ー特別編ーWORLD・THE・Link【前】
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俺はうなずいた。
「もし…ダメだったら」
「しかたない。ヘヴンは解散だ。みんな地上におりて自分の道を見つければいい。」
御厨は手を差し出してきた。
俺はやつの手を軽く握った。
力仕事をしたことのないやわらかな手。
「用意ができた。そろそろシークレットレイヴを始めよう。楽しんでいってくれ」
俺はテントを離れ、トワコのところに戻った。
携帯を開くと、午前二時すぎを表示していた。
トワコは立ち上がっていう。
「ソウメイさん、なんだって」
あたりは真っ暗で顔をすぐ近くに寄せなければ表情はわからなかった。
トワコの息が俺の頬にかかる。なんで女の息って甘いんだろう。
「あと二週間でウロボロスをとめなきゃ、ヘヴンは解散かもしれないってさ」
「そう、それは残念だな」
どいつもこいつもお気楽なものだった。
そのとき俺にはあたりの山並みがぐらりと歪んで見えた。
PAから身体を震わせるほどの大音量でシンセサイザーが流れ出す。
汗だくの二百人が踊り出すと、泥とアルコールのにおいがする。
もう俺もやけになっていた。トワコと一緒に暗闇のなか、黙々とステップを踏んだ。
ノンストップで繋がれた曲が二十分も流れると、俺はもう面倒になり考えるのをやめてしまった。
音楽と山頂の風、揺れる木々と山の生気、でたらめに星を敷き詰めた空に向かって心を開く。
どうせいいアイディアなんて、すぐにでるはずがないのだ。
俺は夜のいただきで名前のない人間になって踊り続けた。
一時間ほどしただろうか、トワコが俺の耳元で叫んだ。
「悠くん、話がある」
おかしな顔をしていると、トワコは俺の手を取って歩き出した。
平らな山頂をはずれ、十メートルほどしたの岩棚に降りる。
そこは斜面の海側で、眼下には一枚の黒い鏡のように太平洋が広がっていた。
「のむ?」
トワコがミネラルウォーターをさしだしてきた。
サンキューといって半分ほど一気に空けた。
あきれたように彼女はいう。
「みんな水くらい用意してるのに、悠くんはほんとになにも持ってこないね」
「こんな山のなかだなんて、知らなかった。」
俺たちは岩肌にもたれた。頭のうえを大音量のレイヴ音楽が風のように流れていく。
トワコはホットパンツから伸びた左足をマッサージしている。
「義足の方をかばうから、どうしても健康なほうが痛くなるんだよね。」
金属のシャフトと伸びやかに筋肉のついた生身の足の対比が妙にセクシーだった。
俺は海の方に目をそらせた。
「アンタって強いな」
マッサージを続けながらトワコはいう。
「そうかもね。でも最初から強かったわけじゃない」
「それって、あのタトゥーね日付になにか関係あるの」
トワコがチラリと見上げた。
「ほんとに知らないんだ。わたしもまだまだだな。けっこうあちこちのインタビューで話しているんだけど」
おれはまっすぐトワコの目を見つめた
「アンタの口から聞きたいな。話してくれ」
「もし…ダメだったら」
「しかたない。ヘヴンは解散だ。みんな地上におりて自分の道を見つければいい。」
御厨は手を差し出してきた。
俺はやつの手を軽く握った。
力仕事をしたことのないやわらかな手。
「用意ができた。そろそろシークレットレイヴを始めよう。楽しんでいってくれ」
俺はテントを離れ、トワコのところに戻った。
携帯を開くと、午前二時すぎを表示していた。
トワコは立ち上がっていう。
「ソウメイさん、なんだって」
あたりは真っ暗で顔をすぐ近くに寄せなければ表情はわからなかった。
トワコの息が俺の頬にかかる。なんで女の息って甘いんだろう。
「あと二週間でウロボロスをとめなきゃ、ヘヴンは解散かもしれないってさ」
「そう、それは残念だな」
どいつもこいつもお気楽なものだった。
そのとき俺にはあたりの山並みがぐらりと歪んで見えた。
PAから身体を震わせるほどの大音量でシンセサイザーが流れ出す。
汗だくの二百人が踊り出すと、泥とアルコールのにおいがする。
もう俺もやけになっていた。トワコと一緒に暗闇のなか、黙々とステップを踏んだ。
ノンストップで繋がれた曲が二十分も流れると、俺はもう面倒になり考えるのをやめてしまった。
音楽と山頂の風、揺れる木々と山の生気、でたらめに星を敷き詰めた空に向かって心を開く。
どうせいいアイディアなんて、すぐにでるはずがないのだ。
俺は夜のいただきで名前のない人間になって踊り続けた。
一時間ほどしただろうか、トワコが俺の耳元で叫んだ。
「悠くん、話がある」
おかしな顔をしていると、トワコは俺の手を取って歩き出した。
平らな山頂をはずれ、十メートルほどしたの岩棚に降りる。
そこは斜面の海側で、眼下には一枚の黒い鏡のように太平洋が広がっていた。
「のむ?」
トワコがミネラルウォーターをさしだしてきた。
サンキューといって半分ほど一気に空けた。
あきれたように彼女はいう。
「みんな水くらい用意してるのに、悠くんはほんとになにも持ってこないね」
「こんな山のなかだなんて、知らなかった。」
俺たちは岩肌にもたれた。頭のうえを大音量のレイヴ音楽が風のように流れていく。
トワコはホットパンツから伸びた左足をマッサージしている。
「義足の方をかばうから、どうしても健康なほうが痛くなるんだよね。」
金属のシャフトと伸びやかに筋肉のついた生身の足の対比が妙にセクシーだった。
俺は海の方に目をそらせた。
「アンタって強いな」
マッサージを続けながらトワコはいう。
「そうかもね。でも最初から強かったわけじゃない」
「それって、あのタトゥーね日付になにか関係あるの」
トワコがチラリと見上げた。
「ほんとに知らないんだ。わたしもまだまだだな。けっこうあちこちのインタビューで話しているんだけど」
おれはまっすぐトワコの目を見つめた
「アンタの口から聞きたいな。話してくれ」