ー特別編ーWORLD・THE・Link【前】
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「イッセイならやりそうなことだ」
トワコは俺の目をじっと見ていた。義足に注意を取られて解らなかったが、整った顔立ちをしている。
「手の甲になにかなかった」
「あった。緑のヘビの丸い輪っか。」
御厨が身体をのりだしてきた。
「いいだろう。彼らの話と依頼の内容を説明しよう。だが、これは警察には絶対に離さないこと。ここにいるぼくたち全員が危うくなるからね。」
日本一だというレイヴのオーガナイザーは、にっこりと俺にウインクした。
「レイヴというのは荒れ狂うという意味の英語だ。十年ほど前に離島やロンドンの小さなクラブで始まった時から、レイヴとドラッグは切っても切れない関係だった。赤ん坊とおしゃぶりのようなものだ。どこの国でもクスリがなければ、とたんに客は不機嫌になる。最初は圧倒的にエクスタシーとよばれるMDADが有力だった。疲れを知らずに八時間は踊れて、この世のすべての憂鬱を吹き飛ばしてくれる。失業や退屈を忘れ踊り狂う。政治的な意図も、哲学的な意味もなかった。存在のままにただ荒れ狂うのがレイヴの本質なんだ。だが、新型のドラッグは次第に法の網にかかるようになった。日本でもいつの間にか、覚せい剤なんかと同じ違法な精神薬の指定を受けている。」
御厨はNHKのニュース解説のように手慣れた調子で言った。
「悠君、この会場に来て何か目につかないか」
それなら誰だってわかる。
たくさんのおっぱいと思わせぶりな視線。
性的な刺激を購買欲に結び付けようと必死になる女たちのイメージだ。
「タバコとビールのポスター」
オーガナイザーはつまらなそうに笑う。
「初期のレイヴは自然発生的な若者の流行現象だった。音楽、ファッション、人との繋がり方。何の思想もないとはいえ、ちょっとした文化的な雰囲気があったんだ。何せまったく新しいものだったからね。」
御厨は遠い目をした。
きっと十年前のヨーロッパで、その運動に立ち会っていたのだろう。
「だが、この数年はどこの国でも商業主義がレイヴに流入するようになった。会場やPAの規模が大きくなり、客の数が比較的に伸びていく。するとオーガナイズするにも、大変な費用がかかるようになる。そこに目を付けたのが、広告の出稿を押さえられているタバコとアルコールの会社だった。集客力のあるおしゃれなコンサートだとでも思っているのだろう。」
どこが違うんだとつっこみそうになって、俺は口を閉じた。
「今夜のレイヴは、ぼくたちにとってコマーシャルレイヴにすぎない。利益を出すためのね。何をするにもお金がかかる以上、できるだけ上質なエンターティメントを提供して客や資本家から金を受け取るのは悪いことじゃない。君はあまり気にいっては無いそうだが、本物のレイヴはこんなものじゃない。そのうちへヴンが本気でオーガナイズするシークレットライブに招待するよ。楽しみにしていてくれ。」
俺はどーでもよかったがうなずいていった。
「あんたたちの仕事は分かった。それとウロボロスとかいうドラッグディラーと何の関係があるんだ。」
御厨はまったく焦ってなかった。テーブルの上のアイスチャイをひとくち飲む。
「夜は長いゆっくり話そう。ウロボロスのまえに、へヴンのメンバーが考えるドラッグについてのモラルを君に伝えておかなくてはならない。」
トワコは俺の目をじっと見ていた。義足に注意を取られて解らなかったが、整った顔立ちをしている。
「手の甲になにかなかった」
「あった。緑のヘビの丸い輪っか。」
御厨が身体をのりだしてきた。
「いいだろう。彼らの話と依頼の内容を説明しよう。だが、これは警察には絶対に離さないこと。ここにいるぼくたち全員が危うくなるからね。」
日本一だというレイヴのオーガナイザーは、にっこりと俺にウインクした。
「レイヴというのは荒れ狂うという意味の英語だ。十年ほど前に離島やロンドンの小さなクラブで始まった時から、レイヴとドラッグは切っても切れない関係だった。赤ん坊とおしゃぶりのようなものだ。どこの国でもクスリがなければ、とたんに客は不機嫌になる。最初は圧倒的にエクスタシーとよばれるMDADが有力だった。疲れを知らずに八時間は踊れて、この世のすべての憂鬱を吹き飛ばしてくれる。失業や退屈を忘れ踊り狂う。政治的な意図も、哲学的な意味もなかった。存在のままにただ荒れ狂うのがレイヴの本質なんだ。だが、新型のドラッグは次第に法の網にかかるようになった。日本でもいつの間にか、覚せい剤なんかと同じ違法な精神薬の指定を受けている。」
御厨はNHKのニュース解説のように手慣れた調子で言った。
「悠君、この会場に来て何か目につかないか」
それなら誰だってわかる。
たくさんのおっぱいと思わせぶりな視線。
性的な刺激を購買欲に結び付けようと必死になる女たちのイメージだ。
「タバコとビールのポスター」
オーガナイザーはつまらなそうに笑う。
「初期のレイヴは自然発生的な若者の流行現象だった。音楽、ファッション、人との繋がり方。何の思想もないとはいえ、ちょっとした文化的な雰囲気があったんだ。何せまったく新しいものだったからね。」
御厨は遠い目をした。
きっと十年前のヨーロッパで、その運動に立ち会っていたのだろう。
「だが、この数年はどこの国でも商業主義がレイヴに流入するようになった。会場やPAの規模が大きくなり、客の数が比較的に伸びていく。するとオーガナイズするにも、大変な費用がかかるようになる。そこに目を付けたのが、広告の出稿を押さえられているタバコとアルコールの会社だった。集客力のあるおしゃれなコンサートだとでも思っているのだろう。」
どこが違うんだとつっこみそうになって、俺は口を閉じた。
「今夜のレイヴは、ぼくたちにとってコマーシャルレイヴにすぎない。利益を出すためのね。何をするにもお金がかかる以上、できるだけ上質なエンターティメントを提供して客や資本家から金を受け取るのは悪いことじゃない。君はあまり気にいっては無いそうだが、本物のレイヴはこんなものじゃない。そのうちへヴンが本気でオーガナイズするシークレットライブに招待するよ。楽しみにしていてくれ。」
俺はどーでもよかったがうなずいていった。
「あんたたちの仕事は分かった。それとウロボロスとかいうドラッグディラーと何の関係があるんだ。」
御厨はまったく焦ってなかった。テーブルの上のアイスチャイをひとくち飲む。
「夜は長いゆっくり話そう。ウロボロスのまえに、へヴンのメンバーが考えるドラッグについてのモラルを君に伝えておかなくてはならない。」