ー特別編ーWORLD・THE・Link【前】
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かげろうが立つ亜熱帯の東京。
やつはうちの店の前に立つと、直立不動で頭をさげた。
「今日からよろしくお願いします。でも、リッカさんがうちの親を知っているなんて、びっくりしました」
両親にあったのは一度きりとは言わなかった。
勝手にあれこれ考えさせておくことにしよう。
「そこは暑いでしょ。こっちにきなよ。」
ユウキは身体と同じか細い声でいう。
「あの、ぼくはなにをしたらいいでしょうか。」
あたしにはニートも不登校も引きもりも、よく解らなかった。
皆、あまりに細かく、くすぶったガキを分類しすぎなのよね。
なにかを学ぶ、そうじゃなかったら、身体を動かして働く。
あるいは、その両方をやる。
ぐだぐた考えるより、そっちのほうが早いとあたしなんかは単純に思う。
リンゴを指差していった。
「そこにあるリンゴを皿のうえに四つずつ、乗せて。そのあとは店のまえの掃き掃除。難しいことは考えなくてよし。休まずに働いて」
自分でいってから、納得した。
それはあたしの捜査方針とまったく同じだったのである。
休みなく働いて一時間半。汗をかいたユウキは頬を軽く上気させていた。
健康的な中学生らしくなる。
途中、唯君達が店によったが接客はあたしが引き受け、ユウキには店の雑用をつぎつぎと命じた。
「はい、パイナップル串3つね。」
「ありがとうございます。リッカさんあの…」
彩香ちゃんがパイナップル串を受け取りながらチラッとユウキを見た。
「うん。ちょっと働いてもらってる。」
あたしは深くは説明しなかった。
優花がいう。
「こきつかってやればいいんじゃないか。少しはしゃっきりするだろ。」
そのとうりだ。
あたしはニコニコと笑って優花の頭を撫でた。
「撫でるなやめろ!」
ピシッと払われた。
それを見て唯君と彩香が大笑いした。
三人はそのまま談笑しながら帰っていく背中を見送り、ユウキを見た。
素直に働くところをみると、芯からねじれた性格ではなさそうだ。
ユウキの働き振りをじっと観察していた母がいった。
「アンタ、よくやってくれたね。少し休みなよ。そこのメロンでも食ってさ。」
そこで、あたしとユウキは水打ちした店のまえの歩道に立って、よく冷えたマスクメロンの串にかぶりついた。
口のなかにいれると、そのまますぐにメロンジュースに変わるほどやわらかな果肉。
命をそのまま身体に取り込んでいる感じがする。
言うまでもないことをあたしはいった。
「う~ん…美味いね、こいつ」
「……はい……」
それ以上、返事がもどってこない。
そっとやつの横顔を見ると、目が真っ赤になっていた。
「どしたの?」
肩を震わせて、ユウキがいった。
「あの事件があってから、ぼくを普通にあつかってくれる人はいなかった…」
なにも言うことはなかった。
あたしは串を口にくわえたまま、ユウキの頭を撫でた。
あたしたちはいつもなにかを人にやったり、もらったりして生きている。
「あ、…あの…明日も…明日もここにきていいですか?」
「いいよ。あたしが楽できるからね。」
あたしたちは笑って、二本目のメロンに食いついた。
やつはうちの店の前に立つと、直立不動で頭をさげた。
「今日からよろしくお願いします。でも、リッカさんがうちの親を知っているなんて、びっくりしました」
両親にあったのは一度きりとは言わなかった。
勝手にあれこれ考えさせておくことにしよう。
「そこは暑いでしょ。こっちにきなよ。」
ユウキは身体と同じか細い声でいう。
「あの、ぼくはなにをしたらいいでしょうか。」
あたしにはニートも不登校も引きもりも、よく解らなかった。
皆、あまりに細かく、くすぶったガキを分類しすぎなのよね。
なにかを学ぶ、そうじゃなかったら、身体を動かして働く。
あるいは、その両方をやる。
ぐだぐた考えるより、そっちのほうが早いとあたしなんかは単純に思う。
リンゴを指差していった。
「そこにあるリンゴを皿のうえに四つずつ、乗せて。そのあとは店のまえの掃き掃除。難しいことは考えなくてよし。休まずに働いて」
自分でいってから、納得した。
それはあたしの捜査方針とまったく同じだったのである。
休みなく働いて一時間半。汗をかいたユウキは頬を軽く上気させていた。
健康的な中学生らしくなる。
途中、唯君達が店によったが接客はあたしが引き受け、ユウキには店の雑用をつぎつぎと命じた。
「はい、パイナップル串3つね。」
「ありがとうございます。リッカさんあの…」
彩香ちゃんがパイナップル串を受け取りながらチラッとユウキを見た。
「うん。ちょっと働いてもらってる。」
あたしは深くは説明しなかった。
優花がいう。
「こきつかってやればいいんじゃないか。少しはしゃっきりするだろ。」
そのとうりだ。
あたしはニコニコと笑って優花の頭を撫でた。
「撫でるなやめろ!」
ピシッと払われた。
それを見て唯君と彩香が大笑いした。
三人はそのまま談笑しながら帰っていく背中を見送り、ユウキを見た。
素直に働くところをみると、芯からねじれた性格ではなさそうだ。
ユウキの働き振りをじっと観察していた母がいった。
「アンタ、よくやってくれたね。少し休みなよ。そこのメロンでも食ってさ。」
そこで、あたしとユウキは水打ちした店のまえの歩道に立って、よく冷えたマスクメロンの串にかぶりついた。
口のなかにいれると、そのまますぐにメロンジュースに変わるほどやわらかな果肉。
命をそのまま身体に取り込んでいる感じがする。
言うまでもないことをあたしはいった。
「う~ん…美味いね、こいつ」
「……はい……」
それ以上、返事がもどってこない。
そっとやつの横顔を見ると、目が真っ赤になっていた。
「どしたの?」
肩を震わせて、ユウキがいった。
「あの事件があってから、ぼくを普通にあつかってくれる人はいなかった…」
なにも言うことはなかった。
あたしは串を口にくわえたまま、ユウキの頭を撫でた。
あたしたちはいつもなにかを人にやったり、もらったりして生きている。
「あ、…あの…明日も…明日もここにきていいですか?」
「いいよ。あたしが楽できるからね。」
あたしたちは笑って、二本目のメロンに食いついた。