ー特別編ーWORLD・THE・Link【前】
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俺はいらないといった。
あんな紙切れなど欲しくない。
警察から賞状などもらったら、恥ずかしくてS・ウルフの集会に顔を出せなくなる。
「じゃあ、メトロポリタンのバーでおごってくれよ。全部おわったら。あと、東口のラーメン屋和龍軒の宣伝頼む」
柏は悲痛にいった。
『お前は人事院の勧誘なんて知らないだろうな。公務員の給料は今年も大幅にカットされんだぞ。ホテルのバーじゃなく、養老乃瀧かなんかにしろ』
俺はソファに腰掛けいった。
「これから先、もっといいネタが入るかもしれないのにな。ケチるなら、よそに流すぜ?」
柏は不機嫌にわかったと繰り返した。
『メトロポリタンでいい。今回は情報収集費の名目で領収書を切る。それよりうちの署まで顔を出せ。生活安全課の人間が話を聞きたがってる』
何人か顔を知っているあの部署の刑事を思い浮かべた。
ゾッとするお呼ばれだ。
「こっちも売人追うので忙しいんだ。話をするのは、次の機械にしてくれ。」
ちょっと待てと電話の向こうで叫んでいた。
俺は容赦なく携帯を畳んでしまう。
自分からガチャ切りするのはいつだって楽しい。
その夜は久々にマオと顔を合わせて晩飯を食って、今夜は外出するというと…
「今夜「も」だろ…なの…。」
つめたーく言われた。
洗い物をしながら、トワコからの電話を待った。
夜九時過ぎ、俺の携帯が鳴った。
トワコだった。
『千葉駅から内房線に乗った。』
またわけがわからない指令だった。
俺はあきれていった。
「目隠し猿ぐつわはしてなくていいのか」
トワコはおれの冗談など相手にしなかった。
『館山いきの最終は千葉駅から十時二十四分発よ。それで館山の駅前広場に真夜中に集合する。わかった?』
俺がわかったというとトワコは急に通話を切ってしまう。
ガチャ切りって相手にやられるとなぜこんなに腹が立つのだろうか。
俺はときどき携帯をぶっ…壊したくなる。
夜の十時半近くに千葉駅のホームに立った。
改装まえの上野駅と同じで、妙に淋しい印象の駅だった。
だが、内房線のホームはそこだけ別世界だった。
どこから噂を聞き付けたのかわからないが、二百人近い人間が電車を待っているのだ。
レイヴ目あての客は一般の乗客とはまったく違っていた。
すでに全員ハイなのだ。
怖がって誰も近づいて来なかった。
三割ほどは外国人で、ほとんどのやつは背中にバックパックを背負っている。
手ぶらの人間は俺をふくめて数えるほどしかいない。
千葉から館山までの一時間半、車内はお祭り騒ぎだった。
あらゆる種類の酒びんがでまわり、色とりどりのソフトドラッグは物々交換される。
誰かのラジカセがトワコの新曲を割れるような音で流していた。
最終電車は蛍光灯の光と酔っぱらいの奇声を撒きながら、東京湾沿いの暗闇を裂いて走った。
あんな紙切れなど欲しくない。
警察から賞状などもらったら、恥ずかしくてS・ウルフの集会に顔を出せなくなる。
「じゃあ、メトロポリタンのバーでおごってくれよ。全部おわったら。あと、東口のラーメン屋和龍軒の宣伝頼む」
柏は悲痛にいった。
『お前は人事院の勧誘なんて知らないだろうな。公務員の給料は今年も大幅にカットされんだぞ。ホテルのバーじゃなく、養老乃瀧かなんかにしろ』
俺はソファに腰掛けいった。
「これから先、もっといいネタが入るかもしれないのにな。ケチるなら、よそに流すぜ?」
柏は不機嫌にわかったと繰り返した。
『メトロポリタンでいい。今回は情報収集費の名目で領収書を切る。それよりうちの署まで顔を出せ。生活安全課の人間が話を聞きたがってる』
何人か顔を知っているあの部署の刑事を思い浮かべた。
ゾッとするお呼ばれだ。
「こっちも売人追うので忙しいんだ。話をするのは、次の機械にしてくれ。」
ちょっと待てと電話の向こうで叫んでいた。
俺は容赦なく携帯を畳んでしまう。
自分からガチャ切りするのはいつだって楽しい。
その夜は久々にマオと顔を合わせて晩飯を食って、今夜は外出するというと…
「今夜「も」だろ…なの…。」
つめたーく言われた。
洗い物をしながら、トワコからの電話を待った。
夜九時過ぎ、俺の携帯が鳴った。
トワコだった。
『千葉駅から内房線に乗った。』
またわけがわからない指令だった。
俺はあきれていった。
「目隠し猿ぐつわはしてなくていいのか」
トワコはおれの冗談など相手にしなかった。
『館山いきの最終は千葉駅から十時二十四分発よ。それで館山の駅前広場に真夜中に集合する。わかった?』
俺がわかったというとトワコは急に通話を切ってしまう。
ガチャ切りって相手にやられるとなぜこんなに腹が立つのだろうか。
俺はときどき携帯をぶっ…壊したくなる。
夜の十時半近くに千葉駅のホームに立った。
改装まえの上野駅と同じで、妙に淋しい印象の駅だった。
だが、内房線のホームはそこだけ別世界だった。
どこから噂を聞き付けたのかわからないが、二百人近い人間が電車を待っているのだ。
レイヴ目あての客は一般の乗客とはまったく違っていた。
すでに全員ハイなのだ。
怖がって誰も近づいて来なかった。
三割ほどは外国人で、ほとんどのやつは背中にバックパックを背負っている。
手ぶらの人間は俺をふくめて数えるほどしかいない。
千葉から館山までの一時間半、車内はお祭り騒ぎだった。
あらゆる種類の酒びんがでまわり、色とりどりのソフトドラッグは物々交換される。
誰かのラジカセがトワコの新曲を割れるような音で流していた。
最終電車は蛍光灯の光と酔っぱらいの奇声を撒きながら、東京湾沿いの暗闇を裂いて走った。