ー特別編ーWORLD・THE・Link【前】
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反応はさまざまだった。
タカシはよくやったがリッカなら当然だといい。
悠君からは拳二さんからの伝達で一ノ瀬組みに入れといわれた。
佐伯は警察官の採用試験を受けろといった。
やくざと警察のいいことは近いから、やっぱりよく似た組織なのかもしれない。
さすがに危機感をもった地元の商店会の反応は早かった。
その日の午後には『王宮の花火の音楽』を流している店先に連絡がはいった。
グラフィティが残されていて、まだ火をつけられていない店が、池袋西口にあと三軒。
池袋一丁目のイタリアン、プリモと池袋二丁目の赤札堂裏の輸入レコード屋、ソウルキッチン。
それに西池袋二丁目のバー、ナイトフライト。
あたしは店先に宅配業者がつかう白地図を広げて、三ヵ所にピンクのラインマーカー印をつけた。
つぎに燃えあがるのは、どの店かしら。
それからS・ウルフの四班をどうやったら、効率的に動かせるか考えた。
このみっつのポイントには十分とあけずに、誰かの視線がふれている必要がある。
めったに真剣に頭を使うことのないあたしは、その日の夜までにくたくたになってしまった。
考えることは、なによりきつい重労働なのよね…あたしの場合。
つぎの夜明けから、重点ポイントを周回する新しいパトロールが始まった。
だけど、こういうときほど、なかなか獲物はかからないものね。
すぐそこに見えている魚がつれないのと同じ。
あたしとS・ウルフは朝方のパトロールを続けたけど、空振りばかり。
しかもあたしは、そのあとでさらにユウキとも街歩きをしたので、五日目には体力自慢のあたしも限界に達していた。
もちろん、シスターのバイトに店の仕事に学校だってあるしね。
いつもなら、ひとつのヤマの間は同じ曲を聞いてることが多いのだけど、さすがに『王宮の花火の音楽』は飽きてしまった。
曲も短いし。そこで同じヘンデルの『オルガン協奏曲』と『合奏協奏曲』を交互にきいた。
バッハに隠れているけど、ヘンデルも頑固オヤジという感じでなかなかいいよ。
コンチェルトのほうは、昔のオルガンロックみたいで、のりのりにドラマチックだったりするしね。
曲にあわせてあたしもギターをかき鳴らす。
これもひとつの合奏協奏よね?
それからの数日、あたしは早朝のパトロールと散歩、そして午後の店番とほとんどの時間を、ユウキと二人ですごした。
ねぇ、アナタは花が咲くのをコマ落としで撮影したドキュメンタリーを見たことがあるかしら。
しわくちゃだった花びらが、ふっくらと伸びて、空にむかって開き、大輪の花を咲かせるところ。
あたしがユウキと過ごした数日は、あのフィルムのようだった。
ひとりの子供が自分の中から、なにかを咲かせようとしている時間。
それは素晴らしい夏の数日よね。
タカシはよくやったがリッカなら当然だといい。
悠君からは拳二さんからの伝達で一ノ瀬組みに入れといわれた。
佐伯は警察官の採用試験を受けろといった。
やくざと警察のいいことは近いから、やっぱりよく似た組織なのかもしれない。
さすがに危機感をもった地元の商店会の反応は早かった。
その日の午後には『王宮の花火の音楽』を流している店先に連絡がはいった。
グラフィティが残されていて、まだ火をつけられていない店が、池袋西口にあと三軒。
池袋一丁目のイタリアン、プリモと池袋二丁目の赤札堂裏の輸入レコード屋、ソウルキッチン。
それに西池袋二丁目のバー、ナイトフライト。
あたしは店先に宅配業者がつかう白地図を広げて、三ヵ所にピンクのラインマーカー印をつけた。
つぎに燃えあがるのは、どの店かしら。
それからS・ウルフの四班をどうやったら、効率的に動かせるか考えた。
このみっつのポイントには十分とあけずに、誰かの視線がふれている必要がある。
めったに真剣に頭を使うことのないあたしは、その日の夜までにくたくたになってしまった。
考えることは、なによりきつい重労働なのよね…あたしの場合。
つぎの夜明けから、重点ポイントを周回する新しいパトロールが始まった。
だけど、こういうときほど、なかなか獲物はかからないものね。
すぐそこに見えている魚がつれないのと同じ。
あたしとS・ウルフは朝方のパトロールを続けたけど、空振りばかり。
しかもあたしは、そのあとでさらにユウキとも街歩きをしたので、五日目には体力自慢のあたしも限界に達していた。
もちろん、シスターのバイトに店の仕事に学校だってあるしね。
いつもなら、ひとつのヤマの間は同じ曲を聞いてることが多いのだけど、さすがに『王宮の花火の音楽』は飽きてしまった。
曲も短いし。そこで同じヘンデルの『オルガン協奏曲』と『合奏協奏曲』を交互にきいた。
バッハに隠れているけど、ヘンデルも頑固オヤジという感じでなかなかいいよ。
コンチェルトのほうは、昔のオルガンロックみたいで、のりのりにドラマチックだったりするしね。
曲にあわせてあたしもギターをかき鳴らす。
これもひとつの合奏協奏よね?
それからの数日、あたしは早朝のパトロールと散歩、そして午後の店番とほとんどの時間を、ユウキと二人ですごした。
ねぇ、アナタは花が咲くのをコマ落としで撮影したドキュメンタリーを見たことがあるかしら。
しわくちゃだった花びらが、ふっくらと伸びて、空にむかって開き、大輪の花を咲かせるところ。
あたしがユウキと過ごした数日は、あのフィルムのようだった。
ひとりの子供が自分の中から、なにかを咲かせようとしている時間。
それは素晴らしい夏の数日よね。