ー特別編ーWORLD・THE・Link【前】
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夕日を浴びた家を想像してみて。
半分崩れかかった家。
その家のそばを歩くと、ぷんとものが焦げるにおいがする。
放火があったのは、もう大分前の夏のある日ね。
だけど、半焼した家にはまだあのときのにおいが生々しく残っている。
玄関の扉は黒々とすすけて、南京錠でなんとかとめてあるだけ。
となりの窓はひび割れて、X字型のガムテープで崩壊を免れている。
プラスチックの雨どいはぶつぶつと気泡を浮かべ、二階から降りる途中でちぎれ、だらしなく垂れさがっている。
玄関先にはタイヤとサドルが燃えて、骨組みだけになった自転車が二台。
ママチャリに、男の子用のマウンテンバイクね。
ライターオイルをコンビニで買ってきて、玄関から階段のあたりにたっぷり撒き散らし、火を放ったのは、そのマウンテンバイクの持ち主。
十三歳の男の子である。
金属バットでも、包丁でもなく、オイルライターが一つ。
そんなものが最悪の凶器になるなんて、普段は考えてもみないよね。
思うにこの夏は何年かして思い出すと、放火の夏だったということになるのかもしれない。
それも子どもによる連続した放火事件ね。
自分の家に火をつけることで、その子たちが何を燃やしたかったのか。
あたしはいまだにうまく想像することができない。
だって、あたしが知り合った少年放火犯は、ほんとうにごく普通のガキだったもん。
どこにもおかしなところなんてなかった。
ごく当たり前の、ちょっと繊細すぎるところがある十三歳にすぎなかった。
だから、あたしの話しは全国の親に聞いてもらいたい。
なんといっても、子どもにとっては自分の家族が全宇宙に、それこそ銀河に匹敵するほど、重くておおきな意味をもっている。
そのすべてを焼き払いたくなるとしたら、追い詰められているのはどう考えても子どものほうなんだから。
頭が悪くて、自分の気持ちを親にさえ伝えられない不器用なガキの側なんだよ。
ねぇ、教育ママス&パパスのみんな、まだローンの残ってる家を焼き落とされるなんて、たまらないでしょ。
アナタ自身が大火傷をおうかもしれないし。
お願いだから、火をつけられるまえに、ちょっと子どもの心を覗いてみてあげて。
なんでもいうことをきく優等生の心の中が、焼け野はらのようになっていないか。
炭と灰でモノクロームの荒れ果てた風景になっていないか。
子ども自身が焼けた柱のように黒く燃え尽きていないか。
あたしたちは自分の中にあるものを、外のリアルな世界で実現しようとする。
内にあるものが自然に外へでていくのだ。
自分の家に放火するガキの心は、いってみれば何年もまえからとっくに焼け落ちているのだ。
今回は池袋の少年放火犯と連続放火事件の話。
ちいさな火で始まり、あいだにいくつかのサスペンスをはさみ、最後にはその火が何粒かの涙で消し止められる都会の物語ね。
ただ、ちょっと気になるのがともき君ともう一人の自称イケメントラブルシューターのことなんだけど……まぁいいわ。
とりあえず、火の元に注意して、アナタもじっくりと楽しんでね。
あと……あたしの歌も聞いてね♪
THE・WORLD・LinK
【バーンクラッシュ・ザ・ハウス】
半分崩れかかった家。
その家のそばを歩くと、ぷんとものが焦げるにおいがする。
放火があったのは、もう大分前の夏のある日ね。
だけど、半焼した家にはまだあのときのにおいが生々しく残っている。
玄関の扉は黒々とすすけて、南京錠でなんとかとめてあるだけ。
となりの窓はひび割れて、X字型のガムテープで崩壊を免れている。
プラスチックの雨どいはぶつぶつと気泡を浮かべ、二階から降りる途中でちぎれ、だらしなく垂れさがっている。
玄関先にはタイヤとサドルが燃えて、骨組みだけになった自転車が二台。
ママチャリに、男の子用のマウンテンバイクね。
ライターオイルをコンビニで買ってきて、玄関から階段のあたりにたっぷり撒き散らし、火を放ったのは、そのマウンテンバイクの持ち主。
十三歳の男の子である。
金属バットでも、包丁でもなく、オイルライターが一つ。
そんなものが最悪の凶器になるなんて、普段は考えてもみないよね。
思うにこの夏は何年かして思い出すと、放火の夏だったということになるのかもしれない。
それも子どもによる連続した放火事件ね。
自分の家に火をつけることで、その子たちが何を燃やしたかったのか。
あたしはいまだにうまく想像することができない。
だって、あたしが知り合った少年放火犯は、ほんとうにごく普通のガキだったもん。
どこにもおかしなところなんてなかった。
ごく当たり前の、ちょっと繊細すぎるところがある十三歳にすぎなかった。
だから、あたしの話しは全国の親に聞いてもらいたい。
なんといっても、子どもにとっては自分の家族が全宇宙に、それこそ銀河に匹敵するほど、重くておおきな意味をもっている。
そのすべてを焼き払いたくなるとしたら、追い詰められているのはどう考えても子どものほうなんだから。
頭が悪くて、自分の気持ちを親にさえ伝えられない不器用なガキの側なんだよ。
ねぇ、教育ママス&パパスのみんな、まだローンの残ってる家を焼き落とされるなんて、たまらないでしょ。
アナタ自身が大火傷をおうかもしれないし。
お願いだから、火をつけられるまえに、ちょっと子どもの心を覗いてみてあげて。
なんでもいうことをきく優等生の心の中が、焼け野はらのようになっていないか。
炭と灰でモノクロームの荒れ果てた風景になっていないか。
子ども自身が焼けた柱のように黒く燃え尽きていないか。
あたしたちは自分の中にあるものを、外のリアルな世界で実現しようとする。
内にあるものが自然に外へでていくのだ。
自分の家に放火するガキの心は、いってみれば何年もまえからとっくに焼け落ちているのだ。
今回は池袋の少年放火犯と連続放火事件の話。
ちいさな火で始まり、あいだにいくつかのサスペンスをはさみ、最後にはその火が何粒かの涙で消し止められる都会の物語ね。
ただ、ちょっと気になるのがともき君ともう一人の自称イケメントラブルシューターのことなんだけど……まぁいいわ。
とりあえず、火の元に注意して、アナタもじっくりと楽しんでね。
あと……あたしの歌も聞いてね♪
THE・WORLD・LinK
【バーンクラッシュ・ザ・ハウス】