ー特別編ーWORLD・THE・Link【前】
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「いつも池袋でぶらぶらしてるけど、学校にはいかないの」
やつはさらにベンチで小さくなった。
収縮する少年像、習作ナンバー2
「半分くらいはいってるんですけど、なんだか学校にいると落ち着かなくて。ぼくの中学は進学校だから、ぼくみたいに受験を放りだしたら居場所がないんです」
それはそうだろう。
週刊紙でユウキの父親の手記は読んだ。
涙なくしては読めない文章のなかで、父は勉強以外のすべてをとりあげてしまってすまなかったと息子に謝っていた。
もう東大受験のプレッシャーはないのだ。
「けど、親友がいるんでしょ。えーと…こ、こー…小森君だっけ。」
ユウキは少しだけ緊張が緩んだ。
「よく知ってますね。けど、卯天さんは友達も多いですから…ぼくがいると周りの人に卯天さんまで色眼鏡でみられますから…」
枯れた笑顔。
あたしはいった。
「じゃあ、なにかほかのことを探さないとね」
ユウキはあたしを見て不思議な顔をした。
「ぼくに他のことなんて、あるんですか。つぎにできることとか、将来の展望とか、未来とか。そんなのは全部、あの日に燃えちゃったと思うけど」
あたしは夏の風の音に耳を済ませていた。
「そうかなあ……アナタいくつだっけ。」
「十三歳」
あたしは笑っていった。
「ちょっと未来を捨てちゃうには、早いんじゃないの。まだ、女の子とキスしたこともないでしょ。」
ユウキはベンチで真っ赤になった。
色が白いから、頬の色が目立つ。
恥じらう少年像、習作ナンバー3。
「でも、ぼくは現住建造物等放火と殺人未遂の非行事実がついてます。就職だって、ちゃんとしたところにはできないし、付き合ってくれる女の子だって、もういないと…思う…」
やつはベンチの向こうの端に座って、身体をこちこちに固めている。
「そんなに緊張しないで、あれこれと悪いことをするやつもいるけど、みんな、そのあともなんとか生きてるよ。あたしの知り合いなをて何度も池袋署のお世話になってるし。でも、なんとか生きてるよ。あたしだって、補導歴あるけど働いてるよ。うちの実家の果物屋だけど。」
ユウキはなにも答えなかった。
「あのさ、アナタはまだ父親の価値観で生きてるんじゃないのかな。ホワイトカラーの一流企業とか官僚とか、いいとこにいかなきゃ人生終わりだなんてさ。偉くなくて金もなくても、面白い仕事はたくさんあるんだよ。それはおやじさんもあまり知らないんじゃないかな。」
格差社会のした半分のことなら、あたしに聞いて。
ずっとそのジャンクで生きてきたんだ。
もちろん森のなかには、獣もいるがフルーツだってなっている。
ユウキは礼儀正しいガキだった。
あたしのほうに頭をさげていう。
「気を使ってくれて、ありがとうございます。またお店のほうに顔をだしますから。」
少年の幽霊はふわふわと漂うようにベンチを立つとJR池袋駅のほうへ流れていった。
あたしのころと比べると、まったく生のエネルギーが感じられない。
あたしは急につぎにくる世代が心配になってきた。
やつはさらにベンチで小さくなった。
収縮する少年像、習作ナンバー2
「半分くらいはいってるんですけど、なんだか学校にいると落ち着かなくて。ぼくの中学は進学校だから、ぼくみたいに受験を放りだしたら居場所がないんです」
それはそうだろう。
週刊紙でユウキの父親の手記は読んだ。
涙なくしては読めない文章のなかで、父は勉強以外のすべてをとりあげてしまってすまなかったと息子に謝っていた。
もう東大受験のプレッシャーはないのだ。
「けど、親友がいるんでしょ。えーと…こ、こー…小森君だっけ。」
ユウキは少しだけ緊張が緩んだ。
「よく知ってますね。けど、卯天さんは友達も多いですから…ぼくがいると周りの人に卯天さんまで色眼鏡でみられますから…」
枯れた笑顔。
あたしはいった。
「じゃあ、なにかほかのことを探さないとね」
ユウキはあたしを見て不思議な顔をした。
「ぼくに他のことなんて、あるんですか。つぎにできることとか、将来の展望とか、未来とか。そんなのは全部、あの日に燃えちゃったと思うけど」
あたしは夏の風の音に耳を済ませていた。
「そうかなあ……アナタいくつだっけ。」
「十三歳」
あたしは笑っていった。
「ちょっと未来を捨てちゃうには、早いんじゃないの。まだ、女の子とキスしたこともないでしょ。」
ユウキはベンチで真っ赤になった。
色が白いから、頬の色が目立つ。
恥じらう少年像、習作ナンバー3。
「でも、ぼくは現住建造物等放火と殺人未遂の非行事実がついてます。就職だって、ちゃんとしたところにはできないし、付き合ってくれる女の子だって、もういないと…思う…」
やつはベンチの向こうの端に座って、身体をこちこちに固めている。
「そんなに緊張しないで、あれこれと悪いことをするやつもいるけど、みんな、そのあともなんとか生きてるよ。あたしの知り合いなをて何度も池袋署のお世話になってるし。でも、なんとか生きてるよ。あたしだって、補導歴あるけど働いてるよ。うちの実家の果物屋だけど。」
ユウキはなにも答えなかった。
「あのさ、アナタはまだ父親の価値観で生きてるんじゃないのかな。ホワイトカラーの一流企業とか官僚とか、いいとこにいかなきゃ人生終わりだなんてさ。偉くなくて金もなくても、面白い仕事はたくさんあるんだよ。それはおやじさんもあまり知らないんじゃないかな。」
格差社会のした半分のことなら、あたしに聞いて。
ずっとそのジャンクで生きてきたんだ。
もちろん森のなかには、獣もいるがフルーツだってなっている。
ユウキは礼儀正しいガキだった。
あたしのほうに頭をさげていう。
「気を使ってくれて、ありがとうございます。またお店のほうに顔をだしますから。」
少年の幽霊はふわふわと漂うようにベンチを立つとJR池袋駅のほうへ流れていった。
あたしのころと比べると、まったく生のエネルギーが感じられない。
あたしは急につぎにくる世代が心配になってきた。