ー特別編ーWORLD・THE・Link【前】
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「ヘヴンは日本全国にネットワークをもってる。海外にも手広くな。時にはS・ウルフも池袋の外の世界と繋がらなきゃならないのさ。経営学の基本を知ってるか。」
あえて知らないというと、意外ときれいな発音でやつはいう。
「アウトローカル・シンクグローバル」
池袋のキングはにっこり笑い、肩をすくめて見せた。自分の街が好きで、世界なんてほんとどうでもいいと俺は言わなかった。
きっとタカシのほうが正しいのだ。
「なぁ、もひとついいか。」
「なんだ。」
「なんで、リッカにやらせない。こーゆのは彼奴の生業じゃないか。」
「リッカは確かにいい腕だ。だが、まだまだ、お前には劣る。それに放火も売人も厄介なのは変わらない。」
王の領土はほんとうに広い。
やつの元にはありとあらゆる問題が送られてくるのだろう。それを自分一人で判断して指示をだし裁く。
俺には真似できない。
「おーい、小鳥遊くん、君も見ておいたほうがいい。いくぞー」
天国の組織人の声が遠くからやわらかに響いてきた。
スタッフ以外立ち入り禁止の通路を抜けて、ステージ正面のVIP席に案内された。
うしろの一般席はすべてスタンディングなのだが、そこにはパイプ椅子が並びテレビのコマーシャルで見かけた顔がいくつか散らばっていた。
俺には興味のない顔だ。
おれたちがまえから三列目に座るといきなりホールは暗転した。
立ち尽くす五千人のファンからトワコトワコの大合唱が起きて、津波のようにステージに押し寄せる。
レイヴ音楽の基本形である四つ打ちのバスドラムが始まった。
巨人の足踏みがドスンドスンと一小節に四回。
ステージ中央から青いレーザービームが会場に走る。
スモークマシンから吐き出された煙りは夜明けの雲のように青く透明になびいていた。
つぎの瞬間スポットライトが一本だけ、ステージ中央に落ちた。
光の柱の底で義足のモデルが両足をしっかりと踏ん張り、目を閉じてうたいだす。
トワコの声は細いが、右足のチタンシャフトのように強靭だ。
大歓声のノイズを位相のそろった光のように切り裂いて会場を満たしていく。
歌詞はなかった。
声を自由自在に楽器のように揺らせ、不思議に東洋風のメロディをつむいでいく。
たいしたものだ。
トワコは俺にさっきのシューベルトを思い出させたのだから。
なにもかも蹴り飛ばして自分でもわからない未来にむけて駆けていく女のイメージ。
トワコの声は三階建てのビルくらいのおおきさに積まれたスピーカーから、洪水のように溢れ出していた。
背景音は多重録音のテープなのだろう。
ホールの巨大な丸天井が数百人のトワコの声で埋め尽くされていく。
空から降ってくる澄んだ声の瀑布だ。
彼女はウインドウマシンの正面で風を浴び全力でうたっていた。
目に見えぬ歌の翼にのって、トワコはそのままどこかに飛んでいきそうだ。
あえて知らないというと、意外ときれいな発音でやつはいう。
「アウトローカル・シンクグローバル」
池袋のキングはにっこり笑い、肩をすくめて見せた。自分の街が好きで、世界なんてほんとどうでもいいと俺は言わなかった。
きっとタカシのほうが正しいのだ。
「なぁ、もひとついいか。」
「なんだ。」
「なんで、リッカにやらせない。こーゆのは彼奴の生業じゃないか。」
「リッカは確かにいい腕だ。だが、まだまだ、お前には劣る。それに放火も売人も厄介なのは変わらない。」
王の領土はほんとうに広い。
やつの元にはありとあらゆる問題が送られてくるのだろう。それを自分一人で判断して指示をだし裁く。
俺には真似できない。
「おーい、小鳥遊くん、君も見ておいたほうがいい。いくぞー」
天国の組織人の声が遠くからやわらかに響いてきた。
スタッフ以外立ち入り禁止の通路を抜けて、ステージ正面のVIP席に案内された。
うしろの一般席はすべてスタンディングなのだが、そこにはパイプ椅子が並びテレビのコマーシャルで見かけた顔がいくつか散らばっていた。
俺には興味のない顔だ。
おれたちがまえから三列目に座るといきなりホールは暗転した。
立ち尽くす五千人のファンからトワコトワコの大合唱が起きて、津波のようにステージに押し寄せる。
レイヴ音楽の基本形である四つ打ちのバスドラムが始まった。
巨人の足踏みがドスンドスンと一小節に四回。
ステージ中央から青いレーザービームが会場に走る。
スモークマシンから吐き出された煙りは夜明けの雲のように青く透明になびいていた。
つぎの瞬間スポットライトが一本だけ、ステージ中央に落ちた。
光の柱の底で義足のモデルが両足をしっかりと踏ん張り、目を閉じてうたいだす。
トワコの声は細いが、右足のチタンシャフトのように強靭だ。
大歓声のノイズを位相のそろった光のように切り裂いて会場を満たしていく。
歌詞はなかった。
声を自由自在に楽器のように揺らせ、不思議に東洋風のメロディをつむいでいく。
たいしたものだ。
トワコは俺にさっきのシューベルトを思い出させたのだから。
なにもかも蹴り飛ばして自分でもわからない未来にむけて駆けていく女のイメージ。
トワコの声は三階建てのビルくらいのおおきさに積まれたスピーカーから、洪水のように溢れ出していた。
背景音は多重録音のテープなのだろう。
ホールの巨大な丸天井が数百人のトワコの声で埋め尽くされていく。
空から降ってくる澄んだ声の瀑布だ。
彼女はウインドウマシンの正面で風を浴び全力でうたっていた。
目に見えぬ歌の翼にのって、トワコはそのままどこかに飛んでいきそうだ。