ー特別編ーWORLD・THE・Link【前】
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幕張のおしゃれなレイヴより、ホームレスと酔っぱらいでいっぱいの西口公園のほうが俺にはずっとお似合いだ。
窓付きTシャツが俺を指さして叫んだ。
「この人、なんかへん。怖い顔して踊ってる。」
俺は女たちに歯をむき出してわらってやり、背中を向けて黙々と踊った。
タカシが俺に見せたいものはこんなものだったのだろうか。
ハイになった何千という客の中で、俺は自分にだけわかる幻滅のダンスを踊っていた。
インダスストリー系のノイズミュージックが終わると、聞き覚えのあるメロディが流れだした。
シューベルトの十四番カルテット。
そいつは『死と乙女』というすごいタイトルの付いた第四楽章プレスとだった。
速度記号を間違ったとしか思えないでたらめな速力で弾き切られている。
四つの弦楽器の背後にはシンセベースとシンセドラムで作られた単純なループが延々と流れていた。
まじかに迫った死神など蹴り飛ばし、全速力で走りだす女がなぜか俺の頭に浮かんだ。
どこのだれが作っているか分からないが、そいつはなかなか洒落ていた。
エディが飲んでたミネラルウォーターをさらって、喉を鳴らして一息に飲む。
十二時をだいぶ過ぎてから、俺の携帯が軍パンの尻ポケットでうなりだした。
片方の耳をふさいで叫ぶ。
「悠だ。」
圧倒的なPAの騒音にまぎれて、キングの声は針のように細く冷たい。
『どうだ、レイヴは気に入ったか』
ノーと叫んだ。
笑い声が聞こえたかと思うが、よくわからない。
俺は携帯を耳に当てて、踊りの群れから離れていった。
タカシの声はダンスホールの熱狂からもっとも遠いものだ。
『そろそろ仕事の話をしよう。楽屋に来てくれ。コンファレンスルームDという一番でかい部屋だ。』
「わかった」
あっそうだ、とタカシがいった。
『お前が連れてる黒人のハーフのガキな、あれがお前の新しい女なのか』
俺はなにもいわず通話をたたき切り、重い金属の扉を蹴飛ばして開けた。
スタッフに聞いて楽屋にいった。
コンファレンスルームDは確かに広い部屋だった。
ソファの島があちこちに点々。
鏡張りの壁沿いにはペットボトルの山を乗せた横長の折りたたみ式テーブルが十メートルばかり。
すべて可動式の衝立で緩やかに仕切られている。
そこにスタッフ証を首から下げた男女がざわざわと出たり入ったりしている。
俺が中をのぞきこむと、奥の衝立の上でタカシの細い手が招いた。
「こっちだ。」
自分のベースを離れた新しい仕事。
俺はいつになく緊張とて、ゆっくりと楽屋の奥に進んでいった。
白いパーティションの向こうには黒い三人掛けのソファがみっつ、コの字形に並んでいる。
最初に目に飛び込んできたのはかすかに黄色味をおびた金属の光だった。
無表情に俺を見上げる女の足元にある。
他には俺の知らない男たちが三人、ソファに座ってくつろいでいる。
窓付きTシャツが俺を指さして叫んだ。
「この人、なんかへん。怖い顔して踊ってる。」
俺は女たちに歯をむき出してわらってやり、背中を向けて黙々と踊った。
タカシが俺に見せたいものはこんなものだったのだろうか。
ハイになった何千という客の中で、俺は自分にだけわかる幻滅のダンスを踊っていた。
インダスストリー系のノイズミュージックが終わると、聞き覚えのあるメロディが流れだした。
シューベルトの十四番カルテット。
そいつは『死と乙女』というすごいタイトルの付いた第四楽章プレスとだった。
速度記号を間違ったとしか思えないでたらめな速力で弾き切られている。
四つの弦楽器の背後にはシンセベースとシンセドラムで作られた単純なループが延々と流れていた。
まじかに迫った死神など蹴り飛ばし、全速力で走りだす女がなぜか俺の頭に浮かんだ。
どこのだれが作っているか分からないが、そいつはなかなか洒落ていた。
エディが飲んでたミネラルウォーターをさらって、喉を鳴らして一息に飲む。
十二時をだいぶ過ぎてから、俺の携帯が軍パンの尻ポケットでうなりだした。
片方の耳をふさいで叫ぶ。
「悠だ。」
圧倒的なPAの騒音にまぎれて、キングの声は針のように細く冷たい。
『どうだ、レイヴは気に入ったか』
ノーと叫んだ。
笑い声が聞こえたかと思うが、よくわからない。
俺は携帯を耳に当てて、踊りの群れから離れていった。
タカシの声はダンスホールの熱狂からもっとも遠いものだ。
『そろそろ仕事の話をしよう。楽屋に来てくれ。コンファレンスルームDという一番でかい部屋だ。』
「わかった」
あっそうだ、とタカシがいった。
『お前が連れてる黒人のハーフのガキな、あれがお前の新しい女なのか』
俺はなにもいわず通話をたたき切り、重い金属の扉を蹴飛ばして開けた。
スタッフに聞いて楽屋にいった。
コンファレンスルームDは確かに広い部屋だった。
ソファの島があちこちに点々。
鏡張りの壁沿いにはペットボトルの山を乗せた横長の折りたたみ式テーブルが十メートルばかり。
すべて可動式の衝立で緩やかに仕切られている。
そこにスタッフ証を首から下げた男女がざわざわと出たり入ったりしている。
俺が中をのぞきこむと、奥の衝立の上でタカシの細い手が招いた。
「こっちだ。」
自分のベースを離れた新しい仕事。
俺はいつになく緊張とて、ゆっくりと楽屋の奥に進んでいった。
白いパーティションの向こうには黒い三人掛けのソファがみっつ、コの字形に並んでいる。
最初に目に飛び込んできたのはかすかに黄色味をおびた金属の光だった。
無表情に俺を見上げる女の足元にある。
他には俺の知らない男たちが三人、ソファに座ってくつろいでいる。