ー特別編ーWORLD・THE・Link【前】
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病室にいた六人の話しはみな似たようなものだった。
ある種の人間は何かに一度はまるとそこから抜け出せなくなるのだ。
酒、タバコ、ドラッグばかりじゃない。
ゲームや金もうけや恋愛だって同じようなものだ。
近頃の人間はみなひどく洗練されているから、必ずなにかひてつ依存の対象を用意しておくのがエチケットらしい。
そうでないとパーティで会話の輪に入れないのだろう。
俺だって例外じゃない。
おれが依存するのは、ゲームに漫画にアニメに音楽に女が表。
本性は喧嘩に無名の探偵業なのだ。
街の裏側を覗くことで退屈な日常から自分を解放する。
危険なこともあるし、快感だってある。ジャンキーたちと何も変わらない。
俺は複雑な気分で病室を離れた。
トワコと一緒に一階にもどる。
エントランスのよこにあるサンルームのような喫茶店にはいった。
俺はカフェラテ、トワコはミネラルウォーターを頼んだ。
一番気になってることから義足のモデルにたずねた。
「俺にはどう考えても、ヘヴンとウロボロスが無関係とは思えない。イッセイって誰なんだ。事実を隠されたら、俺にはウロボロスを止められないぞ。」
トワコはペットボトルから直接ひとくち飲んだ。
なめらかな喉が動く。
「しょうがないか、でも警察には内緒にしてよ。」
「……あのさ、俺を信用できないのは構わないけど。見くびるのはやめてくれ。」
俺は前髪のあいだから目を細めて義足のモデルを見つめた。
「…ごめんなさい。」
「あ、いや…謝らなくてもいいよ。」
俺は髪をかきあげて笑ってみせた。
「話すわね。佐伯イッセイってソウメイさんといっしょにヘヴンをつくった創立メンバーなんだ。十年前にヨーロッパで始まったレイヴ運動を日本でも根づかせようって組織をつくった。最初のころは仲がよかったらしいけど、成功してからだんだんヘヴンの雰囲気が変わって、イッセイさんは離れた。」
なるほど。
ほとんどの組織はうまくいかずに努力しているあいだはダメにならない。
腐り始めるのはたいてい成功してからだ。
トワコは昨日のやつれた顔をしていた。
美人は得だと思った。
研かれたように美しさが一段鋭くなっている。
「続けてくれ。」
「もともとソウメイさんは外部からの資本を導入してもいいから、レイヴをもっと一般に広めたいと思っていた。イッセイさんはそれとは反対で、レイヴの精神的な面や文化的な価値を薄めずに大切にしていこうと考えだった。でも、最初に広告代理店と組んだ野外レイヴの成功で流れは決まった。今から三年くらいまえのことね。イッセイさんはヘヴンを抜けて、ドラッグの世界からレイヴに関わるようになった。LSDやコカインを超える力をもったあのミドリのやつで」
真夏の日差しのしたで冷たいコーヒーをのむ。
思わずつぶやいた。
「…スネークバイト」
ある種の人間は何かに一度はまるとそこから抜け出せなくなるのだ。
酒、タバコ、ドラッグばかりじゃない。
ゲームや金もうけや恋愛だって同じようなものだ。
近頃の人間はみなひどく洗練されているから、必ずなにかひてつ依存の対象を用意しておくのがエチケットらしい。
そうでないとパーティで会話の輪に入れないのだろう。
俺だって例外じゃない。
おれが依存するのは、ゲームに漫画にアニメに音楽に女が表。
本性は喧嘩に無名の探偵業なのだ。
街の裏側を覗くことで退屈な日常から自分を解放する。
危険なこともあるし、快感だってある。ジャンキーたちと何も変わらない。
俺は複雑な気分で病室を離れた。
トワコと一緒に一階にもどる。
エントランスのよこにあるサンルームのような喫茶店にはいった。
俺はカフェラテ、トワコはミネラルウォーターを頼んだ。
一番気になってることから義足のモデルにたずねた。
「俺にはどう考えても、ヘヴンとウロボロスが無関係とは思えない。イッセイって誰なんだ。事実を隠されたら、俺にはウロボロスを止められないぞ。」
トワコはペットボトルから直接ひとくち飲んだ。
なめらかな喉が動く。
「しょうがないか、でも警察には内緒にしてよ。」
「……あのさ、俺を信用できないのは構わないけど。見くびるのはやめてくれ。」
俺は前髪のあいだから目を細めて義足のモデルを見つめた。
「…ごめんなさい。」
「あ、いや…謝らなくてもいいよ。」
俺は髪をかきあげて笑ってみせた。
「話すわね。佐伯イッセイってソウメイさんといっしょにヘヴンをつくった創立メンバーなんだ。十年前にヨーロッパで始まったレイヴ運動を日本でも根づかせようって組織をつくった。最初のころは仲がよかったらしいけど、成功してからだんだんヘヴンの雰囲気が変わって、イッセイさんは離れた。」
なるほど。
ほとんどの組織はうまくいかずに努力しているあいだはダメにならない。
腐り始めるのはたいてい成功してからだ。
トワコは昨日のやつれた顔をしていた。
美人は得だと思った。
研かれたように美しさが一段鋭くなっている。
「続けてくれ。」
「もともとソウメイさんは外部からの資本を導入してもいいから、レイヴをもっと一般に広めたいと思っていた。イッセイさんはそれとは反対で、レイヴの精神的な面や文化的な価値を薄めずに大切にしていこうと考えだった。でも、最初に広告代理店と組んだ野外レイヴの成功で流れは決まった。今から三年くらいまえのことね。イッセイさんはヘヴンを抜けて、ドラッグの世界からレイヴに関わるようになった。LSDやコカインを超える力をもったあのミドリのやつで」
真夏の日差しのしたで冷たいコーヒーをのむ。
思わずつぶやいた。
「…スネークバイト」