ー特別編ーWORLD・THE・Link【前】
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俺はドラッグはやってないが、それでもトワコのステージは強力だった。
ミネラルウォーターだけで完璧な酩酊状態になる。
となりでは御厨が立ち上がり踊り出した。
最高だ最高だとエディと同じように叫んでいる。
崩れ落ちるハリケーンの泡立つ波頭のまえで、トワコがVIP席の俺たちに向かって手をさしだした。
つぎの瞬間背景は誰もいない夏草の草原に変化する。空に浮かぶ純白の雲のかけら。
日差しはレンズの隅で文光され、菱形に飛び散っている。
その中央でトワコが手招きしていた。
私の手を取りなさい。
ここにきて永遠をつかみなさい。
おれはそう耳元で囁かれた気がした。
なにがなんだかわからない。
だが、おれはバネ仕掛けの人形のように椅子から立ち上がり、でたらめな速さでステップを踏みはじめていた。
このまま壊れたってかまわない。
おれは今生きていて、この心臓はでたらめなスピードでビーとを刻んでる。
そのとき御厨のいうことが、俺にもすこしだけわかった気がした。
この世界に存在するというのは、ただそれだけで荒れ狂うことなのだ。
命はどんなモラルにも縛られない荒れ狂う力だ。
規制することも、限定することも、コントロールすることもできない。
どこまでもあふれだし、増殖しビートを刻み続ける力。
生きることは、誰もとめられない速度だ。
真夜中の二時から一時間続いたトワコのステージが、その夜のハイライトだった。
DJとVJはつぎつぎと替わり、レイヴの音と映像はそのあとも流れ続けた。
だが、俺にはさっきのような瞬間がやって来ることは二度となかった。
だいたい一晩中休みなく躍り続けるなんて、なんのドラッグもやっていない体力ではきつすぎるのだ。
俺はトワコのステージのあとで一般席のエディと合流した。
明け方の五時に異様にタフな安浦の女子大生とエディに一声かけて、通路のベンチで眠ってしまった。
あたりはダンスホールといいより野戦病院のようだった。
目につくあらゆる場所で力尽きて倒れた男女が汗だくのまま眠っている。
俺は息苦しい浅い夢のなかで何度かサイレンの音を聞いたような気がした。
わずかな睡眠で活力を取り戻したあと、タカシを探したが姿は見当たらない。
きっと暗いうちに池袋に退散していたのだろう。
いつもながら正しい選択だった。
女子大生とは海浜幕張駅の前で別れた。
エディは携帯の番号をゲットしていたようだが、何をするにしても俺たちは疲れすぎていた。
真夏の日差しは重い肩を鞭のように打ってくる。
レイヴは一晩中続いていたのだ。
エディは海岸の太陽だって平気なようだった。
まだ青いドルフィンが決まっているのだろう。
直射日光のなか立ち尽くし、明るく開いた瞳孔で下世話な駅前を眺めている。
十字架みたいに腕をいっぱいに広げていった。
「今日も最高にクールだねー、悠さん」
俺はぶっ飛んだままの、そうなのかーじゃなく、エディの切符も買い、手渡してやった。
「俺はくたくた。しばらくシンセサイザーの音は聞きたくない。」
俺にはやはりアコースティックな音が一番だ。
エディは意外そうな顔をした。
ミネラルウォーターだけで完璧な酩酊状態になる。
となりでは御厨が立ち上がり踊り出した。
最高だ最高だとエディと同じように叫んでいる。
崩れ落ちるハリケーンの泡立つ波頭のまえで、トワコがVIP席の俺たちに向かって手をさしだした。
つぎの瞬間背景は誰もいない夏草の草原に変化する。空に浮かぶ純白の雲のかけら。
日差しはレンズの隅で文光され、菱形に飛び散っている。
その中央でトワコが手招きしていた。
私の手を取りなさい。
ここにきて永遠をつかみなさい。
おれはそう耳元で囁かれた気がした。
なにがなんだかわからない。
だが、おれはバネ仕掛けの人形のように椅子から立ち上がり、でたらめな速さでステップを踏みはじめていた。
このまま壊れたってかまわない。
おれは今生きていて、この心臓はでたらめなスピードでビーとを刻んでる。
そのとき御厨のいうことが、俺にもすこしだけわかった気がした。
この世界に存在するというのは、ただそれだけで荒れ狂うことなのだ。
命はどんなモラルにも縛られない荒れ狂う力だ。
規制することも、限定することも、コントロールすることもできない。
どこまでもあふれだし、増殖しビートを刻み続ける力。
生きることは、誰もとめられない速度だ。
真夜中の二時から一時間続いたトワコのステージが、その夜のハイライトだった。
DJとVJはつぎつぎと替わり、レイヴの音と映像はそのあとも流れ続けた。
だが、俺にはさっきのような瞬間がやって来ることは二度となかった。
だいたい一晩中休みなく躍り続けるなんて、なんのドラッグもやっていない体力ではきつすぎるのだ。
俺はトワコのステージのあとで一般席のエディと合流した。
明け方の五時に異様にタフな安浦の女子大生とエディに一声かけて、通路のベンチで眠ってしまった。
あたりはダンスホールといいより野戦病院のようだった。
目につくあらゆる場所で力尽きて倒れた男女が汗だくのまま眠っている。
俺は息苦しい浅い夢のなかで何度かサイレンの音を聞いたような気がした。
わずかな睡眠で活力を取り戻したあと、タカシを探したが姿は見当たらない。
きっと暗いうちに池袋に退散していたのだろう。
いつもながら正しい選択だった。
女子大生とは海浜幕張駅の前で別れた。
エディは携帯の番号をゲットしていたようだが、何をするにしても俺たちは疲れすぎていた。
真夏の日差しは重い肩を鞭のように打ってくる。
レイヴは一晩中続いていたのだ。
エディは海岸の太陽だって平気なようだった。
まだ青いドルフィンが決まっているのだろう。
直射日光のなか立ち尽くし、明るく開いた瞳孔で下世話な駅前を眺めている。
十字架みたいに腕をいっぱいに広げていった。
「今日も最高にクールだねー、悠さん」
俺はぶっ飛んだままの、そうなのかーじゃなく、エディの切符も買い、手渡してやった。
「俺はくたくた。しばらくシンセサイザーの音は聞きたくない。」
俺にはやはりアコースティックな音が一番だ。
エディは意外そうな顔をした。