ー特別編ーWORLD・THE・Link【前】
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朝五時というのは中学生時間。
S・ウルフとあたしのパトロールは午前二時半スタートだった。
十一時から二時過ぎまでは、商店会の有志のパトロールがある。
ひと休みして、S・ウルフのパトロールが始まるのだ。あたしは事前に池袋署生活安全課の佐伯から、池袋駅西口連続放火事件の情報を得ていた。
これまで、ボヤが発見されたのは、十一件。うち本格的な火災になったのは四件で、ひどくて半焼。
全焼も死傷者も出ていない。どうやら犯人は火をつける店をよく観察して、怪我人のでないように放火しているらしい。
どこか良心的な放火犯ね。
火災の発生する時間は、朝方の三時から五時までの二時間に集中していた。
S・ウルフのパトロールはどんぴしゃで、その時間帯にあわせてある。
二、三人のガキのグループを四組、酔っぱらいを装って池袋の西口に放つ。
やつらはタカシの命令だし、あたしと違ってバイト代もでるから、みんな真剣だった。
手柄を立てれば、Sウルフのなかでの昇進もあるしね。まぁ、組織というのはさまざまなエサで構成員をちるものだ。
そいつはどこかの上場企業でも、ストリートギャングでも変わりはない。
初日、あたしたちは池袋駅を中心に半径七百メートルほどの半円のなかを、うろうろとパトロールした。
いくらこの街が東京でも有数の繁華街とはいえ、さすがに明け方には人出はガクンと落ちる。
何度も携帯電話でやりとりをしたけど、怪しい人間も放火の現場も、その夜には発見できなかった。
もちろん、それでいいのだ。
まだまだ先は長いのだし、あたしたちのパトロールが抑制力として働いているのは確かなのだから。
人の目を増やす。
それが最良の放火対策であることは、誰の目にも確かよね。
神経をあたりに集中させながら、ぶらぶら歩きの振りをして、自分の住む街をパトロールする。
さすがに夏でも、夜明けの空気は澄んで冷たかった。疲れはするのだけど、なかなか素敵な時間でもある。
あたしは自分のグループのS・ウルフと、池袋駅の西口で別れた。
やつらは始発で帰るという。
眠そうなガキを見送って、あたしは西口公園にむかった。
あたしの仕事はまだ半分が終わっただけ。次はS・ウルフや暴力団からの依頼ではなく、個人的な仕事。
朝五時の円形広場には、たくさんのハトとホームレスが少々。
噴水はまだとまったままで、バスのターミナルには人影も車体もない。
空っぽの都心の公園である。
そこにユウキがサマージャンパーを羽織って立っていた。
やはり苦悩する少年のブロンズ像に見える。
緊張しているユウキに声をかけた。
「おはよう。どう、眠くない」
ユウキは首を横に振った。
「いいえ、早起きはなれてるから」
なぜ慣れているかは聞かなかった。朝の公園の空気を深呼吸していう。
「さて、いこうか。」
「どこに、いくんですか」
それなら、直前のパトロールで目星をつけてあった。
「ついてきて」
あたしは円形広場の石畳をハトの群れを左右に分けながら歩いていった。
S・ウルフとあたしのパトロールは午前二時半スタートだった。
十一時から二時過ぎまでは、商店会の有志のパトロールがある。
ひと休みして、S・ウルフのパトロールが始まるのだ。あたしは事前に池袋署生活安全課の佐伯から、池袋駅西口連続放火事件の情報を得ていた。
これまで、ボヤが発見されたのは、十一件。うち本格的な火災になったのは四件で、ひどくて半焼。
全焼も死傷者も出ていない。どうやら犯人は火をつける店をよく観察して、怪我人のでないように放火しているらしい。
どこか良心的な放火犯ね。
火災の発生する時間は、朝方の三時から五時までの二時間に集中していた。
S・ウルフのパトロールはどんぴしゃで、その時間帯にあわせてある。
二、三人のガキのグループを四組、酔っぱらいを装って池袋の西口に放つ。
やつらはタカシの命令だし、あたしと違ってバイト代もでるから、みんな真剣だった。
手柄を立てれば、Sウルフのなかでの昇進もあるしね。まぁ、組織というのはさまざまなエサで構成員をちるものだ。
そいつはどこかの上場企業でも、ストリートギャングでも変わりはない。
初日、あたしたちは池袋駅を中心に半径七百メートルほどの半円のなかを、うろうろとパトロールした。
いくらこの街が東京でも有数の繁華街とはいえ、さすがに明け方には人出はガクンと落ちる。
何度も携帯電話でやりとりをしたけど、怪しい人間も放火の現場も、その夜には発見できなかった。
もちろん、それでいいのだ。
まだまだ先は長いのだし、あたしたちのパトロールが抑制力として働いているのは確かなのだから。
人の目を増やす。
それが最良の放火対策であることは、誰の目にも確かよね。
神経をあたりに集中させながら、ぶらぶら歩きの振りをして、自分の住む街をパトロールする。
さすがに夏でも、夜明けの空気は澄んで冷たかった。疲れはするのだけど、なかなか素敵な時間でもある。
あたしは自分のグループのS・ウルフと、池袋駅の西口で別れた。
やつらは始発で帰るという。
眠そうなガキを見送って、あたしは西口公園にむかった。
あたしの仕事はまだ半分が終わっただけ。次はS・ウルフや暴力団からの依頼ではなく、個人的な仕事。
朝五時の円形広場には、たくさんのハトとホームレスが少々。
噴水はまだとまったままで、バスのターミナルには人影も車体もない。
空っぽの都心の公園である。
そこにユウキがサマージャンパーを羽織って立っていた。
やはり苦悩する少年のブロンズ像に見える。
緊張しているユウキに声をかけた。
「おはよう。どう、眠くない」
ユウキは首を横に振った。
「いいえ、早起きはなれてるから」
なぜ慣れているかは聞かなかった。朝の公園の空気を深呼吸していう。
「さて、いこうか。」
「どこに、いくんですか」
それなら、直前のパトロールで目星をつけてあった。
「ついてきて」
あたしは円形広場の石畳をハトの群れを左右に分けながら歩いていった。