ー特別編ーWORLD・THE・Link【前】
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「バイクで部屋に帰る途中から、ヒデキの運転がおかしくなった。向こうの道は日本と違って舗装なんかしてないから、センターラインもないの。ヒデキは右に左に蛇行しながら、フルスロットルで走っている。わたしには遠くに土埃がみえて、トラックが近づいてくるのがわかった。気をつけてといったけど、ヒデキはなにかわからないことを叫びながら、まっすぐトラックに突っ込んでいった。」
レイヴの強烈なビートが子どもだましに感じられる間があいた。
トワコは淡々と話す。
「事故の瞬間はなにがなんだかわからなかった。右足が焼けるように熱かっただけ。私はすぐに気を失って、気がついたら病院のベッドだった。ヒデキもいちおう入院していたけれど、トラックのバンパーで横に跳ねられた彼には打撲傷があるだけだった。私は運が悪かったんだ。あとから聞いたら、バイクといっしょにトラックのしたに巻き込まれたんだって。右足の大腿骨の真ん中から先を、ミキサーにかけたように粉砕骨折してしまった。日本の医療技術なら右足を残しておくことができたかもしれないけど、インドの地方の病院では命を守るためには切断するしかなかった。それで私は次の日、片足を失った」
トワコは含み笑いをしてみせる。
「最初の一年は笑っちゃうくらい辛かった。友達もたくさんなくしたし、家族の顔も見たくない。何度も自殺しようとしたよ。モデル事務所なんて首と同じ長期休養扱い。でも、わたしがどんなに荒れても、ヒデキはいつだって一緒にいてくれた。殴っても、熱いスープをかけても笑っている。もっと荒れてもいいをだよ、トワコの苦しみを僕にも分けてくれって。それで、ある日思ったんだ。右足をなくしたくらいで、人生を全部投げ捨てちゃいけないって。わたしは死ぬほど頑張ってリハビリをやった。もう一度ショーのステージに立つ。あのライトを浴びる。今のわたしならかわいこちゃんモデルには表現できないことを、きっと全身でみんなに伝えられる。そう信じていた。お腹にタトゥーを彫ったのは、復帰初の仕事の前日だった。あの日を絶対忘れないためにね。だから、この刺青はわたしが右足を失い、今のトワコとして生まれ変わった日なんだ。わたしの二度目の誕生日。」
トワコはホットパンツのうえの腹をなで、おれに白い歯をみせた。
「これはね、お涙頂戴の話なんかじゃないよ。私は今では足がないことを感謝してるくらいだな。気分でおしゃれな義足に付け替えられるし、義足をみた人は私のことを決して忘れない。」
そういうとトワコは前歯をすべてむきだしてみせた。凶暴なほどの笑顔。
だが、その笑いが俺の心に火をつけた。
いいだろう。
誰もヘヴンを守れないなら…俺がウロボロスからあんたを守ってやる。
蛇だろうが鬼だろうが竜だろうが神だろうが相手に不足なしだ。
レイヴの強烈なビートが子どもだましに感じられる間があいた。
トワコは淡々と話す。
「事故の瞬間はなにがなんだかわからなかった。右足が焼けるように熱かっただけ。私はすぐに気を失って、気がついたら病院のベッドだった。ヒデキもいちおう入院していたけれど、トラックのバンパーで横に跳ねられた彼には打撲傷があるだけだった。私は運が悪かったんだ。あとから聞いたら、バイクといっしょにトラックのしたに巻き込まれたんだって。右足の大腿骨の真ん中から先を、ミキサーにかけたように粉砕骨折してしまった。日本の医療技術なら右足を残しておくことができたかもしれないけど、インドの地方の病院では命を守るためには切断するしかなかった。それで私は次の日、片足を失った」
トワコは含み笑いをしてみせる。
「最初の一年は笑っちゃうくらい辛かった。友達もたくさんなくしたし、家族の顔も見たくない。何度も自殺しようとしたよ。モデル事務所なんて首と同じ長期休養扱い。でも、わたしがどんなに荒れても、ヒデキはいつだって一緒にいてくれた。殴っても、熱いスープをかけても笑っている。もっと荒れてもいいをだよ、トワコの苦しみを僕にも分けてくれって。それで、ある日思ったんだ。右足をなくしたくらいで、人生を全部投げ捨てちゃいけないって。わたしは死ぬほど頑張ってリハビリをやった。もう一度ショーのステージに立つ。あのライトを浴びる。今のわたしならかわいこちゃんモデルには表現できないことを、きっと全身でみんなに伝えられる。そう信じていた。お腹にタトゥーを彫ったのは、復帰初の仕事の前日だった。あの日を絶対忘れないためにね。だから、この刺青はわたしが右足を失い、今のトワコとして生まれ変わった日なんだ。わたしの二度目の誕生日。」
トワコはホットパンツのうえの腹をなで、おれに白い歯をみせた。
「これはね、お涙頂戴の話なんかじゃないよ。私は今では足がないことを感謝してるくらいだな。気分でおしゃれな義足に付け替えられるし、義足をみた人は私のことを決して忘れない。」
そういうとトワコは前歯をすべてむきだしてみせた。凶暴なほどの笑顔。
だが、その笑いが俺の心に火をつけた。
いいだろう。
誰もヘヴンを守れないなら…俺がウロボロスからあんたを守ってやる。
蛇だろうが鬼だろうが竜だろうが神だろうが相手に不足なしだ。