ー特別編ーWORLD・THE・Link【前】
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
拳二さんがいう。
「お前たちはバカか。見かじめを取ってるんだ。なにもせずには済ませられないだろ。俺たちの方でも、何かしらの企業努力を見せないと、街のやつらが納得しない。だが、山根組さんでもうちでも人手は限られてるし、プロはコストが高い。だから、S・ウルフの崇とトラブルシューターのお前らを呼んだんだろうが」
なるほど最近のヤクザは頭が良かった。
地元住民へのPR活動をアウトソーシングしたのだ。
下請けのあたしたちは頭を低くしていった。
「なるほどね。じゃあ、犯人探しというより、なるべく目立つようにパトロールしたほうがいいのね。」
「それで俺たち売れっ子を街にうろつかせたいんだな。」
一ノ瀬はおもしろがっているようだった。
どうやら、あたしと悠君はこのビジネスマン風組長に気に入られたようね。
「もちろん威嚇行動と犯人確保の両方をやってもらってもかまわない。どちらにしても今回の依頼料は山根組さんの所とうちの折半だ。今夜から頑張ってください。」
タカシがにっこり笑って、あたしと悠君にうなずきかけてきた。
実に珍しい。
「じゃあ、会議は終了だな。悠、リッカいくぞ。」
あたしたちが帰ったあとで、まだ組織同士の会議は続くのだろう。
真っ赤な壁に黄色い短冊のメニューが張られた店を出ていこうとして、背中越しに声をかけられた。
拳二さんだ。
「悠、宗方頼んだぞ。今回、放火されたとこはみんな若いガキ向けの店ばかりなんだ。お前の出番だれ。あとで電話する。」
不思議だ。
どうして、あたしの周りにいる人間は、こうも簡単に人に面倒な仕事をふってくるのかしら。
訳がわからない。
あたしはどういうわけか、連続放火の犯人探しと容疑者の面倒をいっぺんにみることになった。
やっぱりホームズ役はもうやめよう。
だいたいあんな薄っぺらな理屈で、人の心なんかわかるはずないのよね。
あたしは謎解きが大の苦手。
常磐通りにとめてあったS・ウルフの車に乗り込んだ。メルセデスのRVは車検を通す前にポルシェのカイエンに替わっている。
ストリートギャングでも、暴力団でもいいけど、なんで組織にはこんなに金があるのかしら。
真っ黒にぬめるボディに、内装は赤みがかったブラウン。
高級ホテルにでもはいったように、革シートに座るあたしの居心地が悪くなった。
S・ウルフの王様はあっさりという。
「今回はやっつけでいい」
あたしは横にいる悠君の顔を見た。
無駄に長い髪の間からチラリと見える鼻筋の繊細さに血統の正しさを感じる。
なんで、この人はいつも貞子なんだろうか。
「S・ウルフのOBのところもやられたんだろう。そっちはいいのか。」
悠君がいうとキングは冷たく笑った。
「ダメになった服は全部火災保険でカバーがきくんだ。あの店の服が売り切れることなどないから、逆に焼け太りだな。オーナーは改装中のひと月、のんびり海外で服を買い付けるそうだ。マイアミは楽しいらしいぞ。」
そういうことか。
あたしは革のシートを撫でた。いつかここに落書きしてやる。
「お前たちはバカか。見かじめを取ってるんだ。なにもせずには済ませられないだろ。俺たちの方でも、何かしらの企業努力を見せないと、街のやつらが納得しない。だが、山根組さんでもうちでも人手は限られてるし、プロはコストが高い。だから、S・ウルフの崇とトラブルシューターのお前らを呼んだんだろうが」
なるほど最近のヤクザは頭が良かった。
地元住民へのPR活動をアウトソーシングしたのだ。
下請けのあたしたちは頭を低くしていった。
「なるほどね。じゃあ、犯人探しというより、なるべく目立つようにパトロールしたほうがいいのね。」
「それで俺たち売れっ子を街にうろつかせたいんだな。」
一ノ瀬はおもしろがっているようだった。
どうやら、あたしと悠君はこのビジネスマン風組長に気に入られたようね。
「もちろん威嚇行動と犯人確保の両方をやってもらってもかまわない。どちらにしても今回の依頼料は山根組さんの所とうちの折半だ。今夜から頑張ってください。」
タカシがにっこり笑って、あたしと悠君にうなずきかけてきた。
実に珍しい。
「じゃあ、会議は終了だな。悠、リッカいくぞ。」
あたしたちが帰ったあとで、まだ組織同士の会議は続くのだろう。
真っ赤な壁に黄色い短冊のメニューが張られた店を出ていこうとして、背中越しに声をかけられた。
拳二さんだ。
「悠、宗方頼んだぞ。今回、放火されたとこはみんな若いガキ向けの店ばかりなんだ。お前の出番だれ。あとで電話する。」
不思議だ。
どうして、あたしの周りにいる人間は、こうも簡単に人に面倒な仕事をふってくるのかしら。
訳がわからない。
あたしはどういうわけか、連続放火の犯人探しと容疑者の面倒をいっぺんにみることになった。
やっぱりホームズ役はもうやめよう。
だいたいあんな薄っぺらな理屈で、人の心なんかわかるはずないのよね。
あたしは謎解きが大の苦手。
常磐通りにとめてあったS・ウルフの車に乗り込んだ。メルセデスのRVは車検を通す前にポルシェのカイエンに替わっている。
ストリートギャングでも、暴力団でもいいけど、なんで組織にはこんなに金があるのかしら。
真っ黒にぬめるボディに、内装は赤みがかったブラウン。
高級ホテルにでもはいったように、革シートに座るあたしの居心地が悪くなった。
S・ウルフの王様はあっさりという。
「今回はやっつけでいい」
あたしは横にいる悠君の顔を見た。
無駄に長い髪の間からチラリと見える鼻筋の繊細さに血統の正しさを感じる。
なんで、この人はいつも貞子なんだろうか。
「S・ウルフのOBのところもやられたんだろう。そっちはいいのか。」
悠君がいうとキングは冷たく笑った。
「ダメになった服は全部火災保険でカバーがきくんだ。あの店の服が売り切れることなどないから、逆に焼け太りだな。オーナーは改装中のひと月、のんびり海外で服を買い付けるそうだ。マイアミは楽しいらしいぞ。」
そういうことか。
あたしは革のシートを撫でた。いつかここに落書きしてやる。