元にもおよばなかった。
俺の声は自然に小さくなる
「強くなんかないよ…」
タカシの…皆の視線を横顔に感じた。
俺は少しだけ声を張った。
「俺は強くない。毎日なんとか踏ん張るだけで必死だ。ここにいるS・ウルフの王様だって強くなんかない」
俺がタカシに目をやると、やつはうなずいて見つめ返してきた。
「だからエディ、お前も自分の足で立て。不幸を誰かのせいにするな。お前が自分の足で歩けば、同じ誰かが助けてくれる。お前が歩くなら、俺も一緒に歩くよ。」
それは夜明けに踊りながら、俺がトワコから学んだことだった。
片足だろうが、片親だろうが関係ない。
世界がどんなに悲惨でも俺たちは最後まで自分の足で立つ。
それがストリートでしのぐには、何より大切なんだ。俺はエディにいった。
「お前はもう売人をやめろ。ウロボロスにもスネークバイトにも近づくな。嫌なら、ここにいるタカシに監禁してもらう」
池袋の王様はおやおやという顔をして俺を見た。
温度を感じさせない声でやつはいう。
「悠、ちょっと顔を貸せ。」
タカシはあごの先をVIPルームの外に向けた。
分厚いガラス扉を背後で閉めると、声をひそめて、キングはいった。
「別に監禁するのはかまわないが、それでいいのか。あのガキはどうにもならないジャンキーだが、ウロボロスと繋がった細い線でもある。やつをうまく泳がせて、イッセイをたぐった方がよくないか」
俺はうなだれたままのエディを見た。
「ダメだ。そんなことをすれば、またやつはいいように利用されたと感じる。それじゃ、あいつはいつまでたっても自分の足で歩かない。」