ー特別編ーWORLD・THE・Link【前】
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真夜中のすこしまえ、おれはエディにひと声かけて便所に行った。
真っ白なタイル張りで無菌の実験室を思わせる便所だった。
床にレジャーシートを敷いてサンドイッチだって食えそう。
地鳴りのようなバスドラムを遠くに聞きながら用をたすと、洗面台で顔を洗った。
真夜中二十分も踊れば誰だって汗だくになる。
ハンドタオルで顔を拭いていると俺の横に男が立った。
男は辺りに人がいないのを確認している。
ベルボトムのジーンズに黒革のヴェスト。
波打つ黒が見はうしろで束ねていた。
「ハイ、ブラザー、いいものいらないか」
鏡の中で俺の目をじっと見つめている。
ハードゲイのボーイハントだろうか。
「いいものってなに」
男は右手でヴェストの片側を開いた。
駄菓子屋のくじの景品のようだ
小さいビニール袋がヴェストの裏にたくさん下がっていた。
男はエディと同じ瞳孔の開いた目をしていう。
「ピンクのロレックス、青いドルフィン、オレンジのインド人、黄色いお化け、白の666…もちろん金があるなら、取って置きのグリーンもある。」
俺にはちんぷんかんぷんだった。
反射的に聞いてみる。
「緑ってなんだ」
男の乳首には長さ三センチほどの胸毛が何本か生えていた。
おかしなところばかり記憶に残るものだ。
「知ってるだろ。スネークバイトさ」
俺はそんな物知らなかった。
何と答えようか迷っていると、奥の個室の扉がいきなり開いた。
蝶つがいが外れるんじゃないかという激しい衝撃音。
鏡の中で俺たちはそろって便所の奥を見た。
男がふたり無表情にこちらにやってくる。
光る素材の黒いTシャツに、赤いペンキ跡が飛び散ったジーンズ。
小山のような男と鞭のような男だった。
鞭のほうが売人にいった。
「スネークバイトがあるそうだな。見せてみろ。」
なめし皮のような手のひらをさしだす。
手の甲には緑のヘビが自分の尻尾をくわえているタトゥーが見えた。
売人が震えだす。
小山のような男は意外な素早さで出入り口のドアをふさいだ。
胸のまえで腕を組む。
確かにあれは豚もも肉のハムでなく腕だったと思う。
こいつの手の甲にも緑いろのヘビ。
大きさは三十パーセントアップというところだろうか。
鞭のほうは若いころのジャクソン5みたいなカーリーヘアだった。
目じりに深い笑いしわを集めて、左手でダラダラと汗を流す売人の頬をなでている。
「お前が何を売っても、おれたちはかまわない。だがな、嘘をついてスネークバイトのガセだけは売るな。おれたちの企業努力と誠実さに傷がつくからな。売人は客をがっかりさせないものだろう」
長髪の売人は目に見えて震えながら、ゆっくりとうなずいた。
鞭は甘く優しい声を出した。
「そうか、いい子だ。わかればいいんだ。」
次の瞬間、ジーンズの尻ポケットを探っていた右手が風を切って飛んだ。
両手で売人の頬を挟んでるように見える。
真っ白なタイル張りで無菌の実験室を思わせる便所だった。
床にレジャーシートを敷いてサンドイッチだって食えそう。
地鳴りのようなバスドラムを遠くに聞きながら用をたすと、洗面台で顔を洗った。
真夜中二十分も踊れば誰だって汗だくになる。
ハンドタオルで顔を拭いていると俺の横に男が立った。
男は辺りに人がいないのを確認している。
ベルボトムのジーンズに黒革のヴェスト。
波打つ黒が見はうしろで束ねていた。
「ハイ、ブラザー、いいものいらないか」
鏡の中で俺の目をじっと見つめている。
ハードゲイのボーイハントだろうか。
「いいものってなに」
男は右手でヴェストの片側を開いた。
駄菓子屋のくじの景品のようだ
小さいビニール袋がヴェストの裏にたくさん下がっていた。
男はエディと同じ瞳孔の開いた目をしていう。
「ピンクのロレックス、青いドルフィン、オレンジのインド人、黄色いお化け、白の666…もちろん金があるなら、取って置きのグリーンもある。」
俺にはちんぷんかんぷんだった。
反射的に聞いてみる。
「緑ってなんだ」
男の乳首には長さ三センチほどの胸毛が何本か生えていた。
おかしなところばかり記憶に残るものだ。
「知ってるだろ。スネークバイトさ」
俺はそんな物知らなかった。
何と答えようか迷っていると、奥の個室の扉がいきなり開いた。
蝶つがいが外れるんじゃないかという激しい衝撃音。
鏡の中で俺たちはそろって便所の奥を見た。
男がふたり無表情にこちらにやってくる。
光る素材の黒いTシャツに、赤いペンキ跡が飛び散ったジーンズ。
小山のような男と鞭のような男だった。
鞭のほうが売人にいった。
「スネークバイトがあるそうだな。見せてみろ。」
なめし皮のような手のひらをさしだす。
手の甲には緑のヘビが自分の尻尾をくわえているタトゥーが見えた。
売人が震えだす。
小山のような男は意外な素早さで出入り口のドアをふさいだ。
胸のまえで腕を組む。
確かにあれは豚もも肉のハムでなく腕だったと思う。
こいつの手の甲にも緑いろのヘビ。
大きさは三十パーセントアップというところだろうか。
鞭のほうは若いころのジャクソン5みたいなカーリーヘアだった。
目じりに深い笑いしわを集めて、左手でダラダラと汗を流す売人の頬をなでている。
「お前が何を売っても、おれたちはかまわない。だがな、嘘をついてスネークバイトのガセだけは売るな。おれたちの企業努力と誠実さに傷がつくからな。売人は客をがっかりさせないものだろう」
長髪の売人は目に見えて震えながら、ゆっくりとうなずいた。
鞭は甘く優しい声を出した。
「そうか、いい子だ。わかればいいんだ。」
次の瞬間、ジーンズの尻ポケットを探っていた右手が風を切って飛んだ。
両手で売人の頬を挟んでるように見える。