ー特別編ーWORLD・THE・Link【前】
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
夜の電車の窓に張り付くエディの背中にいった。
「なんでいつもドラッグやってるんだ。」
「それはやっぱ単純にきもちいいから。でもさ……」
エディは天然パーマの短髪をかく。
背後の窓にコンビナートのパイプラインが輝くように流れていった。
「……オヤジのことがあるかもね。おふくろや俺を棄ててステーツに帰って、今じゃ音信不通だもん。うちは貧乏でたいへんだったしさ、世界が変わらないなら、自分のほうが変えるしかないじゃん。クスリは一発で簡単に自分が変わるから」
「そうか」
そういわれると返す言葉がない。
うちもオヤジとは良い関係じゃないし…。
海浜幕張駅で電車をおりる。SF映画に出てくるターミナルみたいな駅。
殺人アンドロイドと刑事の派手な追いかけっこにぴったり。
改札をでるとこれまたセットみたいなビルが並んでいる。
建物の間にはたっぷりと青黒い夜空が広がり、熱帯夜の風が吹き抜ける。
バブル崩壊で砕けた都市計画の夢の跡だ。
俺たちは人の流れにのって、遊園地の園路のような歩道を幕張メッセに歩いていった。
「チケットあるよー、いいチケットあるよー」
原色のブルゾンに太い金鎖をしただふ屋的な格好のだふ屋が、潰れた声を低くかけてくる。
エディがいった。
「でもラッキーだったな。今夜のレイヴはオーガナイザーがヘヴンの御厨(みくりや)ソウメイだし、トワコもでるし」
俺はだふ屋を無視していった。
「ヘヴンってなに」
「この五、六年日本各地で大規模なレイヴを成功させてる組織だよ。御厨ソウメイはその代表。悠さんだって今は平気な顔をしてるけど、会場にはいったらブッ飛んじゃうよ。ヘヴンのレイヴはいつもかっこいいから。」
物理的にはブッ飛ぶのもブッ飛ばすのも 慣れてる。
そんなもんかなと俺はいった。
だふ屋にも縄張りがキチンと決まっているようだった。
街灯ごとに規則正しく立ち、通りすぎるガキに声をかけていく。
幕張メッセに近づくと、だんだんと他の客の姿が多くなっていった。
ジーンズにTシャツといった普通の格好、透ける素材のインド綿のスモックやワンピース、なかにはほとんど水着って女や男もいる。
だんだんと空気が軽くなって、あたりは夏祭りの境内にむかう参道のようになってきた。
なんだか俺の気分までハイになってくる。
わびしい男のふたり連れにだって、今夜いい出会いが生まれる可能性が絶対にないとはいえない。
俺はエディにいった。
「お前ってナンパ得意か」
「やめてくださいよ、悠さん。おれ、人を引っかけるのが仕事ですよ。得意に決まってるじゃないですか」
心のなかでガッツポーズ。
こいつを連れてきてよかった。
間抜けな俺はそのとき心からおれを振ってくれた女たちに感謝した。
「なんでいつもドラッグやってるんだ。」
「それはやっぱ単純にきもちいいから。でもさ……」
エディは天然パーマの短髪をかく。
背後の窓にコンビナートのパイプラインが輝くように流れていった。
「……オヤジのことがあるかもね。おふくろや俺を棄ててステーツに帰って、今じゃ音信不通だもん。うちは貧乏でたいへんだったしさ、世界が変わらないなら、自分のほうが変えるしかないじゃん。クスリは一発で簡単に自分が変わるから」
「そうか」
そういわれると返す言葉がない。
うちもオヤジとは良い関係じゃないし…。
海浜幕張駅で電車をおりる。SF映画に出てくるターミナルみたいな駅。
殺人アンドロイドと刑事の派手な追いかけっこにぴったり。
改札をでるとこれまたセットみたいなビルが並んでいる。
建物の間にはたっぷりと青黒い夜空が広がり、熱帯夜の風が吹き抜ける。
バブル崩壊で砕けた都市計画の夢の跡だ。
俺たちは人の流れにのって、遊園地の園路のような歩道を幕張メッセに歩いていった。
「チケットあるよー、いいチケットあるよー」
原色のブルゾンに太い金鎖をしただふ屋的な格好のだふ屋が、潰れた声を低くかけてくる。
エディがいった。
「でもラッキーだったな。今夜のレイヴはオーガナイザーがヘヴンの御厨(みくりや)ソウメイだし、トワコもでるし」
俺はだふ屋を無視していった。
「ヘヴンってなに」
「この五、六年日本各地で大規模なレイヴを成功させてる組織だよ。御厨ソウメイはその代表。悠さんだって今は平気な顔をしてるけど、会場にはいったらブッ飛んじゃうよ。ヘヴンのレイヴはいつもかっこいいから。」
物理的にはブッ飛ぶのもブッ飛ばすのも 慣れてる。
そんなもんかなと俺はいった。
だふ屋にも縄張りがキチンと決まっているようだった。
街灯ごとに規則正しく立ち、通りすぎるガキに声をかけていく。
幕張メッセに近づくと、だんだんと他の客の姿が多くなっていった。
ジーンズにTシャツといった普通の格好、透ける素材のインド綿のスモックやワンピース、なかにはほとんど水着って女や男もいる。
だんだんと空気が軽くなって、あたりは夏祭りの境内にむかう参道のようになってきた。
なんだか俺の気分までハイになってくる。
わびしい男のふたり連れにだって、今夜いい出会いが生まれる可能性が絶対にないとはいえない。
俺はエディにいった。
「お前ってナンパ得意か」
「やめてくださいよ、悠さん。おれ、人を引っかけるのが仕事ですよ。得意に決まってるじゃないですか」
心のなかでガッツポーズ。
こいつを連れてきてよかった。
間抜けな俺はそのとき心からおれを振ってくれた女たちに感謝した。