ー特別編ーWORLD・THE・Link【前】
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ユウキといっしょに一年で二回か三回しか口にしないビックマックを食べていると、携帯が鳴った。
『俺だ。営業時間を流すぞ。むかしむかしは正午から夜十時まで。アドレナリンは午後六時から明け方三時まで。まあ、ここは酒をだす店だから、客のいるあいだは朝まで営業していたようだ。スカンジナビアンは午前十時から午後十時まで。こんなものでいいか』
「ありがとうございます。なにかわかったら、電話する」
『おい、リッカ……』
王様と話してる途中でガチャ切りするのは、いつだって胸がすくもね。
あっ!……悠君の文句言うの忘れてたわ…。
あたしは紙ナプキンにあのグラフィティの暗号と、店の閉店時間をならべて書いた。
ほとんど一時間ほどのずれで、きれいに時間は一致する。
「この連続放火犯は、まだ怪我人をひとりもだしていない。ちゃんと従業員や客がいない時間を確かめてから、火をつけてるみたいね。」
ユウキはちいさい声でいった。
「それに自分が目撃されるのも、防げてるし」
「そうね。きっとこのグラフィティのRは留守で誰もいないと言う意味のRね。数字はその時間帯。やつは慎重に現場を調べてから、火をつけている」
ユウキは目を輝かせて、ナプキンを見ていた。
あたしはやつの頭をくしゃくしゃに撫でていった。
「ユウキのお手柄よ。よくあのグラフィティに気づいたね。」
やつはマックのスツールのうえでちいさくなった。
「前からわかっていたんです。現場には何回も足を運んだよ。最初にあの暗号を見つけたのは、エル・スールっていう喫茶店の看板の隅だった」
そいつはまだあたしが見ていない店だった。
「じゃあ、朝方に家をでていたのは、放火犯を見つけるため?」
ユウキはうなずいて、ぼそぼそとビックマックをかじった。
「アナタの親父さん、ひどく心配していたよ。まさか、そんなことはないと信じてはいたけど。こっそり家をでるアナタの姿を見ていたのよ。」
十三歳の少年はうつむいたままいった。
「でも、本当の犯人なんか見つけられるはずもないのに、パトロールにいくなんていえないよ。それに僕だって、ちょっとまえに同じことしてしまったし。」
にぎやかな朝のマックで涙ぐんでいる。
「泣かないの。男の子でしょ。あたしは泣くのは一回の事件に一度と決めてるんだからね。でも、アナタのおかげで、なにを追えばいいのかはっきりした。大進歩ね。」
あたしは携帯を抜いた。
関係者全員に情報を流すのだ。
みをな、朝からてんてこ舞いになることね。
あたしは人を騒がすのが大好きだった。
電話の順番は、タカシ、悠(から、拳二さん)、佐伯、卯天君だった。
池袋の商店会には、佐伯から話してもらえばいいよね。
あたしが伝えたのはせいぜい三十くらいまでの若い男であること。
綿密に下見をしていて、店の開店状況や人の出入りに詳しいこと。
必ず黒のスプレーのグラフィティが残されていること。
だから、逆に落書きがあって、まだ放火されていない店が一番危険なこと。
『俺だ。営業時間を流すぞ。むかしむかしは正午から夜十時まで。アドレナリンは午後六時から明け方三時まで。まあ、ここは酒をだす店だから、客のいるあいだは朝まで営業していたようだ。スカンジナビアンは午前十時から午後十時まで。こんなものでいいか』
「ありがとうございます。なにかわかったら、電話する」
『おい、リッカ……』
王様と話してる途中でガチャ切りするのは、いつだって胸がすくもね。
あっ!……悠君の文句言うの忘れてたわ…。
あたしは紙ナプキンにあのグラフィティの暗号と、店の閉店時間をならべて書いた。
ほとんど一時間ほどのずれで、きれいに時間は一致する。
「この連続放火犯は、まだ怪我人をひとりもだしていない。ちゃんと従業員や客がいない時間を確かめてから、火をつけてるみたいね。」
ユウキはちいさい声でいった。
「それに自分が目撃されるのも、防げてるし」
「そうね。きっとこのグラフィティのRは留守で誰もいないと言う意味のRね。数字はその時間帯。やつは慎重に現場を調べてから、火をつけている」
ユウキは目を輝かせて、ナプキンを見ていた。
あたしはやつの頭をくしゃくしゃに撫でていった。
「ユウキのお手柄よ。よくあのグラフィティに気づいたね。」
やつはマックのスツールのうえでちいさくなった。
「前からわかっていたんです。現場には何回も足を運んだよ。最初にあの暗号を見つけたのは、エル・スールっていう喫茶店の看板の隅だった」
そいつはまだあたしが見ていない店だった。
「じゃあ、朝方に家をでていたのは、放火犯を見つけるため?」
ユウキはうなずいて、ぼそぼそとビックマックをかじった。
「アナタの親父さん、ひどく心配していたよ。まさか、そんなことはないと信じてはいたけど。こっそり家をでるアナタの姿を見ていたのよ。」
十三歳の少年はうつむいたままいった。
「でも、本当の犯人なんか見つけられるはずもないのに、パトロールにいくなんていえないよ。それに僕だって、ちょっとまえに同じことしてしまったし。」
にぎやかな朝のマックで涙ぐんでいる。
「泣かないの。男の子でしょ。あたしは泣くのは一回の事件に一度と決めてるんだからね。でも、アナタのおかげで、なにを追えばいいのかはっきりした。大進歩ね。」
あたしは携帯を抜いた。
関係者全員に情報を流すのだ。
みをな、朝からてんてこ舞いになることね。
あたしは人を騒がすのが大好きだった。
電話の順番は、タカシ、悠(から、拳二さん)、佐伯、卯天君だった。
池袋の商店会には、佐伯から話してもらえばいいよね。
あたしが伝えたのはせいぜい三十くらいまでの若い男であること。
綿密に下見をしていて、店の開店状況や人の出入りに詳しいこと。
必ず黒のスプレーのグラフィティが残されていること。
だから、逆に落書きがあって、まだ放火されていない店が一番危険なこと。