ー特別編ーWORLD・THE・Link【前】
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「じゃあ、適当でいいね。」
あたしにタカシは鼻で笑っていった。
「外から見てあからさまにわかるような手抜きはするな。誰が金をだしているのか、よく考えたほうがいい。あいつらが身銭を切るというのは、それだけの見返りを求めることだ。うちのチームは自由に使っていいから、それなりの手は打つんだぞ。」
確かにそのとおり。
この街に生きて、あの手の組織から睨まれるのは、ひどく厄介だ。
「りょーかい。」
「はぁ…また、面倒な仕事よね。」
あたしは悠君を見た。諦めろと首をふる。
キングはなんでもないと言う顔で、窓の外を走りすぎる池袋駅前の街並みを眺めている。
「それから、リッカは最近おもしろいガキと知り合いになっただろ」
あきれた。ユウキのことをすでに感づいているらしい。S・ウルフ恐るべし…
「なんで、知ってるの。」
「今現在、池袋の要注意人物は三名。小鳥遊悠、氷室薫、宗方六花。特にうちのメンバーの間では悠とお前は監視対象の二人だ。」
「おいおい、プライベート筒抜けかよ。これじゃあ、俺がモテモテなのがバレちゃうな。」
悠君がケラケラと笑うとタカシは冷たくいった。
「安心しろ。二人ともデートは一度も目撃されていないから、お前らには女も男もいない。本屋とCDショップばかり通っても、いいことないぞ。」
やっぱり、このポルシェに落書きする事を決めた。
なんなら、あたしのサインを残してあげてもいい。
それくらいしても、タカシがあたしに請求書をまわすことはないでしょうし。
なにせ、あたしはこの街のモテない要注意人物だからね。
果物屋に戻って店番を始めた。
まあ、たまにトラブルはあっても、あたしの本業(多分)こちらのほう。
やはり店は落ち着く。
CDラジカセにはヘンデルの『王宮の花火の音楽』をかける。
アルバムジャケットは夜空に咲いた花火。
二百五十年ばかり昔、オーストラリア継承戦争が終結した記念にロンドンで大花火大会が開かれた。
そのときのためにつくられた威勢のいい明るい曲なの。
トランペットとホルンが九本ずつ、オーボエ二十四本に、ファゴット十二本といえば、編成の規模がわかるわよね。
あたしはぼんやりと西一番街を眺めながら考えた。
当時の音楽的な水準の高さについて。
ヘンデルやモーツァルトが式典の音楽を書いてる十八正規と、どこかのいかれたロックバンドがワールドカップ記念の安いテーマ曲をつくる時代。
あたしたちは絶えざる文化的水準の切り下げ局面を生きている。
カルチャーデフレはこの数百年間変わらぬ勢いなのだ。
だから…いずれ、あたしのが変えてみせよう。
この街と音楽文化に命を賭けて守り、歌うのはあたしの使命なのだ。
うん、適当言ってるだけなんだけどね。
などとバカな事を考えていたら、ユウキの姿がゆらめく横断歩道の向こうに見えてきた。
あたしにタカシは鼻で笑っていった。
「外から見てあからさまにわかるような手抜きはするな。誰が金をだしているのか、よく考えたほうがいい。あいつらが身銭を切るというのは、それだけの見返りを求めることだ。うちのチームは自由に使っていいから、それなりの手は打つんだぞ。」
確かにそのとおり。
この街に生きて、あの手の組織から睨まれるのは、ひどく厄介だ。
「りょーかい。」
「はぁ…また、面倒な仕事よね。」
あたしは悠君を見た。諦めろと首をふる。
キングはなんでもないと言う顔で、窓の外を走りすぎる池袋駅前の街並みを眺めている。
「それから、リッカは最近おもしろいガキと知り合いになっただろ」
あきれた。ユウキのことをすでに感づいているらしい。S・ウルフ恐るべし…
「なんで、知ってるの。」
「今現在、池袋の要注意人物は三名。小鳥遊悠、氷室薫、宗方六花。特にうちのメンバーの間では悠とお前は監視対象の二人だ。」
「おいおい、プライベート筒抜けかよ。これじゃあ、俺がモテモテなのがバレちゃうな。」
悠君がケラケラと笑うとタカシは冷たくいった。
「安心しろ。二人ともデートは一度も目撃されていないから、お前らには女も男もいない。本屋とCDショップばかり通っても、いいことないぞ。」
やっぱり、このポルシェに落書きする事を決めた。
なんなら、あたしのサインを残してあげてもいい。
それくらいしても、タカシがあたしに請求書をまわすことはないでしょうし。
なにせ、あたしはこの街のモテない要注意人物だからね。
果物屋に戻って店番を始めた。
まあ、たまにトラブルはあっても、あたしの本業(多分)こちらのほう。
やはり店は落ち着く。
CDラジカセにはヘンデルの『王宮の花火の音楽』をかける。
アルバムジャケットは夜空に咲いた花火。
二百五十年ばかり昔、オーストラリア継承戦争が終結した記念にロンドンで大花火大会が開かれた。
そのときのためにつくられた威勢のいい明るい曲なの。
トランペットとホルンが九本ずつ、オーボエ二十四本に、ファゴット十二本といえば、編成の規模がわかるわよね。
あたしはぼんやりと西一番街を眺めながら考えた。
当時の音楽的な水準の高さについて。
ヘンデルやモーツァルトが式典の音楽を書いてる十八正規と、どこかのいかれたロックバンドがワールドカップ記念の安いテーマ曲をつくる時代。
あたしたちは絶えざる文化的水準の切り下げ局面を生きている。
カルチャーデフレはこの数百年間変わらぬ勢いなのだ。
だから…いずれ、あたしのが変えてみせよう。
この街と音楽文化に命を賭けて守り、歌うのはあたしの使命なのだ。
うん、適当言ってるだけなんだけどね。
などとバカな事を考えていたら、ユウキの姿がゆらめく横断歩道の向こうに見えてきた。