ー特別編ーWORLD・THE・Link【前】
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スネークバイトの話も教えてやる。
柏の声は引き締まった。
『新型の薬物が大量に市中にでまわり始めたのか。なかなかの情報だ。お手柄だな』
そんなことはいいといって、俺はドラッグ関連の裏サイトのアドレスをいくつか教えてやった。
「池袋でも放っておけば集団乱用が起こるかもしれない。俺はなんとか売人の組織を追ってみる」
柏はいった。
『無理はするな。放火の方も忙しいが本庁の生活安全課を動かさして、首都圏に警戒網を張る。そのスネークバイトとかいうドラッグはなんとしても押さえなきゃいけないな。』
そうなのだ、ガキどもはどんなクスリにでもお気軽に手を出してしまう。
音楽がかっこよく聞こえるおしゃれなクスリだなんて言われたら、頭の悪い中高年はなんの抵抗もないだろう。
おれは、内心悲観的だった。
二年以上まったく警察に知られることなくドラッグの製造直販を続けていたのだ。
ウロボロスがそう簡単に尻尾をだすとは思えなかった。
「税金を払ってんだ。全力で警察を動かしてくれ。もうひとり女の子がしんでるんだ。売人組織が俺の思っているとおりやけになってるなら、これから何人死ぬかわかんないぞ」
通話を切った。
俺は呆然としたまま、燃え上がるドラッグサイトを眺めていた。
スネークバイトに興奮した書き込みが目の前で無数に増殖していく。
いくらスクロールしてもぶっ飛んだ文字列は終わらなかった。
自分の尻尾を飲んだヘビのようにスレッドは永遠に続いている。
次の日…
俺は頭っから学校に行くのをやめて朝からサイトを巡っていた。
一歩間違えば蓬莱ニートだ。
テレビから昼前のニュースが流れ出した。
『都内で連続して通り魔事件が起きました。』
アナウンサーが緊張した様子でいった。
俺はノートパソコンを放り出してテレビに張り付いた。
画面にはアスファルトに落ちた血の跡が映されていた。
まだ表面が濡れているような生々しいやつだ。
センター街だろうか。
HMVの看板が見えた気がした。
『今朝九時過ぎから一時間半ほどのあいだに、東京の渋谷、六本木、上野の繁華街で連続して三件の通り魔事件が発生しています。これまでのところ死者はありませんが、重軽傷者八人が病院に運ばれています。容疑者はすべてその場で逮捕されていますが、急性の薬物中毒状態で意味不明の言葉を発している模様です。警視庁では背後に共通する組織や原因がないか、容疑者の回復を待って取り調べる予定です。』
俺にはすぐに原因がわかった。
スネークバイト
あのミドリのヘビが牙をむいたのだ。
テレビを見ていると軍パンの尻ポケットで携帯がうなりだした。
「はい、悠」
珍しく機嫌のいい声がながれた。
『お前の情報が役に立った。本庁では昼過ぎに新型薬物乱用事件の捜査本部を開くそうだ。スネークバイト専用のな。今日の通り魔も三人ともあのクスリをやっていたようだ。俺は警視総監から直々に電話をもらった。どんなニュースソースをもってるのかうらやましがられた。悠、なんなら、賞状いらないか?』