ー特別編ーWORLD・THE・Link【前】
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おれは前髪をかき分けていった。
「ソフトドラッグの売人は残して、ウロボロスだけ排除したいんだろ。もちろん警察の手はかりず、すべては内密のうちに」
「虎琥狗君のいうとおりだ。小鳥遊くんはのみこみがいい」
御厨はうっとりと笑う。
おれにはやつが笑っているのか、ドラッグが笑わせているのかわからなかった。
そのときスタッフの女がやってきてパーティションの端で声をかけた。
「トワコさん、時間です」
トワコは義足の不自由さなどまったく感じさせずに、ひと動作でさっと立ち上がった。
パーカーを脱ぐと、したは白い麻のタンクトップだった。締まった腹がまぶしい。
背は百七十を軽く越えているようだ。
俺より少しだけ小さいくらいでリッカみたいに、足がでたらめに長かった。
片方が金属の棒なので残りの足の長さが強調されてるのかもしれない。
股の付け根ギリギリで切ったローライズのジーンズは恥骨が見えるんじゃないかという股がみの浅さ。
なめらかな下腹に彫られたタトゥーに自然に目が吸い寄せられる。
紺色の数字はこう読めた。
2006/5/25
俺はあっけにとられて三次元CGでつくられたフィギュアのような女をみあげていた。
「そいつはなんの日付なの」
トワコはさっさとソファから離れていく。
白いプラスチックの衝立のところで俺を振り向いた。
「私の誕生日」
この女がまだ四歳のはずがない。
黙っているとトワコはいう。
「ソウメイさんはいそがしいから、ヘヴンとの繋ぎ役は私がやる。携帯の番号はもうもらってるから、あとで連絡するね。悠君、ステージ楽しんでいって」
目の隅にかすかな金属のひかりを残して、トワコは衝立の向こうに消えた。
トワコがいってしまうと、急に部屋のなかが暗くなったような気がした。
さすがアーティスト。
とんでもないオーラを放っていたのかもしれない。
俺は御厨にいった。
「ウロボロスのイッセイって誰だ」
オーガナイザーはそわそわと腕時計を見た。
「それはつぎの機会にでも彼女からきくといい。そんなことより、ぼくたちもステージを見に行こう。今夜はトワコの新曲の初ライヴだ。」
御厨やと秘書が立ち上がった。
秘書のひとりが俺に首からさげるスタッフ証をくれた。
俺はとなりに座るタカシに目をやった。
乳首か透けて見える魚網のような黒いサマーセーター。
池袋の女たちならドミノ倒しで失神ものだが、あいにく俺にはぜんぜん効果はない。
オーガナイザーがソファを離れると、俺は小声で王様にいった。
「あいつらっていつもこんな調子なのか。どっか浮いてるっていうか、抜けてるっていうか、まったりしてるっていうか…」
タカシは鼻の先で笑ってうなずく。
「そうだな。天国みたいに浮き世離れしてる」
「S・ウルフがこんな仕事受けて、なんのメリットがあるんだ。」
タカシは横目でチラリと俺を見た。
「ソフトドラッグの売人は残して、ウロボロスだけ排除したいんだろ。もちろん警察の手はかりず、すべては内密のうちに」
「虎琥狗君のいうとおりだ。小鳥遊くんはのみこみがいい」
御厨はうっとりと笑う。
おれにはやつが笑っているのか、ドラッグが笑わせているのかわからなかった。
そのときスタッフの女がやってきてパーティションの端で声をかけた。
「トワコさん、時間です」
トワコは義足の不自由さなどまったく感じさせずに、ひと動作でさっと立ち上がった。
パーカーを脱ぐと、したは白い麻のタンクトップだった。締まった腹がまぶしい。
背は百七十を軽く越えているようだ。
俺より少しだけ小さいくらいでリッカみたいに、足がでたらめに長かった。
片方が金属の棒なので残りの足の長さが強調されてるのかもしれない。
股の付け根ギリギリで切ったローライズのジーンズは恥骨が見えるんじゃないかという股がみの浅さ。
なめらかな下腹に彫られたタトゥーに自然に目が吸い寄せられる。
紺色の数字はこう読めた。
2006/5/25
俺はあっけにとられて三次元CGでつくられたフィギュアのような女をみあげていた。
「そいつはなんの日付なの」
トワコはさっさとソファから離れていく。
白いプラスチックの衝立のところで俺を振り向いた。
「私の誕生日」
この女がまだ四歳のはずがない。
黙っているとトワコはいう。
「ソウメイさんはいそがしいから、ヘヴンとの繋ぎ役は私がやる。携帯の番号はもうもらってるから、あとで連絡するね。悠君、ステージ楽しんでいって」
目の隅にかすかな金属のひかりを残して、トワコは衝立の向こうに消えた。
トワコがいってしまうと、急に部屋のなかが暗くなったような気がした。
さすがアーティスト。
とんでもないオーラを放っていたのかもしれない。
俺は御厨にいった。
「ウロボロスのイッセイって誰だ」
オーガナイザーはそわそわと腕時計を見た。
「それはつぎの機会にでも彼女からきくといい。そんなことより、ぼくたちもステージを見に行こう。今夜はトワコの新曲の初ライヴだ。」
御厨やと秘書が立ち上がった。
秘書のひとりが俺に首からさげるスタッフ証をくれた。
俺はとなりに座るタカシに目をやった。
乳首か透けて見える魚網のような黒いサマーセーター。
池袋の女たちならドミノ倒しで失神ものだが、あいにく俺にはぜんぜん効果はない。
オーガナイザーがソファを離れると、俺は小声で王様にいった。
「あいつらっていつもこんな調子なのか。どっか浮いてるっていうか、抜けてるっていうか、まったりしてるっていうか…」
タカシは鼻の先で笑ってうなずく。
「そうだな。天国みたいに浮き世離れしてる」
「S・ウルフがこんな仕事受けて、なんのメリットがあるんだ。」
タカシは横目でチラリと俺を見た。